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整備士が嫌だと感じる地味で緊張のする作業

整備士をしていて、天国か地獄かへの綱渡り的といってもいいほど緊張感の高まる仕事があります。

今日はそんな作業をこなしてきました。

 

各種遮熱板やボルトの交換です。

マフラーのボルトなどこの有様。

錆びてものすごくやせ細ってしまっています。走行の振動でいつ折れるかわからない。マフラーのネジ交換という作業、地味に嫌なところがあります。

今取り付いているネジを折らないで抜くことができれば天国。折れてしまえばリカバリーが地獄的な時間かかってきます。

作業時間に大きな違いが出てきてしまう。通常の12ヶ月点検であれば、作業時間は1時間程度を見越しておけば終わるタイムスケジュールですが、このように錆びまみれの場合は時間がまったく予測できなくなります。

サビッサビで頭の溶けてしまっているボルト類を外すには、酸素で炙る。真っ赤にネジを焼いた状態だと、錆びの固着がなくなるので回るようになります。

しかし、ネジを回すトルクよりもボルトが先に折れてしまえば結局ダメです。リカバリー作戦に切り替えないといけない。

錆びて頭のないネジに有効なのが、こういうソケット。本来このネジは12mmですが、12mmのソケットをあてがってもスカスカです。そういう時は11mmのソケットを叩き込んでグリップさせて回すか、このようなターボソケットを使う。

それかバイスプライヤーなどで掴んで回すかの選択肢になります。

ネジの先っぽが細い。

新品のボルトに交換。

火を使う場合、近くに配線やらプラスチック部品があるとすぐに溶けてしまうので、細心の注意を払いながらの作業です。

酸素で狙うところは、ネジの接合面。ここを徹底的に攻める。錆びがひどい場合溶けていってしまいますが、芯がしっかりしてればそこだけ残る。

マフラーは終わりましたが、次は触媒とエキマニの遮熱板交換作業です。

あとネジが7本立ちふさがってきます。

ネジの取り付け向きもかなり重要です。たとえば穴が空いているところに、ボルトとナットを使って取り付いているとすれば、ネジを無理に回さなくても大丈夫。

その部分を融解させるかもしくはグラインダーで削り落としてもいい。

問題なのは、例えば触媒やエキマニに雌ネジがネジ切ってある場合。失敗すると部品の中にネジが残ってしまう。その折れたネジを炙りながら外すのはかなり困難になります。

最悪の場合エキマニを外す必要が出てきます。

部品を外さないと、頻繁に火を使うわけにはいかない。

このネジザウルスですが、なかなかの優れもの。普通のプライヤーとは違ったグリップ感が、炙ったネジを掴みやすくしてくれる。

触媒のカバーは、ロアカバーにネジが取り付いています。触媒はただ穴が空いているだけなので、ネジを回せなくても破壊すれば外すことができる。

一番やりにくいのが奥のネジですね。タガネで切ってしまうかどうか。

もう少し。

外れました。

最後がエキマニですね。これも見事に頭が溶けてしまっている。

とりあえず遮熱板はもげそうなので、逆にもいでしまう。

こうしたほうがエキマニ本体に狙いを集中して酸素攻撃ができます。

それにしてもうんざりするほど錆びてますね。

1本抜けました。

エキマニのロアカバーは、ネジ山がある程度残っていたので、さっと炙ってターボソケット。これですぐに回ってくれました。

ようやく全てのネジを外すことができました。30分くらいかかったと思います。

新品のカバーを取り付けていきます。

完成です。

こういう作業はプライベートではやりたくないですね。酸素とアセチレンがちゃんと常備されている工場でやらないと大変です。

僕が使ってるのはこちらGrage.comのツイスターソケットです。各サイズあります。

10、12、14mmをもっていればプライベートではほとんど事足りると思います。差込み角は9.5です。

あと地味に活躍してくれるのがネジザウルス

各種サイズありますが、僕はこの1つだけしか持ってません。主に10mmネジに使っています。

錆びたネジにはそれなりの道具がないと厳しいです。いくらターボソケットやツイスターソケットでボルトの頭をグリップして回せる環境下にあったとしても、錆びがひどいとあぶってから回さないとすぐに折れてしまいます

つくづく豪雪地帯の整備士って、毎日こんなことやってるんだろうなぁって感服します。