日記・戯言

修理したばかりなのに、また故障?整備工場は次の故障を予測できなかったのか

「先月修理したばかりなのに、また車が壊れた」

このような経験をすると、整備工場に対して不信感を持つ人もいると思います。

「前回の点検で気づかなかったのか?」

「修理のやり方が悪かったんじゃないか?」

「もしかして、最初から全部直していなかったのでは?」

サービスフロントをしていた頃、実際にこのような質問を何度も受けました。

前回の修理で10万円、今回も別の修理で10万円。

お客さんからすれば、立て続けに大きなお金が出ていくわけですから、納得できない気持ちになるのは当然です。

ただし、修理直後に故障したからといって、すべてが前回の作業ミスとは限りません。

一方で、本当に前回の修理と関係しているケースもあります。

大切なのは「また壊れた」という結果だけを見るのではなく、前回と今回の故障がどのようにつながっているのかを確認することです。

まず前回と同じ故障なのかを確認する

最初に確認したいのは、前回と今回が本当に同じ故障なのかという点です。

例えば前回はエンジンがかからず、スターターモーターを交換した。

今回はエンジンがかからないものの、原因はバッテリー上がりだった。

お客さんから見れば、どちらも「エンジンがかからない」という同じ症状です。

しかし、故障した部品と原因はまったく違います。

エアコンも同じです。

前回は冷媒ガスが漏れてエアコンが効かなかった。

今回は冷却ファンの故障で冷たい風が出ない。

どちらも「エアコンが効かない」という症状になりますが、修理箇所は別です。

異音の場合も、前回はハブベアリング、今回はブレーキから音が出ているかもしれません。

人間で例えれば、前回は虫歯を治療し、今回は腰を痛めたようなものです。

同じ人の体に起きた不調でも、原因まで同じとは限りません。

車の故障も「症状が似ていること」と「同じ故障が再発したこと」は分けて考える必要があります。

前回の作業と関係しているケース

もちろん、前回の修理と今回の故障が無関係とは限りません。

交換した部品そのものが短期間で再び故障した。

取り付けた部品に初期不良があった。

コネクターが十分に差し込まれていなかった。

ボルトの締め付けや調整に問題があった。

修理時に外したホースや配線へ不具合が発生した。

このような場合は、前回の作業と関係している可能性があります。

修理した場所と今回の症状が近い場合は、まず作業した整備工場へ相談してください。

整備工場側も、前回の作業履歴や交換部品を確認できます。

部品保証や整備保証の対象になる可能性もあります。

このとき、最初から「整備工場が壊した」と決めつけるのではなく、

「前回修理した場所と関係がないか確認してほしい」

と伝えるのがよいと思います。

実際に点検しなければ、作業ミスなのか、部品の初期不良なのか、まったく別の故障なのかは判断できません。

一つの故障が別の部品へ影響することもある

車の部品は、それぞれが完全に独立しているわけではありません。

一つの故障が、周辺部品へ負担をかけることがあります。

例えばオルタネーターの発電状態が悪くなれば、バッテリーにも負担がかかります。

オーバーヒートを起こせば、原因となった冷却系統だけでなく、エンジン本体へダメージが及んでいる可能性があります。

エアコンコンプレッサーが内部で壊れ、金属粉が冷媒回路へ回ってしまえば、コンプレッサーだけを交換しても再び故障することがあります。

このようなケースでは、最初の故障と次の故障に因果関係があります。

ただし、最初の点検時点でどこまで影響が広がっているかを完全に判断できないこともあります。

部品を分解して内部まで確認するには、さらに費用がかかります。

異常が確認されていない部品まで一斉に交換すれば、修理代も大きくなります。

そこで現場では、

「確実に壊れている部品だけを交換するか」

「再発を防ぐために関連部品まで交換するか」

という判断が必要になります。

整備工場が高めの修理を提案する背景には、再発リスクを下げたいという理由がある場合もあります。

整備士は次の故障をどこまで予測できるのか

整備士が車を点検すれば、ある程度先の不具合を予測できることがあります。

オイルや冷却水が漏れ始めている。

ベルトにひび割れがある。

ブレーキパッドの残量が少ない。

ブーツが劣化している。

バッテリーの性能が低下している。

ハブベアリングから小さな音が出始めている。

このように、目で見たり測定したりして劣化を確認できる部品は、交換時期を予測しやすいです。

過去の整備記録も判断材料になります。

その車種で壊れやすい部品や、走行距離から見て寿命が近そうな部品を案内することもできます。

しかし、すべての故障に予兆が出るわけではありません。

前日まで正常に動いていたセンサーが突然故障する。

電子部品の内部が突然断線する。

燃料ポンプが急に動かなくなる。

樹脂部品がある日突然割れる。

このような故障を、通常の点検ですべて予測するのは困難です。

車検に通った翌日に電球が切れることもあります。

車検時に正常に点灯していた電球が、翌日切れることまで整備士には予測できません。

整備士は部品の残り寿命を正確に表示する機械を持っているわけではないのです。

どこまで交換するかは難しい問題

故障を絶対に防ごうとすれば、年数が経過した部品を壊れる前にすべて交換することになります。

しかし、それでは修理費が非常に高くなります。

10万kmを超えた車だからといって、オルタネーター、スターターモーター、燃料ポンプ、各種センサー、エアコン、足回りなどをすべて新品に交換する人はほとんどいません。

