トルク管理の誤差を考える

各ボルトには規定トルクというものが設けられている。その値を守ってボルトを締め付けてくださいよ。
という数値だ。現場の整備士は、トルク管理をしないといけない部分にのみ規定トルクで締め付けているのが現状である。ただの10mmのエアクリーナーBOXのネジくらいには手締めで締めるといった感じだ。じゃないと全てをトルクレンチで締めていたら時間がいくらあっても足りないからだ。

ただ、職人が締め付けるネジの強さというのは限りなくトルクレンチの数値に近くなってくる。
今回考えたいのはトルクレンチの誤差についてだ。

よく締め付けトルクには20N・m±2,0等といった表記がされている。問題はこの
締め付けトルクの+-2,0という部分だ。この場合+-を参考にすると20N・mの+-2,0で締めろという指示に値する。つまり上限が22N・mで下限が18N・mということになる。

こういう場合はボクはストライクゾーンを狙って20N・mで締め付けるんですが、どうなのだろう。
ちょっと感慨深いのがシリンダーヘッドの締め付けトルクで考える。ヘッドをOHするために降ろした。
新しいヘッドガスケットを載せて、シリンダーヘッドを載せる。いざヘッドボルトを締める!

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これにも+-という数値が適用されている。ここで上限のトルクで締めたときと下限のトルクで締めたときを考えてみた。恐らくエンジンチューナーのクラスになってくるとエンジンの組み立て部屋を別に設けて温度管理までしているに違いない。それほど精度を高く組み上げるのが当たり前だと思っているからだ。
現場の整備士クラスになると、エンジン室などはなく通常の工場でトルクレンチを使っての作業になる。

上限トルクで締める。下限トルクで締める。そこには誤差が生じるが上限トルクで締めたほうが当然ボルトは強く引っ張られて締め上げられる。この力が余計に加わるのと加わらないのとではシリンダーの状態も変わってくるのではないでしょうか?つまり上限トルクを採用するとシリンダーが引っ張り上げられてしまう。
真円ではなくなってしまうということだ。逆に下限トルクを採用すると今度は逆に歪みは発生しないが、密着度がどうかという話にもなってくる。つまり圧縮漏れを引き起こすのでは?ということだ。

トルクには上限と下限があるから、それらは許容範囲なんだろうけれど、こうして考えると興味深い。
ということで今日はトルク管理の誤差をどう考えるかでした。

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