中古車を購入して1か月。
ようやく新しい車にも慣れてきた頃、突然エンジン警告灯が点灯した。
販売店へ相談すると、
「保証の対象外なので、修理代は20万円です」
と言われた。
中古車とはいえ、購入してまだ1か月です。
お客さんからすれば、
「納車前に点検したんじゃないの?」
「最初から壊れかけていたのでは?」
「購入直後なのに自分で払うの?」
と思うのは当然です。
しかし、中古車が購入直後に故障したからといって、すべての修理を販売店が無料で行うとは限りません。
反対に、販売店から「中古車だから仕方がない」「保証なしで販売した」と言われたとしても、それだけで購入者が必ず全額を負担するとも限りません。
重要なのは、故障するまでの日数だけではありません。
購入時の保証内容、車の状態、販売時の説明、故障した場所などを確認する必要があります。
「1か月以内なら無料」という決まりではない
中古車を購入した人から、
「買って1か月以内なら、販売店が無料で直すものではないですか?」
と聞かれることがあります。
しかし、購入から何日以内なら、どのような故障でも必ず無料になるという単純な話ではありません。
中古車は、一台ごとに年式、走行距離、整備歴、使用環境が違います。
購入した翌日に故障することもあれば、保証期間が終わった直後に不具合が出ることもあります。
無料修理になるかを判断するうえで、最初に確認したいのが保証書です。
保証期間は何か月なのか。
走行距離の制限はあるのか。
エンジンやミッションは対象なのか。
エアコンやナビなどの電装品は対象なのか。
消耗品は除外されているのか。
保証には対象になる部品と、対象外になる部品があります。
「保証付き」と書かれていても、車のすべてが保証されるわけではありません。
自動車公正取引協議会も、中古車は使用歴のある車なので納車後に不具合が出ることがあり、購入前に保証範囲を確認するよう案内しています。
購入直後に故障したら、注文書、保証書、車両状態を記載した書類を確認してください。
販売店の独自保証だけでなく、前の所有者が新車で購入したときのメーカー保証が残っている可能性もあります。
ただし、メーカー保証を利用するために保証継承の手続きが必要になる場合があります。
保証書には、
・保証期間
・保証される部品
・保証対象外の部品
・修理を受けられる場所
・修理前の連絡方法
などが記載されています。
「保証付きと聞いていたけれど、保証書をもらっていない」というケースはトラブルになりやすいです。
口頭での説明しか残っていないと、後から「言った」「言わない」という話になる可能性があります。
自動車公正取引協議会の相談事例でも、保証付き中古車を購入したものの保証書を受け取らず、故障時に部品代の負担を求められたケースが紹介されています。
保証付きで購入する場合は、保証範囲と期間が書かれた保証書を必ず受け取り、保管しておくことが重要です。
保証期間内であっても、すべての交換部品が無料になるわけではありません。
一般的に、タイヤ、ブレーキパッド、ワイパーゴムなど、使用によって減ったり劣化したりする消耗品は保証対象外になることがあります。
オイルや冷却水などの油脂類、電球、バッテリーなども、保証内容によって扱いが異なります。
購入後の事故や間違った使用方法、改造などが原因の不具合も、保証対象外になる可能性があります。
例えば購入直後にタイヤの溝が少ないことへ気づいたとしても、販売時にその状態が説明されていて、使用可能な中古車として合意して購入したのであれば、必ず新品へ交換してもらえるとは限りません。
一方、走行に関わる重大な不具合が購入前から存在し、購入時に説明されていなかった可能性があるなら、単なる消耗とは分けて考える必要があります。
中古車には「保証なし」や「現状販売」と表示されている車もあります。
価格を抑える代わりに、納車後の故障へ販売店独自の保証を付けない販売方法です。
このような車は、保証付きの中古車より購入後の修理リスクが高くなります。
ただし、「保証なし」と表示されていれば、どのような問題があっても販売店は一切関係ないと単純には判断できません。
購入前に説明された車の状態と、実際の状態が大きく異なる場合があります。
修復歴なしと説明されたのに、実際には大きな修復歴があった。
正常に走れると説明されたのに、納車直後から重大な不具合が出た。
販売店が把握していた不具合を説明していなかった。
このような場合は、保証の有無とは別に、契約内容や販売時の説明を確認する必要があります。
逆に、販売時に不具合の内容が具体的に説明され、購入者も納得して安く購入している場合は、後から同じ場所の無料修理を求めるのが難しいこともあります。
「現状販売」という言葉だけを見るのではなく、どの不具合が説明され、書面へ残されていたかが重要です。
納車後すぐに故障すると、近くの整備工場へ持ち込んで修理したくなるかもしれません。
しかし、販売店へ連絡せずにほかの工場で分解や部品交換を行うと、保証を受けられなくなる可能性があります。
販売店側が、
「故障状態を確認できていない」
「事前に修理の了承をしていない」
「保証修理なら指定工場で行う必要があった」
と判断することがあるからです。
まず販売店へ連絡し、症状と発生日時を伝えてください。
警告灯が点灯しているなら写真を撮ります。
異音が出ているなら動画や音声を残します。
