目指せ自動車整備士 第7話「初めての整備」

A君が指定工場に入社して、1週間が経過しました。

MHO「A君、今日はちょーーーーっとだけ君に整備をしてもらう。」

A君「え!?いいんですか!?」

MHO「今日は君がどの程度までできるのかも確認させてもらいたいからね。整備をしてもらうのはうちの会社の代車だ。ちょうど12ヶ月点検の時期に来ている。」

A君「でも、資格も持ってないのに整備をしてもいいんですか?」

MHO「資格がなくても大丈夫。整備主任と呼ばれる自動車整備士が受け入れ検査から中間検査、そして完成検査をするから問題ないんだ。」

A君「資格がなくても整備をしてもいいんですね。」

MHO「まずはこの伝票を見てくれ。これが作業指示書と呼ばれるものだ。ここに整備主任が受け入れ検査から分解までしてある。あとは作業指示書に書いてある通りのメニューをこなしてくれればOK。」

A君「わかりました。それではやってみます。」

MHO「一応監察役でそばにいるからね。」

A君に与えられた初めての整備。会社の代車にであるワゴンRの12ヶ月点検でした。

作業指示書の内容は

エアクリーナー清掃

エンジンオイル交換

ドレンパッキン交換

オイルフィルター交換

スーパークーラント補充

Rrブレーキ清掃・調整・給油

サイドブレーキ調整

タイヤ空気圧調整

ホイールナット締付

ドアヒンジ・各部給油

右ブレーキランプ球交換

A君「えっと、オイルを交換して・・・。オイルフィルターも交換か・・。」

MHO「わからないことがあったら、いつでも聞いてね。」

A君「あ、MHOさん。Rrブレーキの清掃・調整・給油のやり方がわかりません。」

MHO「A君はオイル交換やタイヤ交換はできるって言ってたね?ブレーキの整備は今までやったことはないの?」

A君「はい。」

MHO「了解。それじゃRrブレーキの部分を先に説明するね。まず構造なんだけどこれはドラムブレーキというもの。ブレーキのペダルを踏むと油圧がここのホイールシリンダーに伝わってブレーキシューをブレーキドラムの中で広がる。その摩擦力でブレーキがかかる。なんとなくわかる?」

A君「あ、これって動くんですね。これが広がって・・なるほどわかります。」

MHO「ドラムブレーキの清掃っていうのは、ブレーキシューをペーパーがけして一皮むくんだ。同じようにブレーキドラムの内側もペーパーをかける。そうしたらパーツクリーナーで汚れを綺麗に落として乾かすんだ。あとはブレーキシューが動く摺動部分に専用グリスを塗布する。」

A君「ブレーキなのにグリスつけちゃうんですか?」

MHO「そう。シューの面にはつけちゃダメだよ。あくまでもドラムのバックプレートとブレーキシューの金具部分が接触して動く部分。ここに給油しておかないとブレーキの動きが鈍くなっちゃうから。サイドブレーキの調整は、ブレーキシューを広げたり縮めたりするんだけど、これはおいおい覚えていって。」

A君「わかりました。難しいですね。」

MHOがフォローしながら、無事に代車の12ヶ月点検は終わりました。

MHO「A君おつかれ。どうだった?」

A君「想像以上に難しかったです。12ヶ月点検でこんなに時間もかかるし、わからないことだらけでこれから大丈夫なのかなって・・」

MHO「数をこなせばそこは大丈夫!ただ12ヶ月点検は大体1時間以内に終わらせるべきものなんだ。今回の内容ならもっと短くてもいい。」

A君「そ、そうなんですか・・。2時間近くかかってしまいました・・。」

MHO「最初は確実な整備をすることが先決だからそれでいいよ。少しずつ時間を短縮していければいいね。例えばリフトを上下する回数が多すぎたね。作業時間を短縮するのであれば、最初にリフトアップしたらオイルを抜いてエレメントを外しておく。その間にブレーキを整備して・・徐々にリフトをおろしていく。最後にホイールナットを締め付けてオイル類を注ぐって順番かな。これならリフトを1度持ち上げて下げるだけで終わる。」

A君「無駄な動きが多いってことなんですね・・。」

MHO「まあそういうことになるね。社長にはサービスカーの点検整備はA君にやらせろって言われているから、少しずつ慣れていってもらうから。」

A君「ありがとうございます。」

整備をするときに、動きに無駄があると時間が余計にかかってしまいます。常に効率を求めながら作業をしていくことで時間を短縮させることができます。

整備士の基本は確実な作業。確実な作業を身につけたら効率を求めていくようにしましょう。

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