駆動系

ワゴンRのATFは4万キロ交換指定!ATFを交換しないで壊れてしまったケース

今回紹介するのはスズキのワゴンRです。型式がMH21Sというモデル。最近変な音が出てまったく力が出ないということで入庫。

テスト走行してみたらものすごい異音を発生しています。ギャリギャリギリギリ。Pレンジでアイドリング状態ではさほどでもなく、DレンジやRレンジなどに変速すると異音が大。

長尺ドライバーで異音の位置を探ってみたらミッション内部。この車は通常のATを搭載しています。ダメもとでATFを入れ替えてみたものの症状はまったく改善できませんでした。

修理するには、ミッションを載せ替えるしかない。走行距離は10万キロを超えていました。メンテナンスノートや記録簿をめくってみましたが、ATFは一度も交換がされていませんでした。抜いたATFの色や状態を見ても、一目瞭然です。交換はされてなかったんだろうなと。

ここで一旦整理したいと思います。ちょっと前からATFやCVTは交換が不要になった!とかそういう間違った情報が出回った時期があるんです。それを信じてしまってる人が多い。

ATFやCVTのフルードは無交換でいいのか?

ATやCVTに使われているフルードはそれぞれ専用のものが使われています。誤った交換方法をされるのを嫌って、自動車メーカーが安易に交換ができないように設計されるようになりました。

例えばATやCVTフルードを交換する場合って2通りの手段があります。エンジンオイルの交換のようにドレンプラグを外してオイルを排出。上から新油を注ぐ。

もう1つはチェンジャーを使ってレベルゲージからオイルを吸入して、同じようにレベルゲージからオイルを注入する方法。

ドレンプラグからオイルを排出する方法だと、トルクコンバーターの内部に残っているオイルを抜けきることができません。つまり全量交換ができない。

なので、チェンジャーを使って少しずつ希釈させながら交換するか、圧送して抜くかといった手段を整備工場では取るところが多いです。この方法の方がよりATやCVTの内部まできれいにすることができる。

ATFって熱で膨張する性質を持ってます。レベルゲージにもコールドとホットの確認メモリがついています。ちゃんとした量を入れないと、いろいろな不具合がでてきます。

安易にフルード交換をされて、不具合が多発した時期があり、自動車メーカー側はオイルレベルゲージを廃止するモデルが出てきました。レベルゲージを付けておかなければ簡単には交換ができません。

交換による不具合を防ぐことが出来る。この時期からATFやCVTフルードは無交換でいいというイメージが世間に浸透しました。

実際にどうなのか?

ATFにはきちんとした交換時期が設定されている

CVTフルードは、無交換と自動車メーカーがしている場合が多いです。ですがATFに限って言えば、ちゃんと交換時期を自動車メーカーが明記しています。

例えばこのATが壊れてしまったワゴンR。メーカーの交換基準を調べてみると4万キロまたは3万キロで交換とされています。シビアコンディションの場合3万キロです。

通常使いであっても4万キロで交換をしないといけないというわけです。

もし10万キロに達する前にメーカー基準でATFを交換していれば、2回は交換されていたことになります。つまり、壊れなかった確率が高いです。

何故ATF交換が見落とされがちになるか?

ATFの交換って、どうして見落とされがちになってしまうのか?

新車で車を買って、その車をずっと同じ整備工場で整備していれば、ちゃんとしたスパンで交換をオススメされると思います。

エンジンオイルの場合は、オイル交換をしないといけないという認識がドライバー全体に浸透しています。教習所でも教えてもらえますから。しかしATFの場合って、交換の必要性を理解していない人が多い。

エンジンオイルの交換よりも金額も高目になります。一見さんが車検を依頼してきた時、それまでの整備歴が不明のため、走行距離を加味して交換をお勧めする工場も当然あるでしょう。

ですが、金額的に見送る人が多数います。最終的に壊れてしまう。

ワゴンRのAT交換の修理費用は?

ATFの交換をケチっていると、結果ミッション本体を壊してしまい膨大な修理金額が必要になります。

例えば今回のワゴンR、修理金額としてどのくらいかかったか?

リビルトミッションに載せ替えたわけですが、

リビルトミッション12万円

ATF・オイルシール

エンジン脱着によるLLC補充

工賃

これらをすべて計算すると20万円弱といった金額です。もしメーカー基準でATFをきちんと交換していればどうだったか?ワゴンRクラスであればATFの交換に1万円もかかりません。

2万円程度の整備を怠ったがために10倍近い修理代が必要になってしまった。

ATFやCVT、もちろんデフやトランスファなどもそうですが、オイルが入っているものに関しては必ず劣化します。自動車メーカーは無交換をうたっていても、ディーラーが不具合を回避するために独自にCVTフルード交換を提案しているところもたくさんあります。

きちんとした技術を持った整備工場で、フルードを交換してもらえれば安心です。

ATFやCVTフルードの交換時期ってどうやって調べる?

ATFやCVTフルード、デフオイルなどの交換時期ってどこに記載されているのか?取り扱い説明書には書いてないことがほとんどです。

説明書ではなくて、メンテナンスノートと呼ばれる冊子があります。そこに自動車メーカーの交換指定時期や距離がそれぞれ記載されています。

自分が乗っている車のミッションがATなのかCVTなのか、それぞれの交換時期を調べていけば分かるようになっています。

もし、よくわからなかったら整備工場に聞いてください。もし交換時期が過ぎていたら、交換をお願いすればこういったケースを防ぐことができます。

メーカー指定の交換時期を守っていて壊れてしまうのであれば、諦めもつくものです。ですがちゃんとしたスパンでATFやCVTフルードを交換してれば壊れなかったかもしれない・・・。

悔やみきれない出費になります。ATFやCVTのフルードは明確に交換時期が指定されている車種が多いのでちゃんと調べて交換を実施してください。

このようなオイルチェンジャーがあれば、DIYでも交換ができます!

ちなみにCVTが壊れたらこんな異音がします。