高級ミニバンでありながら、買ってから数年乗っても高く売れる。
むしろ条件次第では、新車価格を上回るほどの値段がつく。
ここ数年、アルファードにはそんなイメージが定着していました。
もちろん車としての魅力は非常に高く、今も人気車であることに変わりはありません。
しかし2026年、中古車市場ではその「アルファード神話」に、少し異変が起きているようです。
報道によると、アルファードの中古車掲載在庫は、約2年前の400台程度から、2026年9月3日時点で2,313台まで増えたとされています。
単純計算で5倍を超える増加です。
さらに今夏の業者オークションでは、現行型となる40系アルファードが大量に出品されたものの、半数以上が落札されないケースも発生。地域や会場によっては、落札率が3割程度にとどまったとも報じられています。
「アルファードなら、オークションへ出せばすぐ高値で売れる」
そんな状況が、少しずつ変わり始めているのかもしれません。
現行の40系アルファードが発売されたのは2023年です。
発売直後は新車を欲しくてもなかなか手に入らず、納期も長期化しました。
新車を注文できない。
注文できても、いつ納車になるか分からない。
一方、中古車ならすぐに乗れる。
こうした状況では、多少高くても中古車を買いたい人が現れます。そのため走行距離の少ない40系アルファードに、新車価格を超えるような値段がつくケースもありました。
しかし発売から約3年が経過し、状況が変わってきました。
新車の供給が改善すれば、新車を待てる人がわざわざ割高な中古車を選ぶ理由は弱くなります。
さらに、初期に購入した車が車検時期を迎えます。
残価設定ローンの節目や乗り換えのタイミングも重なり、市場へ売却される40系が一気に増えてきたと考えられます。
需要が同じでも、売りたい車が急増すれば相場は変わります。
中古車価格は、その車の性能だけで決まるものではありません。
欲しい人の数と、売りに出される車の数。そのバランスで大きく動きます。
業者オークションで流札が増えたと聞くと、
「アルファードの人気がなくなった」
「いよいよ価格が暴落する」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、そこまで単純な話ではありません。
流札とは、出品された車に誰も入札しなかったという意味ではなく、出品者が設定した希望価格まで入札額が届かなかったケースも含みます。
つまり、売る側はこれまでの高い相場を期待している。
一方、仕入れる中古車販売店は、今後さらに在庫が増えたり、相場が下がったりする可能性を警戒している。
売り手と買い手の希望価格に差が生まれれば、人気車であっても落札されにくくなります。
中古車店からすれば、高く仕入れた車が売れずに残ることが一番怖いのです。
アルファードは高額車なので、相場が数%動いただけでも損失額が大きくなります。
仮に600万円で仕入れた車の相場が50万円下がれば、販売店にとっては大きな痛手です。
そのため市場に大量の車が出てくると、業者側も簡単には手を出せなくなります。
「アルファードが売れない」というより、「これまでと同じ高値では仕入れにくくなった」と考えた方が正確でしょう。
僕は、アルファードそのものが悪い車だとはまったく思いません。
広い室内、高い快適性、存在感のあるデザインなど、人気になる理由をしっかり持っている車です。
家族で使いたい。
長距離移動を快適にしたい。
大人数で乗れる上質な車が欲しい。
そうした目的で購入するなら、非常に魅力的な選択肢です。
ただし、
「数年乗っても高く売れるから買う」
「ローン残高より高く売れるはず」
「実質的な負担は少ないはず」
という前提だけで高額な車を買うのは危険です。
リセールバリューは、メーカーが保証してくれるものではありません。
海外への輸出需要、為替、新車の供給量、販売方法、法規制、モデルチェンジ、人気グレードの変化など、さまざまな要因で動きます。
過去数年間の相場が強かったからといって、その状態が今後も続くとは限らないのです。
特に残価設定ローンや長期ローンを利用する場合、売却価格が想定を下回ると、車を売ってもローンが残る可能性があります。
値落ちしにくいと思って上位グレードや高額なオプションを選び、月々の支払いを増やしていた場合、相場の変化は家計へ直接影響します。
車は投資商品ではありません。
基本的には、使えば走行距離が増え、時間がたてば古くなり、消耗や傷も増えていくものです。
リセールが高ければ結果的に得をすることはありますが、最初から必ず高く売れるものとして資金計画を立てるべきではありません。
一方で、アルファードを中古で買いたい人にとって、在庫の増加は必ずしも悪い話ではありません。
在庫が少なく、欲しい人が多かった時期は、販売店の提示価格が高くても売れていました。
しかし在庫が増えれば、買う側は年式、走行距離、グレード、装備、色、価格を比較しやすくなります。
売れ残る期間が長くなれば、販売価格が見直される可能性もあります。
ただし「相場が下がりそうだから、もう少し待てば絶対に安くなる」と決めつけるのも危険です。
2026年8月後半には、一部グレードで価格が下げ止まったとする相場分析もあります。ガソリン車とハイブリッド車、グレード、駆動方式、色、装備によっても動きは違います。
アルファード全体が一斉に暴落しているわけではありません。
中古車を選ぶなら、価格だけでなく車両状態も重要です。
走行距離が少なくても、短期間で何度も売買された車ではないか。
修復歴はないか。
内外装の状態はどうか。
点検記録簿が残っているか。
リコールやサービスキャンペーンが実施済みか。
保証を引き継げるか。
高額な車だからこそ、安さだけで飛びつかず、購入後の保証や整備まで含めて判断した方がいいでしょう。
アルファードを売却しようとしている人も、過去の高値を基準に考えない方がいいと思います。
知人が半年前にいくらで売った。
SNSで同じグレードが高値になったと見た。
購入時に営業マンから、リセールがいいと言われた。
それらは参考にはなりますが、現在の買取価格を保証するものではありません。
中古車相場は動きます。
しかも在庫が急増している時期は、短期間で査定額が変わる可能性があります。
売却を検討しているなら、1社だけで即決せず、複数の査定額を比べることが大切です。
ただし、一番高い金額を提示した業者が必ずしも安心とは限りません。
契約後の減額条件、キャンセル規定、車の引き渡し時期、代金の振込時期まで確認してください。
中古車在庫が約2年間で5倍を超え、オークションで流札が増えている。
これは、アルファードを取り巻く市場が大きな転換点に来ていることを示しています。
ただし、この数字だけで「アルファードバブルが完全に崩壊した」と断定するのは早いでしょう。
相場は下がり続けるとは限らず、輸出需要や新車供給の変化によって再び動く可能性もあります。
重要なのは、
「アルファードなら絶対に高く売れる」
という思い込みを一度外すことです。
アルファードは人気車です。
しかし、人気車だから値下がりしないわけではありません。
車として必要だから買うのか。
高く売れることを前提に買うのか。
この二つは、似ているようでまったく違います。
リセールバリューは、購入を後押しする材料の一つにはなります。
それでも、それを返済計画の中心に置くべきではありません。
もし売却価格が予想より100万円下がっても、家計に無理が出ないか。
その車を長く乗ることになっても、本当に欲しいと思えるか。
高額な人気車を買うときほど、相場が良いときではなく、相場が崩れたときのことまで考えておく必要があります。
「アルファードだから大丈夫」ではありません。
中古車市場の変化は、これまでの常識がいつまでも続くとは限らないことを、改めて教えてくれています。
noteと週刊MHO通信を始めました
整備士として働いてきた約25年間の体験や、チームMHOを始めてから現在に至るまでの出来事を、noteで少しずつ書き始めました。
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ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。