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ハイブリッドカーを整備するための資格 低圧電気取扱特別教育をとは?

低圧電気取扱特別教育

通称低電圧講習を受講してきた頃の日記です。今から5、6年前です。
これからの整備士には必須の項目になると思います。
そこで学んだことを皆さんにお伝えしたいと思います。


自動車整備士であれば、もうおなじみになりました低電圧講習。
これは何なのかというと、現在販売されているハイブリッドカーで
自動車の中では高圧の電気を有するバッテリーを積んでいる車両の整備をする際に必要になってくる資格です。

当然、これから販売されているEV(電気自動車)を整備するにも必要です。

労働安全衛生規則第36条では対地電圧が50Vを越えて、直流にあっては750V以上、交流にあっては
600V以下の電圧を低圧電気と定めています。
2009年現在に販売されているハイブリッドカーの殆どがこの間に属するため、
低圧電気の特別教育を終了すれば、整備ができるということです。

この値を超えてくるほどの電気を有する場合は、低電圧講習では整備できなくなってくると。

これからはハイブリッドなしでは自動車は語れなくなってくるために、整備士にとって低電圧講習は
必須項目となってくるというわけですね。


ボクが管轄されている陸事では、2日間の講習を受けて最後に学科試験を行いました。
この学科試験の結果が60点以上とらないと修了証書はもらえません。

低電圧で学んだことといえば、

法律
電気
人命救助
ハイブリッド車のしくみ

といったところでしょうか?
法律はどのような法律で規制されているか?
電気はある程度の知識が必要です。オームの法則はもちろんのこと、直列と並列の合成抵抗のもとめかたなど
最低限は勉強しておいてください。
人命救助については、その場で大体習得が可能です。

ということで、本日はハイブリッド車の仕組みをお伝えします。

まずはハイブリッドの種類

シリーズハイブリッドシステム
シリーズとは直列という意味をもっているそうで、これは車輪の駆動はモーターで行います。
エンジンはモーターを動かすバッテリーの単なる発電機としての役割で、
あくまでモーターで車輪を動かすということ。

パラレルハイブリッドシステム
エンジンとモーターの両方で車輪を駆動するシステムです。
インサイトなどはこれに属してきます。

シリーズパラレルハイブリッドシステム
エンジンとモーターの両方でも車輪を動かすし、モーターのみでの走行可能
プリウスがこれに属します。
まさに無敵との呼び声がふさわしいプリウスのシリーズパラレルハイブリッドシステム。
致命的な弱点があるとすると、ハイブリッドシステムがシステムダウンしたら走行が出来なくなるという特徴も持っています。


これはW10プリウスのインバーターASSYの中身。
インバーターは電力を制御しています。
下に並んでいる筒状のものは、コンデンサです。
ちなみにトヨタのインバーターは水冷です。ここにも冷却水が通っていて、車検整備でクーラントを交換する必要がでてきたら
インバーター内のエア抜きも必要になってきます。


これはDCDCコンバーター
プリウスは通常の12Vバッテリーの充電はハイブリッドシステムの電気からまかなっています。
ハイブリッドシステムは高電圧なので、その高電圧を12Vに落とすためのもの。
イグニッションコイルの逆の仕組みのものを備えていて減圧しています。
それを平滑リアクトルという長いコイルで電気を滑らかにして12Vに安定させて充電しています。

ちなみに、以前も書きましたがハイブリッドカーにはセルモーターもオルタネーターも必要ありません。
ハイブリッドバッテリーへの発電用のジェネレーターを前述したDCDCコンバーターで減圧して12Vを充電しています。

そしてセルモーターはどうするのかというと、これは単純明快。
これもジェネレーターを使う。発電機はモーターになる。つまりエンジン始動時にはセルモーターとして利用しています。

なので、ロータリーエンジンを乗ったことのある人なら分かると思いますが、
プリウスはセルモーターの音が普通とは異なります。
普通のセルモーターはリングギヤを介して回される。なので、セルモーターが回されている間は振動がすごい。
でもハイブリッドカーのジェネレーターは回転が真芯をクランクシャフトに伝えているため、まるでモーターが回っているような音がする。
それはロータリーエンジンのクランキングの音に非常に良く似ています。

つまり、プリウスはHVシステムがシステムダウンするとジェネレーターを回せなくなるため
セルモーターとして使えなくなる。つまりエンジンがかけられなくなってしまう。

それを懸念してホンダシビックハイブリッドはシステムダウン時の保険としてセルモーターは備えている。

そしてハイブリッドとしてはかなり有名になった回生ブレーキ。
これはもともと鉄道からのものだそうです。

車速を落としたいときに、エンジンブレーキとプラスしてタイヤにつなげられている
モーターを今度は発電機としてハイブリッドバッテリーに電気を充電して回生している。
まさに理にかなった構造です。

なのでプリウスなどのハイブリッドカーはエンジンブレーキに回生ブレーキがプラスされるので
車速が他の普通車よりも落としやすいためブレーキパッドは殆ど減らないということになります。

逆にタイヤには負担がかかるため、駆動輪のタイヤは普通車よりも減りやすい傾向にあるということですね。

それとよく話題になるのがエアコン。

W10から先になるとエアコンはインバーター化されます。
つまりプリウスにはエアコンベルトが存在しない。完全にHVバッテリの電力でエアコンを動かしています。

ホンダのFD3シビックはメインとサブエアコンが設定があります。
メインはエンジン駆動。サブはHVバッテリ駆動。