オイル交換をしないで起こったブレーキが効かなくなる現象の原因は?ムーヴの実例

結果を先に書くと、ブレーキが効かなくなる原因がエンジンオイル交換を定期的にしてこなかったから・・・。

今回はエンジンオイルが起因となる、少しレアな症例を紹介してみます。

車両はダイハツのムーヴです。

低速でエンストしてブレーキが効かなくなる?

お客さんからの依頼は

「低速でエンストをおこしてブレーキが効かなくなる・・」

というものでした。車はL900系のダイハツムーヴです。まずは症状を再現するところからスタート。

症状としては、低速でブレーキングしようとしたら稀に失火というか、ノッキングのような状況が起きてブレーキが効かなくなるというもの。実走行したら、確かに再現ができました。

まずブレーキが効かないという状態ですが、これは正確に書くと

「倍力装置が働いていない状態」

になっていました。今の車はブレーキペダルを軽く踏んでも、ブレーキ倍力装置のおかげでブレーキが効きます。倍力装置のついてない時代の車は、ブレーキっていうのは思い切り踏まないと効きませんでした。

エンジンの負圧を利用して、ブレーキペダルの踏力をアシストしてくれるのがブレーキ倍力装置。ブレーキブースターというものです。

通常走行時にはきちんと倍力装置が働いているので、ひとまずブレーキブースター本体の故障は除外。気になったのはノッキングのようなものが発生した時にだけ、ブースターが働かなくなっているようでした。

この車はオイル管理が非常によろしくない状態にあり、プラグホール内へもオイルが混入していました。なので、ヘッドカバーとプラグを交換。これにより失火は直りました。

しかし、ノッキングもやはり併発していた。これの原因はなんなのか?

とりあえず、信号待ちでアクセルオフの状態でエンジンがストールしないように、ISCやスロットルボディ、バキュームホースなどを徹底的に洗浄しました。

これでも症状がでるのであれば、吸気系統ではないということになります。

原因はVVTソレノイドバルブの固着

エンジンが低速でノッキングを起こして止まってしまう。その時にはブレーキブースターが効かない。

原因はVVTのソレノイドバルブ固着でした。このダイハツのムーヴに搭載されているエンジンはEFエンジンです。油圧でバルブタイミングを変更するDVVTがついているタイプです。

このDVVTが何をしているか?

エンジンスタート時と高い負荷時にバルブタイミングを遅角に制御する役割を果たしています。さらに、中間域ではバルブタイミングを進角させて、バルブのオーバーラップを多めに取っている。

オーバーラップというのは吸気バルブと排気バルブが両方開いている状態のこと。

つまり、エンストが起ころうとしている時エンジンに何が起こっているか?

遅角へ制御されないといけないバルブタイミングが進角のまま固定されているということでした。

エンジンが止まろうとしているのにバルブタイミングはオーバーラップのままなので、負圧が発生しなくて正圧に近くなっている。その状態だとインテークマニホールドに負圧が発生できないのでブレーキブースターが働かなくなってしまう。

つまりブレーキのアシストが効かないので、ブレーキをいつも通りに踏んでいたんじゃ踏力が足りていない状況でした。

こんないたずらも起こりえるんだなと。

ただここまでだとDVVTのソレノイドバルブがいけないのか、DVVT本体がいけないのかのすみわけができません。しかもこのDVVT本体も昔はよく壊れて何度か交換したことがあります。

これを診断するのは簡単で、ソレノイドバルブにつながる配線を抜いてしまう。

そうすると、ソレノイドバルブは働かない時は遅角のままです。つまり、カプラーを抜いていてもさほどエンジンには影響がない制御で固定されているわけです。

これで症状がおさまるようならソレノイドバルブが不良ということです。

実際に油圧で動くプランジャーをマイナスドライバーなどで動かしてみようとやってみましたが、ひっかかりがあります。

この引っかかりの原因がオイル交換をしていなかったから。

スラッジが堆積していたのです。

オイル交換をさぼっていると、ブレーキも効かなくなる

今回は、オイル交換をしないがためにブレーキまで効かなくなるという実例をあげてみました。

VVTのソレノイドバルブ不良が今回の原因だったわけですが、オイル交換をさぼっているとスラッジがたまります。

これが吸気系統を詰まらせて、正常な吸入空気を確保できなくてエンストすることも考えられます。

エンジンが走行中に停止してしまうと、一発目のブレーキは効きますが二発目は負圧が足りなくなってブレーキの効きが弱くなります。

それに伴って、ブレーキペダルも固く感じるようになります。

エンジンオイルを交換しないと、ブレーキにまで影響が及んでしまうということです。基本的なメンテナンスのオイル交換ですが、総合的に影響を及ぼしてくるのでやはり早めの交換を心がけましょう。

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