リモコンエンジンスターターが整備士的には進められない理由

リモコンエンジンスターターです。
付属のリモコンから車両のエンジンを
遠隔でスタートさせることが可能なシステム。

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リモコンエンジンスターター。

さむーい冬にはまさに重宝するアイテムで間違いない
リモコンエンジンスターター

僕も実際にその恩恵にあずかっている一人であります

が、整備士的にはこれはお勧めしたくありません。

その理由はなぜか?

まぁいくつかあります。リモコンエンジンスターターをすすめない理由

まず一つ目として、遠隔でエンジンをスタートさせる危険性について。
リモコンエンジンスターターは取り付け方によっては
マニュアル車につけることも可能。

よく新聞沙汰になっている、誰も居ないのに急にエンジンがかかって
車が動き出すというケース。これは危ない。
リモコンエンジンスターターはMT車にはつけてはいけないという決まりが
あるものの、実際につけている人は多数居ます。

それ以外でも自分がそばに居ないでエンジンがかかるっていうのは
結構考えようによっては危ない。
車の周りに何があるか分からない状態でエンジンがかかるんですからね。
そばに居る人はビックリするし、ひょっとしたら猫が下に居るかもしれない。
そういった総合的な意味合いを込めて、運転者が居ない状態での
エンジンスタートはお勧めできないという理由。

そして二つ目の理由として
これが整備士らしい理由なんですが
車が発する情報をキャッチできなくなる

といったことです。特に冬場のエンジンスタートには車からのいろいろな情報が含まれています。

セルモーターの回り方
ファーストアイドルの効き具合
アイドリングの状態

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普段からエンジンのファーストアイドルを聞くことによって

故障時にいつもと違うエンジンの状態をいち早く察知できるようになります。
ささいな振動
いつもとちがった音

それらは車が運転手に送っているメッセージなのです。

セルモーターの回り方なんて
エンジンスターターでかけていたら分かるはずもありません。

もしかしたらバッテリーが弱っているかもしれない。
そういった車からのヘルプサインを汲み取れなくなってしまう

これがリモコンエンジンスターターをつけるデメリットその2ですね。

はっきりいって両方おすすめできない理由ではあります。
でも便利なものも確か。僕もつけています。

世の中便利になっていくその代償で
いろいろな感覚を失っていく。

携帯電話が復旧したことで、知り合いの電話番号なんか暗記しなくてすむ。
リモコンエンジンスターターがあるおかげで、五感をフル稼働して
車に乗る必要もなくなってきた。

僕もリモコンエンジンスターターを家族号につけて
情けないことにバッテリーが弱くなっている事実にすぐに気づけなかったもんね。

あやうく始動不能になるところだったよ。

車の性能は上がっている。人間が細かく操作していたことを
全てコンピューターが制御してくれる。

それと引き換えに、チョークの操作が分からない
ソレと引き換えに、ダブルクラッチも使えない
それとひきかえに、マニュアル車が運転できない

さぁ、便利になっていく世の中はこれから
どんな感覚を消し去っていくのか?

話はそれましたが、リモコンエンジンスターターは本当はつけないほうがいいという
今回のお話でした。

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コメント

  1. 修理屋35歳 より:

    どうしてもMT車で付けたいという要望がある時は、誤発進防止回路を作って対策しています。
    オーナーにも、デメリットの部分や安全面の理解を得てから出ないと作業はしていません。

  2. MHO より:

    それは絶対に必要ですね。僕は自分の車に付けてみましたが、今ではちょっと怖いから自分の車でもMTには付けたいとは思いませんね。