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ボンゴ F8エンジン不調の原因はバキュームホースの亀裂だった

time 2015/12/07

ボンゴ F8エンジン不調の原因はバキュームホースの亀裂だった

ちょっと難解でした。
車検で預かったボンゴトラック。F8というガソリンエンジンを積んでいます。

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マツダ ボンゴ
型式 T-SD89T
平成6年式

難解だったのはエンジンの不調。
このボンゴに搭載されるF8というガソリンエンジンですが、キャブレター車で、チョーク機構は手動のレバーが着いています。

エンジン不調というのは、回転が低い時に片肺現象が起こるということ。
つまり1、2気筒死んでいる状態になってしまっているということ。

回転を上げると、一応4気筒動いているような感じがする。

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整備主任者からの作業指示書には、プラグコード交換。
ディスキャップとローター交換となっていた。

ちなみに前回の車検から走行距離は1000kmも進んでいない。
前回の車検でスパークプラグは新品に交換されている。

他の部分の作業を全て済ませて、ボクもエンジン不調の原因を探っていった。

まずはアイドリングでエンジンが不調に陥っているとき、どうなっているかを確認。
エンジンがかかっている状態で、プラグコードをひとつずつ抜いていった。

そうすると、1番と2番のコードを抜いてもエンジンに変化はない。

しかし3番と4番をのプラグコードを抜くとエンストする。これにより、1番と2番シリンダーがアイドリング時に機能していないということが判明しました。

恐らく整備主任者も同じ手で探り、プラグコード交換と書いたのだろう。

指示通りにとりあえずプラグコードとディスキャップとローターを交換してみる。

しかし、エンジン不調は治らなかった。

おいおいおいおい。どーすんじゃい。誤診じゃないかよ。

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交換したプラグコード達。

仕方がないので、僕が原因を突き止めていくことにした。
症状をさらに確認してみた。どうやら1番と2番にも火花は飛んでいる模様。
そしてディスビなどにも異常は見当たらない。点火時期も狂っていない。

このエンジンの燃料装置はマルチポイントインジェクションではない。

シングルキャブひとつのみだ。キャブ自体がおかしかったら、他の気筒にも同様の症状が
でてもおかしくはない。明らかに1番と2番シリンダーだ。

しかもアイドリング時にだけ不調なのである。アクセルを吹かせば問題なくふける。
その時はきちんと1番と2番シリンダーも機能している。

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よーく考えてみた。燃料ポンプから送られてきた燃料はキャブに蓄えられる。
そこからジェットでインマニの中で混合気にさせられて各シリンダーへ送られるはずである。

僕が考えたのは、アイドリング時に燃料が1番と2番に到達していないんじゃないか?ということだ。
火花は飛んでいて、シリンダーが機能していないとなると、圧縮がないかそれか燃料が来ていないかのどちらかになる。タイミングは合っている。

圧縮がなければ、回転を上げても片肺症状のままでも不思議じゃない。
となると、やはり怪しいのは燃料だ。

では何でアイドリング時に、燃料が1番シリンダーと2番シリンダーに届かないのか?

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この車の燃料装置はキャブレターだ。気化器である。

インジェクションとは違う。インジェクションは燃料圧力をとどめておいて、インジェクターの手前で燃料が止められている。
それをフューエルプレッシャーレギュレーターで、デリバリーパイプ内の燃圧を調整されて、インジェクターが開いたときに燃料を吹くということだ。簡単に言えばインジェクターはONとOFFだけ。
燃料の圧力が強いか弱いかで、より霧状に噴射できるか出来ないかになってくるというわけだ。

ではキャブレターはどうか?燃料はポンプから送られてくる。それをフロートでオーバーフローにならないように調整。

エンジンの吸入負圧で混合気を吸い込むと。
ではアイドリング時になんで燃料が行かないか?

この車は何で1番と2番の負圧が足りないのか?考えられるのはバルブクリアランスが適正じゃないとか圧縮が1番と2番において足りないということか?

しかし前述したとおり回転を上げると、エンジンはスムーズに動く。
ちなみにコンプレッションを測ったら、各気筒でのばらつきは殆どなし。

あとは負圧がどこかでロスしていないか!?を調べていった。

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発見

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一番シリンダーへのインマニのバキュームメクラ蓋に亀裂。
特にどこかへバキューム機能を使っているわけではなく、メクラで蓋をしておくべき場所だった。

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すぐにメクラ蓋は手に入らないので、MHOお手製バキュームメクラを製作して取り付けてみた

ら、

エンジンの不調が全く感じられないように完治しました。

アイドリング時のエンジン負圧は低くて、しかも1番シリンダーの近くでロスしていたため燃料を吸い込む力が減っていた。

というのがアイドリング時においてエンジン片肺になっていた原因でした。よくよく考えれば合点がいく。

ボクはエンジンが片肺のくせに、どうして排気温度センサーの警告灯がつかないんだろうと思ってた。

通常エンジンのどこかのシリンダーが死んでいると、生ガスがそのまま触媒に送られ、触媒の中で燃えて、排気温度が上がってしまう。これをセンサーが検知して警告灯をこの時代の車は点灯させるはずだ。

しかし、片肺のくせに排気温度センサーが点灯していない。
つまり、アイドリング時に燃料がうまく吸い込めていない状態の片肺だったから排気温度センサーが点灯しなかったのだろう。

と、いろいろ悩んだけれど答えにたどり着けてよかった。

アイドリング時にエンジン不調という故障診断でした。

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コメント

  • いつも楽しみにしています。
    飽きさせない文章で、素人の私にも理屈のわかるように解説されていて実用的でもあり、特に今回のような問題発見までのプロセスに関しては読んでいてわくわくします。こうした手に職のある方って、憧れます。

    車いじりが好きでこちらのサイトを拝見するようになり、もうずいぶんたちます。
    私もウェブサイトを運営したことがありますが、長年にわたって毎日更新される苦労は相当なものと思います。
    これからも応援させていただきます!

    by HAL9600 €2015年12月8日 11:26

    • 自分は整備士の中では技術はずっと低い方です。会社には1級整備士もいますし、先輩も1級を持っています。
      単純に車が僕は好きなので、こういったサイトを運営していくのが苦にならないのが継続できている理由なのかなと思ってます。

      by MHO €2015年12月8日 23:06

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現役2級整備士・検査員で、現場でひたすらもがいて仕事しています。

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