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ミニカ 走行中異音 Rハブベアリング破損 交換 2WD

三菱のミニカですが、お客さんの紹介で入庫してきました。

一般整備依頼で、

「車検に出して、しばらくしたら変な音がする」

ということで、うちのお客さんの紹介で入庫。

結果からお伝えすると、もはや呆れる以外何もないほどの整備っぷりでした。

異音はかなり激しいということだったので、積載車でそのお宅まで行ったんですが、積載車に載せるために動かしたら、恐ろしいほどの異音。

タイヤが今すぐにでも吹っ飛んじゃうんじゃないかっていうほどの異音です。

その状態で、すでに問題があるのはリヤの左のハブベアリングと断定できました。

工場に戻って分解すると、これまで見たことがないような状態になっていました。

このミニカは2WDだったので、ハブのベアリングはブレーキドラムに圧入されているタイプになります。

通常なら、ロックナットを外せばさほど無理なく外れるはずのドラムですが、2WDのくせにスライディングハンマーを使わないと抜けない異常な状態。

裏側。・・・

よくみると、ドラムの中にも鉄粉やら金属片がたくさん。

ちなみにこれが正常な反対側の車輪のハブベアリング。心配になって反対側も分解してみたんです。

壊れているハブベアリング。

こうなってしまった最大の原因は、車検整備時にハブのロックナットを規定トルク以上で締め付けてしまっているということです。

バラバラになってしまったハブベアリングのボール。

ベアリングのカラーです。これもダメージを当然受けています。

ドラムには交換に至るほどの損傷がなかったので、ベアリングとカラーを新品に交換。オーナーにハブのベアリングが壊れていましたと伝えたら

「やっぱり」

という返答。なんでも聞いてみれば、車検が終わった後に決まってこの症状が起こってその度にベアリングを交換してきたということ。おいおい。

反対側の車輪のハブベアリングも交換をしたほうがいいという旨を伝えて交換することにしました。異音はまだ出ていないが、同様のトルクで締め付けられていることは間違いない。いつ壊れるかわかりません。

交換したハブベアリング。こちらはインナー側

アウターベアリング。2つ使っています。その間にカラーが入っている。この三菱の軽自動車の2WDのリヤハブベアリングはカラーも一緒に交換しないとダメです。

どうでしょう?ここまで損傷したハブベアリングを見たのは初めてですよ。もうちょっと走っていたら、インナーレースとアウターレースが分解して、タイヤがすっ飛んでいったでしょうね。

紙一重でした。

損傷したカラー

こちらも損傷したアウターベアリング。

三菱の軽自動車のハブベアリングのトラブルはかなり頻繁です。そのほとんどと言っていいほど整備工場のトルク管理の不備。

このミニカの2WDのリヤハブベアリングの締め付けトルクは

84±14N・m

です。メーカーからも、多発するハブベアリングの損傷に見るに見かねて規定トルクを守るように注意喚起をするアナウンスを流しています。

三菱軽自動車のハブナットの整備作業の注意事項について

今時規定トルクを守らない整備工場はないと思っていたけれど、実際にこういったことが起こっています。

皆さんも、もし整備ミスかな?という疑いを持ったらセカンドオピニオンに相談するのもいいかもしれません。

このお客さんは今回の件を持って、付き合いの工場を考えざるを得ないと言っていました。