ありえない中古車の裏!エアバッグリコールで車検通らずあわやの自費9万?

長年整備の現場で働いてきましたが、このケースは初めて遭遇しました。

中古車販売店の闇のようなものに巻き込まれてしまった話です。

結果を先に書くと、エアバッグリコールが未改修の車両が車検で入庫してきました。ディーラーにリコールを依頼すると、まさかの9万円かかりますと言われたのです。

リコールって無料で直るんじゃないの?って思いますよね。

順を追ってみていきます。

2年前に大手中古車店で買った車・・・

この車のオーナーは、新規ユーザーでした。

2年前に車検と一緒に大手中古車販売店で買ったというもの。今回その大手の中古車販売店に車検の依頼を出したら、なんだかんだでスケジュールを合わせてもらえず受けられなかった為、うちの工場に入庫してきました。

新規ユーザーで、どんな整備歴を受けてきたかも不明。入庫した時に気になったのはエアバッグの警告ランプが点灯していた。

診断をしていくと、どうやら配線類のようでした。調べて行ったら配線が加工修理されていて、そこが断線していたようです。補修しなおすとランプは消えたので安堵しました。

車検内容はそれほどあれていなく、消耗部品の交換で済みそうでした。

続いてリコール歴を調べてみると、助手席のエアバッグリコールが残っていた。

タカタ製エアバッグリコールの未改修車両で、リコールをしないと検査に通らないというやつです。

販売店のルートは大手中古車販売店なので、販売ディーラーが特定できなかったのでいつもすぐに対応してくれるディーラーへリコール予約を取りました。

直近である程度すぐに作業してもらえることになったので、納期を合わせて車検整備のあらかたを済ませてリコールへ出したんです。

リコールから戻ってきたら、明日最終確認して完成検査をすれば納車が出来るな!と思っていた時にまさかの電話。

違うエアバッグがついているため、改修部品が適合しない

ディーラーから電話がかかってきて、終わったのかなと出てみたら

「違うエアバッグが車両についていて、リコール改修部品と適合できません。」

この時点で???。話を聞いていくと、どうやらタカタ製エアバッグのリコール部品は、インフレーターの核となる部分しか供給されていないようです。

そして、ある程度組み替えないといけないんだけど、今ついているエアバッグ本体と適合しないというもの。

デンソー製の燃料ポンプリコール作業を僕も経験しましたが、燃料ポンプアッセンブリではなくて、本当にポンプの部分しか供給されませんでした。つまり、周りの部品を全て分解して再利用しないといけない。

今回のエアバッグも周りの部品は再利用しないといけないんだけど、周りの部品が本来ついている部品とは違う中古部品と差し替えられているという事なんです。

その為、正規のエアバッグを搭載するにはエアバッグアッセンブリで取り直すしかなくて、9万円かかる・・。

ディーラーの言ってることは理解できましたが、では何故そうなったのか?

中古車販売をするときに事故車に中古のエアバッグを付けて売ったな・・・

そういえば、入庫した時にエアバッグランプが点いていた。

何故かエアバッグの配線が加工修理されている跡があった・・・。さらには今回その大手中古車店で車検を遠巻きに断られていた。

これをつなげていくと、この車両はおそらくなかなかの事故車だったんだと思います。事故で助手席エアバッグが展開していたものを、修復して、費用を抑えるために中古エアバッグを取り付けて販売したと。

そして、その事実が今回の車検でつながることを恐れて車検を遠巻きに断っていた・・。

事故車を販売することは悪ではありません。もちろん修復歴有と表記していればいいし、ちゃんとした部品で修理されていれば問題ない。

ただ、一番問題なのはエアバッグを中古部品と交換しているという点です。ユーザーが自身の責任において、中古エアバッグを買って交換しているならしょうがないです。

安全保安部品であるエアバッグを中古に交換して、車を販売しているというのはいただけないなと。

そして、案の定リコール部品が適合しないという有様ですよ。

このお客さんがどういう説明を受けて、この大手自動車販売店から車を買ったかは定かではありませんけど、悪徳だなと目を疑ってしまった。

お客さんからしてみれば2年前に買った車。別に助手席のエアバッグがどうなっててもいいから車検には通してほしい。でも車検を通すには9万円の部品代がかかる・・。最強のジレンマですよ。

結局どうなったか?

トヨタと協議して、事情を話し、今回のみ特例でエアバッグアッセンブリ供給でリコールをしてもらえることになりました。

大手中古車販売店のイメージもあるので、このことはお客さんに伏せておきましたが、こういう販売をされているのなら、結果整備する工場に迷惑がかかるのでやめていただきたいです。

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