まだ正常に動いている部品を交換すれば、お客さんから、

「壊れていないものまで交換された」

と言われる可能性もあります。

交換しなければ、

「なぜ壊れる前に教えてくれなかったのか」

と言われることがあります。

ここはサービスフロントをしていて、とても難しい部分でした。

整備する側は、現在確認できている異常、近いうちに問題になりそうな箇所、まだ使える部品を分けて説明する必要があります。

最終的にどこまで予防整備をするかは、車の年式、今後乗る期間、予算、車の使い方によって変わります。

説明がなかった場合は整備工場にも問題がある

次の故障をすべて予測できないからといって、整備工場に責任がないとは限りません。

前回の点検ですでに明らかな異常が確認されていた。

近いうちに故障する可能性が高かった。

安全に関わる重要な劣化があった。

それにもかかわらず、お客さんへ何の説明もしていなかったのであれば、整備工場側の対応にも問題があります。

すぐに交換しない場合でも、

「今は動いていますが、かなり劣化しています」

「今回は修理しませんが、次に不具合が出る可能性があります」

「この部品まで交換すると再発リスクを下げられます」

と説明しておくべきです。

見積書に記載したり、写真を見せたり、点検記録へ残したりすることも大切です。

お客さんが説明を受けたうえで交換を見送った場合と、何も知らされないまま故障した場合では、受け止め方がまったく違います。

修理後すぐに壊れたら確認したいこと

修理したばかりの車に再び不具合が出た場合は、次の点を確認してください。

前回と今回の症状は本当に同じなのか。

今回故障した部品は、前回交換した部品と関係しているのか。

前回の作業で取り外した場所に問題が起きていないか。

交換部品や整備作業の保証対象にならないか。

前回の時点で、今回の故障につながる兆候はなかったのか。

そして、同じ整備工場へ持ち込むときは、前回の納品書や見積書があると話が進みやすくなります。

いつ修理し、その後どのくらい走り、どのような症状が出たのかも伝えてください。

異音なら、発生する速度や状況を記録しておくと診断の助けになります。

故障の再発と別の故障を分けて考える

修理した直後に別の場所が壊れれば、

「ちゃんと点検してくれなかったのでは?」

と思ってしまうのは無理もありません。

しかし、年数や走行距離が増えた車では、複数の部品が同じ時期に寿命を迎えることがあります。

一つを直した直後に、別の部品が故障することもあります。

それは前回の整備工場が見落とした場合もあれば、予兆のない偶然の故障である場合もあります。

逆に、前回の修理と直接関係する再発や作業上の問題であれば、整備工場にきちんと確認してもらう必要があります。

大切なのは、

「修理したばかりなのに壊れた」

という事実だけで判断しないことです。

同じ故障の再発なのか。

関連部品へ影響が広がったのか。

それとも、まったく別の部品が寿命を迎えたのか。

ここを切り分けなければ、本当の原因は見えてきません。

整備士は車の状態から将来起こりそうな故障を予測できます。

しかし、すべての部品が壊れる時期を正確に当てることはできません。

だからこそ整備工場には、分かっているリスクを正直に説明することが求められます。

そして車を使う側も、修理時にこう聞いてみてください。

「今回ここを直せば、ほかに近いうちに壊れそうな場所はありますか?」

この一言があるだけでも、次の故障に対する心構えと、今後必要になる修理費が見えやすくなると思います。

年数や走行距離が増えた車では、一つの修理が終わった直後に、別の部品が故障することがあります。

今回の修理だけなら直せても、

「この先も修理が続くのではないか?」

と不安になることもあるでしょう。

そんなときは、修理見積もりだけでなく、現在の車にどのくらいの価値が残っているのかも確認してみてください。

例えば、今回の修理に20万円かかっても、修理後に長く乗れる車なら直す価値はあります。

反対に、今後も高額修理が続きそうで、現在の車にある程度の価格が付くのであれば、故障して動かなくなる前に手放す選択肢もあります。

修理代と車の査定額が分かれば、

「あと何年乗るのか」

「今修理するのか」

「まだ値段が付くうちに手放すのか」

を比較しやすくなります。

査定額を確認したからといって、必ず車を売る必要はありません。

直すか手放すかを冷静に考えるための判断材料として、一度現在の相場を確認しておくのも方法の一つです。

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