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いろいろなオーバーヒート事例

オーバーヒートって最近見かけなくなりましたね。
昔の車は、冷却システム自体が容量不足で、かつ制御方法がイマイチなのでよく
オーバーヒートを起こしていました。
ですが、整備士をしていると、電子制御全盛時代に体験したオーバーヒートがあります。
こんな時代でもオーバーヒートが起こりうる。今回はそんなお話。

まず1つめのオーバーヒートの事例はこれはもう納得。
冷却ファンをベルトで駆動している、いわゆるファンベルトが切れてしまった。大抵はオルタネーターの駆動と
セットになっているものが多いので、バッテリーも上がってしまったと。
エンジンを覗いてみると、ファンベルトがなくなっているというケース。

次に経験したオーバーヒートは、電動ファンの動きが遅い。
明らかにブオーっと回るはずの電動ファンがちょろちょろちょろちょろしか回っていなかった。
OBDⅡで、エンジンの制御状態を見たらやはり水温がかなり上がっていた。
これはサブコンピューターを交換して完治しました。

このオーバーヒートも珍しい。イグニッションスイッチが不良でオーバーヒート。
すなわち、電源がハーフの状態に陥っていて、電動ファンがいつまで経っても回らなかった。
最初はファンスイッチかと思ったけど、それ以前のイグニッションスイッチが原因でした。

これは難関だった。
結果からいうと、ヘッドがゆがんでいた。ということ。お客さんが一度オーバーヒートを起こしてしまった。
で、工場に持ってきて何時間もエンジンをかけていてもオーバーヒートは起こらない。
電動ファンは回っている。制御状態も悪くない。負荷を与えた走行でも普通。
でもお客さんに戻すとオーバーヒートしてしまう。といったもの。さすがにこれは原因が分からずに
ヘッドを開いてゆがみを測定したら微妙にゆがんでいたという珍しいケース。

最後はポカミス。お客さんが自分で冷却水を交換しようとしたらしく、
エア抜きが上手く出来ていないがためにオーバーヒートになってしまったケース。
最初は何で水温が上がるか分からなかったけど、エアがかんでいた。スバルサンバーで、
エア抜きがちょっとやりにくいモデルだった。

クーラントのエア抜きに大活躍するアイテムです。

電子制御全盛時代でもオーバーヒートは起こりえます。オーバーヒートをしてしまったら
まずは状況を確認しましょう。車から降りて、冷却水がダダ漏れ状態ならホースが破損している。
こういう場合はエンジンをすぐに止めましょう。冷却が追いつかないオーバーヒートはエンジンフードを
明けた状態で暫くアイドリング。応急処置としてヒーターを全開にすると、水が室内も循環して
冷却水温度が上がるまで時間が稼げます。

ということでオーバーヒートについてでした。