駆動系

クラッチは上手な人で20万km!下手な人だと100kmもたない!それぞれの画像と状態

あと10年もしたらほとんど消滅してしまうんじゃないかって。マニュアルトランスミッションです。僕が免許をとった頃っていうのは、ATの割合がかなり増えてきました。

新車でマニュアルを設定している車なんて、1割くらいになってしまいました。今や商用車もスポーツカーもATを採用している時代です。

それでも自分でクラッチを切って、ギヤを選択するマニュアルって、車を運転している感がATのそれとは比べ物にならない位あります。

渋滞の時はいやですが、乗っていて純粋に楽しいと思えるのはマニュアルです。

マニュアルの場合エンジンの後ろにフライホイールがあり、そこにクラッチが取り付けられています。クラッチディスクでミッションへ動力を伝達します。

クラッチディスクを切ったりするのはクラッチカバーとレリーズベアリングの役割です。クラッチ3点セットと言われています。

普通の使い方をしていれば、クラッチディスクは10万kmはもつ部品です。上手な人なら20万kmもっても不思議じゃありません。

ただ、使い方次第では100km持たないで滑ってしまうことがあります。

20万kmもったクラッチと100kmしかもたなかったクラッチの画像があるので、それぞれ見てみましょう。

20万km持ったホビオのクラッチ

まずこちらはホンダのホビオのクラッチです。

この人は運転が非常に上手な方で、クラッチをOHした理由も滑っていたからではありません。

急にクラッチが切れなくなってしまったため、OHすることになりました。

20万km時点で、クラッチは滑ってませんでした。ディスクの状態はどうかというと画像の通りです。

ディスクはリベットとに近い位置まで減っていますが、まだ使えなくもない状態。20万kmでこれなので、非常に使い方が上手な人だと思います。

クラッチが切れなくなった理由はこちら。

クラッチディスクに組み込まれているスプリングが脱落しています。このスプリングはカバー部にかしめて付けられているだけなので、部品の寿命と言えます。

20万km走っても滑らないクラッチ。軽自動車であっても滑っていません。

走行100kmで滑ってしまったクラッチ

続いては走行100kmもたずに滑ってしまったクラッチです。ミッションを降ろしてみるとこの有様です。

クラッチディスクのつるつるというレベルを通り過ぎて、金属のプレート部しか残っていません。

どうしてこんな状態になってるのか?

使っている人は高齢のおじいちゃんです。もう、致し方ないわけです。耳が遠くなって、感覚が鈍くなってくるとエンジン回転数がどの程度なのかわからなくなります。

自分では普通にクラッチをつないでいると思いがちですが、エンジンはレブ寸前までふけあがっています。毎回発進時にゼロヨンをやっているような感覚です。

こんな使い方ではクラッチがあっという間に削れてしまうことは容易に想像がつきます。

使い方次第では、このような結果になるのがクラッチです。

強化クラッチとはどういうものか?

ここから余談になりますが、よく耳にする強化クラッチとは何か?どうして必要なのか?

レースやチューニングの世界では、エンジンのパワーをノーマルから引き上げることなど日常茶飯事です。

クラッチってノーマルエンジンにプラスアルファでしか対応できません。エンジンパワーが2倍になっているとしたら、そのパワーをミッションに伝達するために強化クラッチに交換しないと駄目です。

強化クラッチはカバーの圧着力が強く、ディスクのグリップ力も強いです。もちろんクラッチディスクをより強い力で押さえつけているため、クラッチ操作も重たくなります。

強化クラッチにする場合、クラッチの油圧ラインも上げないと、ノーマルのままだと油圧が不足して切れなくなることもあります。

そのパワーに見合ったクラッチに交換しないといけないという事ですね。ノーマルエンジンに強化クラッチを組んで、寿命が長くなるかというとそんなこともありません。

ただ扱いづらくなるだけです。

最後にどうしてこうなった?衝撃のクラッチ画像

クラッチは上手に使えば20万km。下手な人だと100kmというのはわかってもらえたかと思います。

最後にどうしてこうなった?僕が遭遇した中で一番悲惨なクラッチです。

不思議なことに、こんな状態でも一応車は動いたんです。

おそらくフライホイールとカバーに、部品が挟まって、動力が伝達できていたのか?

とにかくものすごい異音を発していました。

ミッションを降ろすとこんな状態です。ドライバーはやはり高齢者でした。マニュアルだと踏み間違いとかそういう心配は少なくなりますが、クラッチは悲惨なことになります。

年に5回もOHしている人も中にはいます。

あまりにもクラッチを早く滑らせるようになったら、そろそろ免許を・・・。と考えたほうがいいかも知れません。

取り返しのつかないことになることもありますから。