電装系

クーラントを定期的に交換してないとヒーターが効かなくなる恐れがある

夏の整備風物詩といえばエアコン修理。それでは冬は?と、聞かれるとヒーターです。やはり人間体感的に感じる部分は我慢が難しい。車の異音は許せるけど、ヒーターやエアコンが効かないというのはやっぱり厳しいです。

今回はそんなヒーターが効かないという件について。

まずざっと車のヒーターについて。一部ハイブリッド車や電気自動車は除きます。エンジンを動力としている車の場合、エンジンが発熱をします。それを水冷エンジンなので、クーラントで冷やします。

エンジンの熱を吸収したクーラントはラジエターで冷やされて、再度エンジンを冷やしに行きますが、その熱をヒーターとして室内へ取り込んで使っています。

車でヒーターが効かないとなると、クーラント系統の故障が考えられるわけです。

ヒーターが効かない原因として

・サーモスタットの不良

・ヒーターコントロールの不良

・ブロアモーターの故障

・クーラントがそもそも入っていない

など原因を上げだすと、たくさん出てきます。

その中で今日取り上げたいのはクーラントの交換についてです。

クーラントを交換しないと錆が蓄積する

クーラントには2種類あって、ロングライフクーラント。スーパークーラントに大別されます。ロングライフクーラントはちょっと古い車に使われていたものです。

現在の車はスーパークーラントが入っているので、クーラントを交換するという機会がぐっと減りました。

ロングライフクーラントはロングライフとうたっていますが、防錆効果は2年をリミットとしています。昔の車はクーラントを車検ごとに交換するのが当たり前でした。

ただ防錆効果は薄まっても、不凍効果は持続しています。つまり交換をしなくてもとりあえずすぐに凍り付いてエンジンが壊れるということはありませんでした。

だけど、錆はじわりじわりとエンジン内部などを侵食していきます。

本来なら緑色のクーラントが入っているはずのラジエター。真っ赤な錆汁しかはいっていません。

防錆効果がなくなったクーラントはどんどんと茶色に変色していきます。そして、少しずつですが錆が侵食して詰まってくる。これが実は厄介です。

内部が錆びて、ウォータージャケットをはじめとする冷却ラインが詰まってしまうとどうなるか?

この前こんなことがありました。たまにヒーターが効かないという車。

診断してみると、アイドリング時にはヒーターが効かない。水温計は真ん中をキープしています。水温計が真ん中なら、水温はあがっているはず・・・。

とりあえずエンジンをレーシングしてみると、温かい風がでてくる。

ここで考えられるのがサーモスタット?の不良か?という点。しかしレーシングをやめると途端にヒーターが冷たくなってしまう。

結局原因は何だったのか?クーラントの量が少なかったりエアが噛みこんでいると、こういった症状がでたりします。

ヒーターコアまでちゃんとクーラントが回らないため、ヒーターが効かない。

この場合の原因は錆がヒーターコア手前で詰まっていて、クーラントが流れるときとそうでない時がありました。後輩はサーモスタットの不良を訴えていまたが、OBDをつないでデータモニタを見てみると、水温は90度を超えていました。

つまり完全暖機状態にあった。

エンジンの水温センサが完全暖機状態にある。一応水温は安定している。エア噛みなども考えられましたが、クーラントをフラッシングしてみました。

すると出るわ出るわの錆水。何度も何度もフラッシングした結果、どろどろになった錆が徐々にはがれてきて、クーラントがちゃんと回るようになりヒーターが効くようになりました。

覚えておきたいのは、クーラントの交換時期をちゃんと守らないでいると、中がさび付いて冷却ラインを錆で詰まってしまうことがあります。

これはもはや末期な状態ですが、この状態だとたまに錆が冷却ラインを噛みこんでヒーターが効かなくなったりするわけです。

ヒーターをちゃんと効かせたければ、クーラントも適切なタイミングで交換しないと駄目だよっていうことです。

ものぐさな人にはクーラント復活剤というものもあります。ラジエターのストップリークなどはあまりお勧めできません。これも冷却ラインを詰める可能性があります。

お勧めなのはクーラントブースター。

これはクーラントの防錆効果も復活してくれるものです。

自分で交換が難しいと思ったら、こういった添加剤を入れるだけでも違ってきます。冬にヒーターの効かない車は厳しいです。