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2031年からドライバー監視が義務化へ。車に人間が見られる時代が本格化する

またひとつ、車が人間を監視する時代へ進みます。

国土交通省は2026年9月30日、道路運送車両の保安基準などを改正し、運転者の眠気や脇見を検知して警報する「ドライバーモニタリングシステム」の装着を義務付けることを発表しました。

対象は一部の特殊な車両などを除く幅広い自動車で、新型車については2031年9月から、継続生産車については2033年9月から適用されます。

なお、制度そのものは2026年10月20日に施行されますが、「10月20日からすべての車に付けなければならない」という話ではありません。

実際の車両への適用は2031年以降です。

車がついに「運転手」を見るようになる

これまでの安全装備というと、

・衝突被害軽減ブレーキ
・車線逸脱警報
・誤発進抑制
・ブラインドスポットモニター
・後方警戒
・自動ハイビーム

など、基本的には「車の外」を監視するものが中心でした。

カメラやレーダーで前方車両や歩行者、白線、障害物などを検知する。

ところが今度は違います。

監視対象が「運転している人間」になります。

ドライバーが眠そうではないか。

前を見ているか。

脇見をしていないか。

つまり、車が外を見るだけでなく、車内にいるドライバーまで見る時代になってきたわけです。

国土交通省も、眠気や前方不注視を早期に検知し、警報することで、居眠り運転や脇見運転による事故の防止につなげることを目的としています。

正直、少し息苦しい時代ではある

昔の車は単純でした。

ハンドルを回す。

アクセルを踏む。

ブレーキを踏む。

基本的にはドライバーが全部判断していました。

今は違います。

車線をはみ出せば怒られる。

前の車に近づけば怒られる。

シートベルトを締めなければ怒られる。

休憩した方がいいと表示される車もある。

そして今後は、

「眠そうですよ」

「前を見ていませんよ」

と、車から人間の状態まで指摘されるようになります。

人間が車を運転しているのか。

それとも車に運転を管理されているのか。

だんだん境界線が曖昧になってきました。

整備士を長くやってきた立場からすると、昔の車を知っているほど、この変化はものすごく大きく感じます。

でも、こうでもしないと事故は減らない

ただし、これは単純に「余計な装備が増えた」と片付けられる話でもありません。

人間はミスをします。

疲れれば眠くなる。

スマートフォンが気になる。

ナビを見る。

考え事をする。

ほんの数秒前方から目を離すだけでも、大きな事故につながる可能性があります。

どれだけ「脇見運転は危険です」「疲れたら休みましょう」と呼びかけても、事故はゼロにはなりません。

だったら車の側から人間を監視して、

「危ないですよ」

と警告させる。

安全という意味では、合理的な進化だと思います。

運転者を信用しない、というより、人間は必ずミスをするという前提で車を作るようになってきた、と考えた方が近いのかもしれません。

整備士にとっては、また見る場所が増える

一方で、整備する側からすると少し複雑です。

装置が増えれば、当然故障する場所も増えます。

ドライバー監視用カメラ。

センサー。

制御コンピューター。

配線。

警告灯。

システム故障時には、運転者が故障を認識できる仕組みも求められています。

将来的に中古車として流通する頃には、

「ドライバーモニター異常」

「カメラが運転者を認識しない」

「警告が消えない」

といったトラブルも増えてくるでしょう。

今までならエンジン、ミッション、ブレーキなどを診断していればよかったのが、今後は人間を見るカメラまで診断対象になっていきます。

整備士の仕事は、本当にどんどん電子機器寄りになっています。

まあスバルではすでに採用していて、これの故障には僕はまだ遭遇したことはないですが・・・。トラックなどにも広くつかわれてますよね。

社外品との相性も問題になるかもしれない

これから気になるのが、カスタムとの関係です。

ハンドルを交換した。

メーター周辺にスマートフォンホルダーを取り付けた。

ダッシュボードに社外品を取り付けた。

サングラスや帽子などで顔が認識しにくくなった。

こうしたことがシステムにどこまで影響するのか。

カメラの位置によっては、ちょっとした用品の取り付け方でも視界を遮る可能性があります。

ADASが普及したことで、フロントガラス交換後のカメラ調整やエーミングが必要になったのと同じように、ドライバーモニタリングにも整備上の新しい注意点が増えていくでしょう。

最後はやっぱり自動運転なのか

こうして考えてみると、車の進化の方向はかなり分かりやすいです。

最初は人間が全部操作していた。

次に、車が運転を補助するようになった。

そして今度は、車が運転者そのものを監視するようになる。

では、その先は何なのか。

最終的には、

「もう人間が運転しなくてもいい」

という自動運転へ進んでいくのでしょう。

実際、自動運転レベル3でも、システムから運転操作を引き継げる状態にドライバーがあるかを監視するドライバーモニタリングは重要な要素として以前から位置付けられています。

車が人間を助ける。

車が人間を監視する。

そして最後には、車が人間の代わりに運転する。

今は、その途中にいるのかもしれません。

個人的には少し寂しさもあります。

車は自分で操作するから面白い。

機械を自分の意思で動かすから楽しい。

そんな感覚を持っている人も多いでしょう。

ただ、交通事故を減らすという目的を考えれば、技術が人間のミスを補う流れは止められないと思います。

2031年。

新車では「車が運転手を見ている」というのが当たり前になります。

便利になるのか。

窮屈になるのか。

それとも、その頃にはそんなことすら誰も気にしなくなっているのか。

車は今、機械から「運転を管理するコンピューター」へ、確実に変わり始めています。

シートベルト警告音なんかも、車が人間を監視している側ですからね・・