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「実印、委任状、車庫証明…」車の登録はなぜこんなに面倒?マイナカードで2028年から激変する可能性

車を買ったり、住所を変更したりしたとき、避けて通れないのが自動車の登録手続きです。

僕も自動車業界で長く仕事をしてきましたが、この登録関係の手続きは本当に煩雑です。

2026年9月2日付の日刊自動車新聞で、この自動車登録を大きく変える可能性のある取り組みが報じられました。

日本自動車会議所が、マイナンバーカードを活用した新しい自動車登録の共通基盤を構築するというものです。

うまく全国へ普及すれば、今まで紙と印鑑に頼っていた自動車登録が大きく変わるかもしれません。

今の車の登録は本当に面倒

車を買った経験がある人でも、

「ディーラーに書類を渡しただけだから、そんなに大変だった記憶はない」

という人も多いと思います。

しかし、その裏側では販売店などが大量の書類を扱っています。

例えば登録する車や手続きの内容によって、

車庫証明を取る。

住民票を取る。

印鑑証明を取る。

実印を押す。

委任状を書く。

譲渡証明書を用意する。

こうした作業が必要になります。

そして厄介なのが、ちょっとした不備です。

住所が違う。

記載内容が違う。

印鑑が違う。

必要な書類が足りない。

こうなると、そのままでは手続きできません。

お客さんへもう一度連絡して書類を用意してもらったり、書き直してもらったりする必要が出てきます。

僕も現場にいたころ、このような書類のやり取りには何度も悩まされました。

整備や車の説明をするのが自動車屋の仕事だと思っていても、その裏では大量の紙を扱っているわけです。

住所変更になるとさらにややこしい

特に面倒なのが住所変更などが絡むケースです。

現在の住所だけ分かればいい、という単純な話ではありません。

登録されている住所から現在の住所までのつながりを証明する必要が出てくる場合があります。

さらに車庫関係の手続きも絡みます。

先に必要な車庫関係の手続きを進め、住所のつながりを確認する書類をそろえ、委任状などを準備する。

一般のお客さんからすれば、

「車の住所を変えたいだけなのに、なんでこんなに書類が必要なの?」

と思うはずです。

現場側も同じです。

デジタル化がこれだけ進んだ時代なのに、紙へ記入して、実印を押して、書類を確認して、不備があったらまたやり直す。

長く自動車業界にいましたが、このアナログなやり取りには辟易していました。

マイナンバーカードで本人確認できれば一気に変わる

今回報じられた仕組みが興味深いのは、単に書類をPDFにする程度の話ではないことです。

マイナンバーカードと自動車登録に必要なデータを連携させ、本人認証を行うことで、署名や実印、公的証明書類を不要にする構想です。

販売会社側のデータとも連携し、申請に必要なデータを自動作成するとされています。

これが本当に実現すれば大きい。

日刊自動車新聞の記事によると、購入者の手続き時間は従来の35分から5分へ短縮できると試算されています。

営業スタッフの登録作業も70分から25分、本部スタッフについても25分から10分へ短縮できるとのこと。

単純に便利になるというだけではありません。

自動車販売店にとって、かなり大きな業務効率化につながる可能性があります。

実はOSSがあっても紙は大量に残っている

自動車登録の電子化自体は、今回初めて始まるわけではありません。

2005年から「自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)」が導入されています。

検査登録や保管場所申請、税金・手数料の納付などをインターネット上で行える仕組みです。

それでも現在の自動車登録には、最大27種類もの書類が残っていると報じられています。

つまりシステムだけ電子化しても、その周辺に紙の手続きが残ってしまっている。

今回の新しい仕組みでは、まず委任状と譲渡証明書の電子化から始め、順次対象を拡大していく計画です。

書類不備による「やり直し」も減る

個人的には、時間短縮以上にこちらの効果も大きいと思います。

書類は人間が書けば間違えることがあります。

そして自動車登録では、その小さな間違いが手戻りにつながります。

記事では、車庫証明書の再提出依頼書が全登録申請の5~10%で発生しているとされています。

かなりの割合です。

最初から各種データが連携されていれば、転記ミスや記入漏れなども減らせるでしょう。

「書類を作る時間」だけでなく、

「間違っていないか確認する時間」

「間違っていたものを戻す時間」

まで減らせる可能性があります。

行政書士の仕事にも影響するかもしれない

もう一つ気になるのが、自動車登録に関係する仕事そのものです。

現在は自動車登録や車庫証明などの手続きで、行政書士が重要な役割を担っています。

販売店側では、登録に必要な書類をそろえて専門家へ依頼するという流れもあります。

しかし将来的に、

本人確認

必要情報取得

申請データ作成

行政への申請

登録完了

というところまでデジタルでつながったらどうなるでしょうか。

少なくとも、現在人間が行っている書類作成や確認、運搬、申請代行などの一部は減っていく可能性があります。

もちろん、行政書士の仕事そのものがなくなるという話ではありません。

複雑な案件や個別判断が必要な手続きなど、人が介在する必要のある業務は残るでしょう。

ただ、定型的な自動車登録業務については影響が出てくる可能性があると思います。

2026年度から愛知県で実証開始

今回の仕組みは、いきなり全国導入されるわけではありません。

報道によると、2026年度から愛知県のトヨタとマツダ系列の一部ディーラーで実証を開始。

2027年度には東京都と大阪府へ広げ、2028年以降の全国実用化を目指すとされています。

ただし、全国展開には大きな問題もあります。

メーカーや販売会社、さらには都道府県ごとに登録手続きの運用が異なることです。

記事では、OSS申請のデータ作成方法だけでも、トヨタ系列で最低5方式が存在するとされています。

紙を電子化するだけでは解決できず、業界全体で手続きそのものを共通化する必要があるわけです。

車の登録はもっとシンプルになっていい

自動車業界を離れて改めて思うのは、

「なぜあれほど紙と印鑑が必要だったんだろう?」

ということです。

車庫証明。

住民票。

印鑑証明。

実印。

委任状。

譲渡証明書。

住所が変わっていれば、そのつながりを証明する書類。

もちろん、自動車という財産を登録する以上、本人確認や所有関係を厳格に確認する必要はあります。

しかし、それと「紙を大量に用意すること」は本来別の話です。

本人であることや住所、必要な情報をデジタルで正確に確認できるのなら、紙へ何度も同じ情報を書き、実印を押し、販売店が確認し、不備があったらまた書き直す必要はないはずです。

自動車整備の世界でも電子車検証などデジタル化が進んできました。

それでも登録業務には、まだまだ昔ながらの仕組みが残っています。

今回の取り組みが全国へ広がれば、お客さんが楽になるだけではありません。

販売店、登録業務を担当するスタッフ、行政側まで含め、自動車業界全体の無駄な作業をかなり減らせる可能性があります。

2028年。

本当に「実印と紙の委任状を用意する自動車登録」が過去のものになっているのか。

長年あの煩雑な書類に付き合ってきた人間として、これはかなり期待したい取り組みです。

車の登録や住所変更が必要になるタイミングの一つが、車の買い替えです。

今乗っている車を手放す場合、ディーラーの下取りだけで決めるのではなく、一度現在の買取相場を確認しておくのもおすすめです。

同じ車でも買取店によって査定額に差が出ることがあるため、買い替えを考えている人は事前に比較しておくといいでしょう。

<愛車の現在の査定額を調べてみる>