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サイドブレーキを引いたとしても車は動くことがあることを知っておこう

ちょっと気になる記事がありました。

車には必ずサイドブレーキというものがついています。パーキングブレーキともセンターブレーキとも呼ぶことがあります。

どれも用途は同じで、ブレーキペダルを踏んでいなくてもブレーキを保持するための機構。いわゆる駐車中に車が動かないようにするためのものです。

このサイドブレーキですが、今主流は電動パーキングブレーキというものになりつつあります。従来のレバーがスイッチになっていて、スイッチを押すとリヤブレーキに取り付けられているモーターが動いてリヤブレーキをロックしてくれるもの。

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ですがまだまだワイヤーの機械式サイドブレーキがほとんどです。車のサイドブレーキを信用しきっていると痛い目にあいますよ。というお話です。

まず機械式のサイドブレーキの仕組みから。

レバーを引き上げるタイプや引っ張るタイプ。さらには足踏みタイプでも共通しているのがその先はワイヤーでリヤブレーキと繋がっているということ。

レバーやペダルでワイヤーを動かしてリヤブレーキをロックさせるのです。これがサイドブレーキの簡単な仕組み。

サイドブレーキを引っ張るとカチカチという音がして徐々にレバーやペダルが固くなっていきます。このカチカチというのがノッチ数というもので、一応メーカーで規定のノッチ数が決まっています。

取扱説明書に書いてありますが、例えば5ノッチから10ノッチの範囲なんて記載されていたりします。これは最低でも5ノッチ以上は引いてくださいよという意味でもあります。

レバーからワイヤーを介してリヤのドラムブレーキを広げたり、ディスクブレーキを縮めたりするわけで、ブレーキが動き出す効き始めのノッチ数です。

ただ厄介なのが、車検整備に出すとこのノッチ数が変わってくること。車検でサイドブレーキを調整することがあるんですが、いたずらに調整しすぎるとものすごくサイドブレーキのレバーが固くなったりすることもあります。僕はマイルドなセッティングをする方ですが、同僚の中にはもはや1ノッチしか引けないくらいきつめにセットする整備士もいます。

サイドブレーキを調整されちゃうと、取扱説明書に書いてあるノッチ数はあてにならなくなる。レバーの動きがかなり重たくなっていたとしたら、相当ブレーキをつめてあります。

そして、サイドブレーキをかけていたとしても車は動くことがあるのです。これも経験したことがあるとわかると思いますが、低ミューの路面が危ない。

雪の坂道や雨の坂道です。サイドブレーキをきちんとかけていたとしても車が動くことがあるんです。なぜか?これはブレーキの性能というよりはタイヤのグリップに問題があります。ブレーキはロックしていても、タイヤのグリップが斜面から生み出されるGよりも低ければ、サイドブレーキをかけていたって車は動きます。本当です。

よく経験するのが、雨の日にレッカーするとき。

レッカー車に車を載せるのはいいんです。問題は降ろすとき。

レッカー車の荷台を下げてワイヤーを解除・・・した途端に車が動き出す・・。こういうことはよくあります。レッカー車の荷台は鉄で雨が降るとツルツルと滑る。それこそ変なタイヤを履いてる車を降ろそうとすると車がずってしまう。

これを回避するには車を降ろす前にワイヤーを外してはならないわけです。初心者がレッカーするときに陥る罠。

車ってサイドブレーキをかけていたとしても動くことがあるのです。これは覚えておいてください。MT車であれば、ギヤをローかバックに入れる。オートマなら当然パーキングに入れるといったことをしておかないと、危険なのです。