レッカー移動が必要な場合は、どこへ運ぶのか販売店へ確認します。
安全に関わる異常がある車を、販売店まで無理に運転してはいけません。
自走してよいかも含めて相談してください。
購入後に不具合が出た場合は、感情的に「欠陥車を売られた」と決めつける前に、状況を整理して伝えることが大切です。
・購入日と納車日
・故障が起きた日時
・納車後に走った距離
・警告灯や異音の有無
・どのような走行中に起きたか
・エンジンの再始動ができるか
・保証書に何と書かれているか
・購入時に故障箇所について説明があったか
こうした情報があれば、販売店も保証対象になるか確認しやすくなります。
「買ったばかりだから全部無料で直してほしい」と伝えるより、
「保証内容を確認したいので、まず故障原因を点検してほしい」
と相談した方が話を進めやすくなります。
納車前点検で故障は全部分からない
中古車販売店が納車前に点検していても、その後起きる故障をすべて予測できるわけではありません。
点検時に正常に動いていたセンサーが、納車後に突然故障することがあります。
エアコンが納車時には効いていても、小さなガス漏れによって後から冷えなくなる可能性があります。
バッテリーが点検時には始動できる状態でも、気温や使用状況によって急に性能が落ちることがあります。
点検したからといって、すべての部品の残り寿命を正確に把握できるわけではありません。
そのため、購入直後の故障が必ず販売店の点検ミスとは限りません。
一方で、点検時に明らかな異常があったのに説明されていなかったのであれば、販売時の対応を確認する必要があります。
重要なのは、
「買ってすぐ壊れた」
という結果だけではなく、
「購入時にどのような状態だったのか」
「その状態について説明があったのか」
を確認することです。
故障する前に見抜くための確認
中古車は購入後だけでなく、契約前の確認が重要です。
価格や走行距離だけで決めず、次の点を確認してください。
・保証付きか、保証なしか
・保証される部品と期間
・定期点検整備付きか、整備なしか
・修復歴の有無
・車両状態を記録した書類があるか
・異音や警告灯がないか
・エアコンや電装品が正常に動くか
・注文書に説明内容が記載されているか
自動車公正取引協議会は、中古車の品質評価書について、エンジン、足回り、電気・保安、車体、外装などの状態を確認するための仕組みとして紹介しています。
第三者機関などによる車両状態評価書がある場合は、内容を確認しておくと判断材料になります。
納車時にも、注文した車と装備が合っているか、警告灯が点灯していないか、保証書がそろっているかを確認してください。
説明は口頭だけで終わらせず、可能なものは注文書や保証書へ記載してもらうことが大切です。
保証内容を確認しても販売店と意見が合わない。
購入時の説明と実際の状態が違う。
保証付きと聞いていたのに、修理を断られた。
このような場合は、やり取りの記録を残してください。
電話だけでなく、メールなどで症状や販売店の回答を記録しておくと、後から状況を整理しやすくなります。
注文書、保証書、広告画面、販売時の説明資料、修理見積書なども保管してください。
解決が難しい場合は、消費者ホットライン188や、自動車公正取引協議会、販売店が加盟する業界団体などへ相談する方法があります。
国民生活センターによると、中古車では購入時のキャンセルだけでなく、購入した車の品質に関する相談も寄せられています。
中古車を買って1か月で20万円の修理が必要になれば、納得できないのは当然です。
しかし、購入直後だから必ず販売店が全額負担するとも、保証なしだから必ず購入者が全額負担するとも言い切れません。
確認すべきなのは、
・保証の期間内か
・故障した部品は保証対象か
・購入時に不具合の説明があったか
・販売時の状態と実際の状態が一致しているか
・修理前に販売店へ連絡したか
という点です。
中古車は、同じ車種、同じ年式、同じ走行距離でも、一台ごとに状態が違います。
価格だけでなく、保証と車両状態まで含めて選ぶ必要があります。
そして購入後に故障したら、すぐに自費で修理する前に、販売店へ連絡してください。
注文書と保証書を手元に置き、
「この故障は、どの保証条件に基づいて対象外になるのですか?」
と確認する。
その一言が、購入者と販売店の認識を整理する第一歩になります。
参考:
自動車公正取引協議会「中古車の購入は保証範囲をよく確認しましょう」
https://www.aftc.or.jp/contents/am/jouzu/chuuko/keiyaku.html
自動車公正取引協議会「保証による修理なのに部品代を負担してほしいと言われた」
https://www.aftc.or.jp/contents/am/shohisha/faq/chuuko/qa_03.html
国民生活センター「中古自動車に関する相談」
https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/ucar.html
中古車を探すときは、価格や走行距離だけでなく、保証内容や車両状態も比較することが大切です。
希望条件に合う中古車を自分だけで探すのが難しい場合は、無料の中古車提案サービスを利用する方法もあります。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。