プラグの中身がエンジンの中に脱落してしまったトラブル

整備士をやっていて、これは初めて見た。

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プラグです。

一見普通に見えると思いますが、違います。

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電極がなくなっている

それだけじゃありません
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中までなくなってしまっている

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正常な方のプラグ

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中身までなくなってしまったプラグ

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僕が今まで経験してきたプラグのトラブルは

電極が溶けてしまったもの。そして外すときに折れてしまったトラブル。
あとは装着時に電極を曲げてしまい、ギャップがゼロになって火花が飛ばなくなってしまったケースなどなど。

今回のケースははじめてです。溶けた?ような形跡ではないし、
綺麗さっぱりなくなってしまっている・・・。これは一体どのような現象なのか?

このプラグが装着されていた車両はスズキのキャリー

F6A搭載車である。新規格になったばかりのキャリーだった。

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お客さんからの依頼は

「エンジンから変な音がする」

というものだったんですよ。もう、すごい嫌な音。
カキンカキンといった金属音がたまに聞こえたり聞こえなかったり。

で、プラグを外したら2番シリンダーのプラグがこの状態。
ダイレクトイグニッションシステムで、2番のイグニッションコイルが完全にリークしていた状態でした。
つまり火花が飛ばないような状態だった。

圧縮圧力を測ると、まだ圧縮は残っている。他のシリンダーとあまり変わらない数値。

で、新しいプラグとコイルとつけると、エンジンは滑らかに動く。しかしたまにカキンカキンという音がする。

仮説ですが、プラグのなくなってしまった部分がシリンダーの中に残っているということですね。
すぐにプラグを外して、プラグホールからマグネットを突っ込んで捜索したんですが、かけらは引っ付いてこない。

特殊な掃除機で吸い取ってみても駄目。

変な金属音は間違いなくプラグの破片が残っているためでしょう。
この状態ではもはやヘッドを開けるしか方法は残っていないということですね。

圧縮は残っているから、ヘッドをあけて異物が取り除けてしまえば何とかエンジンは使えるかもしれない。

最悪は載せ換え。ガソリンエンジンはこういうことがあるからおっかないですね。

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コメント

  1. 愛知の事務員 より:

    昔の自家用車を思い出しました。結果エンジンブローになりましたが、推定でこの状態ではなかったかと思われます。ちゃ……製でした。
    この一件で覚えたのは、正確な商品番号と正確なトルクです。汎用は(全部とは言いませんが)スポーツ走行には無理でした。

  2. MHO より:

    この事件はなんとかシリンダーヘッドから掃除機攻撃で取り除くことができました。
    それにしても恐ろしいです。少なからずヘッドにはダメージがありますが、使い続けているようです。