ブレーキパッドは残り何mmで交換する?整備士が残量だけでは判断しなかった理由

日記・戯言

車検の見積もりで「ブレーキパッドが減っているので交換しましょう」と言われたことはありませんか?

残り5mm、3mm、2mm。整備工場によって交換を勧めるタイミングが違うと、どれが正しいのか迷ってしまうと思います。

僕は長年整備士とサービスフロントの仕事をしてきましたが、ブレーキパッドの交換時期は、実はかなり難しい判断の一つでした。

というのも、単純に何mm残っているかだけでは、交換の必要性を判断できないからです。

今回は、僕が実際にどのように交換時期を判断し、お客様へ説明していたのかを紹介します。

ブレーキパッドは残り何mmまで使える?

一般的な乗用車のブレーキパッドは、新品時に摩擦材が約10mm前後あるものが多くあります。

走行を重ねると徐々に摩耗し、残量が少なくなれば交換が必要です。

一般的には、残り3mm程度が交換の目安とされています。余裕を持って5mm程度で交換を推奨する場合もあります。

ただし、すべての車で同じ数値が限度になるわけではありません。

車種やブレーキの構造によって、メーカーが指定する摩耗限度は異なります。

車検の制動力検査に合格したからといって、次の車検まで安全に使用できるという保証もありません。

僕は残り1mmでも、検査時点では制動力が出ているケースがあると考えています。しかし、だからといって1mmまで使うことを推奨するわけではありません。

指定の摩耗限度を守り、限度に達する前に交換することが大切です。

僕が重要視したのは次の車検まで持つかどうか

整備士として働いていた頃、ブレーキパッドの残量を確認したら、必ず考えていたことがあります。

それは、次にこの車が入庫するまで、どれだけ摩耗するかということです。

例えば、ブレーキパッドが残り5mmあったとします。

年間走行距離が少なく、平坦な道路を中心に使用している車であれば、過去の摩耗状況などから、次の車検まで十分な残量を保てると判断できる場合があります。

一方、年間2万km以上走る車や、山道を頻繁に走る車では、同じ5mmでも事情が違います。

次の点検までに大きく摩耗する可能性があるからです。

つまり、同じ残量でも、交換を勧めるべきかどうかは変わります。

僕は整備の現場で、この判断が非常に重要だと感じていました。

残り2mmで交換を断られたらどうする?

サービスフロントをしていると、交換を勧めてもお客様が希望されないことがあります。

「まだ使えるんでしょ?」

「今回は車検を安く済ませたい」

その気持ちは理解できます。

しかし、残り2mm程度まで摩耗したブレーキパッドであれば、僕は早期交換を強く勧めます。

車両の指定限度に近い、あるいは限度に達している可能性もあるためです。

もし交換を見送る場合でも、使用限度を超えていないかを確認し、危険がある状態ならそのままの使用を勧めることはできません。

僕がフロント時代に意識していたのは、交換を見送ったとしても、必ず次の点検時期を具体的に伝えることでした。

「次の車検までは持たない可能性があります」

「少なくとも1年点検は必ず受けてください」

そう説明する必要がありました。

ただし、残量2mmなら1年間使ってよいという意味ではありません。使用状況によっては、もっと早い時期に交換が必要です。

その場で交換しないなら、いつまでに何を確認するべきか。

そこまで説明することが、サービスフロントの仕事だと思っていました。

ブレーキパッドを使い切るとローターまで壊す

交換を先延ばしにすることには、もう一つ大きな問題があります。

それがブレーキローターの損傷です。

ブレーキパッドは、摩擦材を使ってローターを挟み込むことで車を減速させます。

摩擦材がなくなると、パッドの金属製の裏板がローターに直接接触することがあります。

そうなると金属同士が擦れ、ローター表面に深い傷が入ります。

本来ならブレーキパッドだけの交換で済んだところが、ローターまで交換しなければならなくなる。

結果として修理費用が増えてしまいます。

さらに制動性能の低下にもつながるため、費用だけで済む話ではありません。

以前、ローター交換が必要になったケースについて解説しています。

関連記事:
ブレーキパッドの交換だけではダメなのか?ローターも交換で費用がかさむ

自分で整備できる人と、お店任せの人では判断が違う

ここは僕自身の考え方ですが、車を自分で点検・整備できる人と、すべてお店に任せている人では交換時期の考え方が変わります。

自分で定期的に残量を測定し、適切な交換作業ができる人なら、部品を事前に用意して、メーカー指定の限度に達する前の交換時期を細かく管理できます。

一方、普段はほとんどボンネットも開けず、車検のときだけ整備工場に預けるという人もいます。

そのような使い方で、ブレーキパッドを限度ギリギリまで使おうとするのはおすすめできません。

途中で摩耗限度を超えてしまっても、気づかない可能性があるからです。

お店任せの人ほど、整備工場から交換を勧められたタイミングで対応するのが安心だと思います。

もちろん、DIYの場合もブレーキは重要な保安装置です。十分な知識や設備がなければ、交換は整備工場へ依頼してください。

ブレーキパッドの残量を測る工具

ブレーキパッドの厚みを確認するには、専用のブレーキパッドゲージなどが便利です。

ただし、外側から見えているパッドだけで判断するのは危険です。

内側と外側で摩耗量が異なる場合や、片減りしている場合もあります。

キャリパーの動き、ローターの状態なども含めて点検することが重要です。

ブレーキパッド残量ゲージ

何mm残っているかより、次の点検までどう使うか

ブレーキパッドの交換時期は、単純に残量だけで判断できるものではありません。

車の使い方、年間走行距離、前回からの摩耗量、次の点検までの期間。

こうした情報を組み合わせて判断する必要があります。

僕が整備士として大切にしてきたのは、今使えるかどうかだけでなく、次の点検まで安心して使える状態かどうかを考えることでした。

ブレーキパッドは摩耗限度まで使い切ることが目的ではありません。

余裕を持って交換することが、結果として安全にも修理費用の節約にもつながる。

それが、長年整備の仕事をしてきた僕の考えです。

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