目指せ自動車整備士 第2話「初出勤の日」

ー4月1日ー

ガラガラガラッ

A君「おはようございます。今日からここでお世話になりますAと申します。どうぞ、よろしくお願いします。」

社長「おっ、A君来たね。おーいそれじゃみんな集まれ!朝礼始めるぞ!」

社長「前に話した通り、今日からA君を新入社員として採用した。3ヶ月は試用期間になる。試用期間がすぎたら正式に社員になるからよろしく頼むぞみんな。」

一同「はい!」

社長「それではA君、君の教育係を紹介しよう。MHOだ!」

MHO「よろしくA君。MHOです。」

A君「よ、よろしくお願いします。」

社長「A君、わからないことなどは全部MHOに聞いてくれ。彼が整備から他の業務全てで君を教育するから。」

A君「は、はい!」

MHO「それじゃA君、まずは工場や会社の施設から紹介していくよ。ついてきて。」

A君「はい!」

MHO「うちの会社って、自動車ディーラーとは違ういわゆる町工場と呼ばれる整備工場なんだ。基本的に車も販売してるし整備もする。車は近隣の自動車ディーラーから業販してもらって、それをお客さんに売っている。」

A君「業販ってなんですか?」

MHO「業販っていうのは、一般のお客さんへ売りに出す価格よりも安い価格で車をディーラーから売ってもらうことだよ。例えばワゴンRを100万円で売ろうとするだろ?スズキのディーラーから85万円で譲ってもらい、いろんなオプションをつけて100万円でお客さんに売る。もしスズキが85万円でワゴンRを売りに出したら、我々町工場では車が売れなくなるだろ?」

A君「安い方で買いたいですからね・・」

MHO「そう。だから中古車でもお客さんが欲しいと思った車があったら、ディーラーがお客さんへ販売する金額よりも安い金額で売ってもらう。これを業販という。ディーラーでは利益率が悪くなるけれど、一応は車が売れる。こういった町工場と連携してくことで、拡販していくことはできるからね。WinWinってやつだね。」

A君「そういう仕組みなんですね・・・」

MHO「ただ、業販にも暗黙のルールがある。ディーラーから売ってもらった車のデータっていうのは、ディーラーのパソコンにもデータとして残っている。もしリコールをやってもらったり、ディーラーの診断機などでしか修理ができない場合面倒を見てもらわないといけない。しかし、ディーラーはこういった業販の車については、整備推進を自粛してもらわないといけない。

A君「どうしてですか?」

MHO「人の工場のお客さんを奪っちゃうことになる。そうするとその工場との信頼関係がくずれちゃうだろ。お客さんから直接ディーラーへ修理依頼などが入る場合をのぞいて、基本的にディーラーから直接お客さんへのアプローチっていうのはNGとしてもらってる。」

A君「なるほど・・ようするに、相手の島を荒らしちゃいけないってやつですね!」

MHO「そういうこと。」

MHO「うちの会社は現在5店舗で経営している。本社とうち。そしてあと3つの支店があるんだ。」

A君「そうだったんですね。」

MHO「話がそれちゃったけれど、うちの工場は駐車場・事務所・整備工場・完成検査場・洗車場・展示スペースとこんな風に配置されている。A君はメカニック希望だということだから、ツナギ組だね。一通り案内も済んだから、スーツからこのツナギ・帽子・安全靴に着替えてきて。ロッカーは2階にあって、名前が書いてあるので荷物はそこに置いてきて。」

A君「はい。」

いよいよ整備工場での仕事が始まる

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