規定トルクと手の感覚

自動車には色々なネジが使われていて、そのネジ1つ1つには締め付ける力、いわゆる規定トルクというものが設定されている。規定トルクでネジを締め付けるには、トルクレンチという工具が必要になる。

トルクレンチは、締める予定のトルクをダイヤルで設定しておくいて、そのレンチで締め付けると、カチッと音が鳴って規定トルクに達しましたよということを作業者に教えてくれる特殊工具だ。
この規定トルクというのは重要視する部分とそうでない部分があるのである。例えば、エアクリーナーボックスがボディーにネジで取り付けられている。さすがにこういった場所はトルクレンチでは現場では締め付けない。
エンジンの配線をボディーに固定しているステー。このステーなんかも10mmのネジで取り付けられているのが多いけれどこれもトルクレンチは使わない。さほど重要な部分ではないと考えるからだ。
では規定トルクで締め付ける場所というのはどういった場所か?それはエンジンの組み付けやホイールナット、足回りの各ボルトなどなどである。ここは規定トルクで締めておかないとまずいなというのは作業していて

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わかるようになります。
最近僕が凝っているのは、手トルク。自分の手でまず締め付けてみる。その力がどのくらいトルクレンチで締めた時に近い数値であるか?というものを行っている。
一番はホイールナットだ。まずは自分でクロスレンチなどで締め付ける。このくらいだろうというところまで締めておく。そのあとトルクレンチで締めるのだ。この時どのくらい動くのか?ということだ。
トルクレンチでさらに締め付けるようであれば、手トルクが足りない。逆に全く動かないのは手トルクが強すぎる。
ということになってくる。理想はほんのわずかにトルクレンチで締め付けてOKというところ。
この辺を探すべく時間のあるときに試している。
10mmの小さなボルトでもそう。大したトルクではないけれどトルクレンチで再度締めてみる。
そんな場所トルクレンチで締めてんな!とかトルクレンチなんかつかってんな!という工場は嘘だと思う。
レーシングエンジンを組むような繊細で精度の高い整備をするショップは必ずトルク管理をしている。
この手トルクを鍛えるというのは、トルクレンチで締めなくてもよさそうな場所についても、自分の手である程度同等の力で締められる様になりたい。という考えから行っている。
実はコレ、整備コンクールの一環でもあります。

コンクールの中にそういった手で締めたトルクがどのくらいトルクレンチに近いかという問題があるらしい。ぼくはコンクールには興味はないけれど、その考え方はいただきだと思ってやったりしています。

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