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整備士の車の整備を依頼されて、依頼された部品を交換しても治らないケース

time 2016/05/15

整備士の車の整備を依頼されて、依頼された部品を交換しても治らないケース

昨日、会社の先輩が一斉に研修に出かけていってしまった。
そんな折、エンジンがかからないという車の部品が届いた。先輩が担当していた車で、ディスビを交換すれば直るというような話だったはずだ。

その車のオーナーは同じ会社の違う部署の車。どうも早く直してもらいたいみたいで、先輩の代わりに僕が出張でディスビを交換しに行った。
車はガソリンのランドクルーザー。先輩の診断ではディスビの中のオイルシールが駄目で、ディスビ内にオイルが溜まりエンジンがかからないようだということ。現場でクランキングしてみると、確かにミスファイヤが激しい。ディスビを見るとオイルもかなり滴り落ちている。

ランクルのディスビは細かいギヤ式だ。きちんと位置を合わせてはめないと、エンジンがかからなくなる。
ディスビキャップを外してローターの向きをよく覚えてく。ディスビを抜いてくるとローターが少し回る。
その位置も覚えておく。解体屋さんが持ってきてくれたディスビのローターを同じ位置にして、ローターをはめていく。はまったときのローターの位置も一緒だ。

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あとはディスビをまわして点火時期を最終的には合わせないといけない。
とりあえずこの状態でネジを仮止めしてエンジンをかけることにした。点火時期の調整は、エンジン完全暖機後のケースが多いからである。

勢いよくクランキングすると、症状がまったく改善されない。アクセルをあおりながらクランキングしても、明らかに2,3気筒機能していないようなそんな感じだ。
出張のディスビ交換を失敗したわけではない。最終的な点火タイミングの調整はエンジンを暖気しないと駄目だ。
つまり、故障原因は他にあったということである。

とりあえず、今日は暇ではないのでレッカー車で工場の中に運ぶことにした。オーナーにはその旨を伝えて、僕がこの車の修理を引き継ぐ覚悟をしていた。

ランクルの出張ディスビ交換をしにいったがエンジンがかからなかった。
とりあえずレッカーして工場に運び、仕事に区切りをつけてから再チャレンジすることにした。

実はこのランクルのオーナーは2級整備士の養成学校に行っていて、ガソリン・ディーゼルともに2級整備士の資格を持っている。最初に診断した先輩は、このオーナーの意見を汲んで、ディスビの中古を解体屋さんからオーダーしたのだ。

オーナーの診断も確かに的はついている。ディスビの症状でほぼ8,9割の人間は納得する故障だからだ。

ミスファイヤが起こり、吹け上がらない。点火系統を疑って間違いないような症状である。
後輩はECUじゃないか?と言ってきた。この故障が起きたのは、突然だったそうだ。
整備士の資格を持っている人の車の修理は、その人の意見に流されやすく誤診になることが多い。
ボクもサンバーの故障でエンジンがかからないというとき、ECUがカチカチ音がしてる。同型のECUの中古を持って来て欲しいと、整備士のオーナーに言われた。しかし行ってみたら違った。

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ECUの故障ではなく、ECUの電源配線にクラックがあっただけであった。
このランクルも同様だろう。オーナーの意見は的をついていたし、先輩もある程度自信があったに違いない。
しかしディスビを交換しても直らなかった。

実はボクはもうこの故障の原因を知っている。ためしにその部品に細工をしてクランキングしたら、エンジンはスムーズにかかった。同僚たちが駆け寄ってくる。一体何をしたのだと。
ちょっと嫌な意見を言ってきた同僚や、後輩も目を丸くしている。そして次の言葉はいつも決まっている

「一体何がいけなかったんだ?」

もう何度聞いたか分らない台詞だ。僕が苦労してたどり着いた故障の答えだけを知ろうとする。
こうやって自分の頭で考えないで答えだけを知ろうとする整備士ははっきりいって腕が上がらないと思う。
故障診断って言うのは自分で一つずつメカを解析しながらあーでもないこーでもないとやっていくものだ。
苦労しない人間には経験が伴わないから何時まで経っても故障診断なんかできやしない。
答えはあるていど分っていた。最初に診断した先輩に電話をする。
そうしたら先輩はボクより先にその答えを言ってきた。

値段を伝える中古で2万円だ。オーナーの答えに惑わされてしまったとも言っていた。
整備士の資格を持っているオーナーにも話をした。そうしたら、最初に診断をした先輩もその部品かディスビのどちらかじゃないかと言っていたと言って来た。
部品を発注してくださいとオーナーが言ってくれた。ディスビに関してもオイルがかなり付着していたので両方請求してくださいと。ありがたかった。

同僚と後輩にはこう伝えておいた。

「エアフロだよ」

そうしたらこういってきた

「エアフロ?もう部品が来て交換したのか?」

エアフロの新品は43600円だそうだ。そんな高額な部品をそう簡単に新品で取れるはずもない。

「じゃあ何で直ってんだよ?」

同僚が言って来た。おいおいもう勘弁してくださいなとボクは最後に伝えておいた

「エンジンチェックランプが点いてるでしょ?自分で考えてくれよ」

ただエアフロのカプラーを抜いてあるだけだ。フェールセーフに入ったとしてもアイドリングはぶっ壊れたエアフロをつないでいるよりも全然通常通りだ。カプラーを抜いてオープンになってるからチェックランプが点いているだけ。
ただそれだけだ。エアフロは来週届くらしい。オーナーにはしばらく代車を乗ってもらわないといけない

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現役2級整備士・検査員で、現場でひたすらもがいて仕事しています。

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