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車検で交換した部品を実際に見せるということについて

最近増えてきた車検に、とにかく安く。というご要望事項があります。

いわゆるニューサービスというやつですね。

明らかに保安基準に適合していない部分のみを整備してそれだけで車検を通すというやり方をせざるを得なくなってしまう。
昨日入ってきた車両もそうでした。2回目の車検で40000km。前回は他の格安車検を受けてきている。
2回目はどこからかの紹介で入庫してきました。当然安く!が一番最初に来る。

実際に受け入れ検査をしていくと、エンジンオイルはずっと交換されていない。レベルゲージは下限までオイルの量も減っている状態。プラグは1度も交換されていなくて電極も相当丸くなっている。
ファンベルトはまだなんとか大丈夫だから張りなおしてあげる。困ったのはブレーキだ。フロントのブレーキパッドが2mm位なのだ。このままでも通るけれど、1年くらいしか持ちませんよとお客さんに伝えねばならない。

あとリヤのホイールシリンダーのカップからブレーキオイルが漏れていた。こういう車両に限っていろいろと出てきて困ってしまう。前回の車検ではここまでかからなかった。お宅はどうなっているのか?
といってきましたが、初回車検と2回目の車検では部品の消耗度合いが違う。
最悪はリヤのカップキットだけ交換すれば車検には適合しますとお伝えしたら

「交換した部品を全て積んでおけ」

と言われた。これはかなり悲しい一言だ。実際に対話をしているのはフロントの先輩だが、その低姿勢にはいろいろなところから評価が上がっている。こっちも儲けようと思っているわけでもない。
だけど疑われるのはちょっとなあ・・・と。

恐らくこういうお客さんは一度車屋さん不振になってしまったことがあるんだと思う。どこかでトラブルでもめてしまったとか。そうなってくると相互の信頼関係を築き上げるにはまだ時間がかかるのでしょうね。
積み込んだブレーキパッドを見て何を思うのだろうか?ほかの車屋さんに持っていって

「まだ使えますね」

というお墨付きをもらって、もう一度来るのだろうか?ブレーキパッドはまだ使える。でもほったらかしで2年乗れる厚みかというとそうではないから交換した。
自動車整備はサービス業だ。プライドを持って職人技を披露しても、基本はサービス業なのだ。
それを忘れちゃいけない。と自分に言い聞かせた。初心は忘れちゃいけない