Categories: 電装系

セルが回らない原因

冬となると、とにかく多いトラブルが

エンジンかからない

これに尽きますね。

で、ウチの工場にもいろいろなエンジンかからないという、出張が入りました。
その中でいろいろと悩んだものをチョイスしてお届けします。

まず、昭和車の軽トラック。三菱ミニキャブのU15Tのお話。

お客さんから電話があって、エンジンがかからないとのこと。
セルはまわっているか?と聞くと

「回っている。バッテリーも交換したが駄目だった」

セルが回らないということは、

バッテリーが一番怪しいんですが、
この人は新品に変えたとのことで、バッテリーではないと思われ、とりあえず
出張に行ってきました。

車を見て、セルを回すが、

かちっ!

という音がするだけで、エンジンがかかりません。

なんかバッテリー上がりみたいな症状だなぁと思って、
サービスカーのバッテリーとブースターケーブルで電源を供給しても駄目。

セルのマグネットスイッチでもぶっ壊れたか?

と思い、先輩営業マンと押しかけをしてエンジンをかけることにしました。

押しかけのやり方で、ポイントを紹介すると
よく陥りやすいミスとして、1、2速にギアをいれて押しかけしちゃ駄目。
減速比が高すぎるので、

押しかけするには3速をつかうのが一番いい方法です。

もちろんマニュアル車でしか出来ません。

鍵をイグニッションONまで回しておいて、3速にギアを入れておきます。
それでクラッチを切っておいて、車を押せるようにしておいてね。
坂道などを利用して、車を転がして、勢いがついたところにクラッチを一気につなげるとエンジンはかかります。

これが押しがけです

で、押しかけでエンジンがかかったので、慎重に工場に持っていくことにしました。

リフトであげて、もう一度バッテリーをブースターでつないで見ますが、
やっぱり駄目。

イグニッションスイッチかな?と思ったけれど、ACC電源などは正常に動いてるし、
なによりセルモーターが

かちっ!

という音がするのでイグニッションスイッチは壊れてないと判断。
セルを外してみました。

セルをはずすときはバッテリーを外しておこうね。
ショートしてメーンヒューズがとんじゃうからね。オルタネーターを外すときも同様にバッテリーを
はずすのですよ。

で、セルを外して、単体でテストすることにしました。

バッテリーから電源をとって、セル本体の鉄の部分にマイナスをアースさせます。

で、それぞれの端子にプラスをつないで、セルがまわるかどうか?チェック。

おや?セルは正常に回るぞ!?

セルモーターを組み直しました。

ここで整理。

バッテリーは正常!
イグニッションスイッチも正常
セルも正常

でもセルモーターがまわらないということは、
セルまで電源がいってないのかもしれません。

でもバッテリーは新品でしょ?お客さんが変えたっていってたし。

で、配線をテスターで追っていくことにしました。
うむむ?何か変だぞ!?

と思って、バッテリーまでの配線を追っていったところ変なところを発見

バッテリーのプラス端子が緩んでいましたついでにバッテリーの端子をチェックすると

錆び錆びの粉粉


原因はこれでした。
この手の昔の車は、セルに直接電気を流す配線と、車への配線の2つがバッテリーのプラス端子からでています。
最近の車は端子は1つで、途中から分岐させてあるよね?

この車はそれぞれが別々の端子になっていました。

で、セルの方へ繋がる端子を見たら、錆び錆びで朽ち果てそうだった。

これが原因です。

ことの発端がこうでした。

お客さんは、セルモーターが回らないという症状に陥ったので、
バッテリーを交換しました。

これは正解。お客さんが交換したという古いバッテリーをチェックしたところ、比重も下がっていて、
もう何年も前のバッテリーだったので、バッテリー上がりを起してました。
とくにここ2、3日は寒かったからね。

で、その後のバッテリーの取り付けが悪かった。

通常、バッテリーを交換するさい、
ポン付けでいいやって思う人は結構居ますよね?
でも本当は、それぞれの端子をヤスリで磨いて、電気が流れやすいようにしてやってから
つけるのが正解。

今回、ソレをやっていなかったため、接触が不十分で、セルまで大電流が流れていませんでした。

バッテリーの端子をヤスリで磨いてぴかぴかにして
バッテリーの鉛の端子も磨いて接続すると

セルは元気よくまわり、エンジンがかかりました。

これにて一件落着。

なんだよ~って感じのトラブルで、お金は取らずにサービスでやってあげましたが、
車の整備に慣れている人が陥りやすいトラブルですね。

皆さんも参考にしていただければ幸いです。

バッテリーはマイナスの端子から外して、取り付けるときはプラスの端子から取り付けましょう。

セルの動きはバッテリーにかかってきます。

MHOショップお勧めバッテリーもどうぞお試しください。