新車の慣らし運転については、今でもメーカーによって細かく指定されている車があります。
以前、日産GT-Rの取扱説明書にかなり具体的な慣らし方法が書かれている、という話をしました。

では、中古車はどうなのか。
新車ではないのだから、もう慣らしなんて必要ない。
普通はそう考えると思います。
でも僕は、中古車にもある程度の「慣らし」は必要だと思っています。
もちろん、新車のように金属同士を初期なじみさせる、という意味ではありません。
僕が考えている中古車の慣らしは、
「前のオーナーの使い方から、自分の使い方へ少しずつ移行させる」
という意味です。
目次
中古車は、それまでどう使われていたのか分からない
中古車を買うと、その車の過去を100%知ることはできません。

もちろん整備記録簿が残っていれば、オイル交換歴や点検歴はある程度分かります。
しかし、
エンジンを普段どのくらい回していたのか。
短距離走行が多かったのか。
高速道路をよく走っていたのか。
暖機もせずにすぐ走り出していたのか。
逆に、ほとんど高回転まで回したことがなかったのか。
そこまでは分かりません。
同じ走行距離5万kmの車でも、使われ方はまったく違います。
だから僕は、中古車を買った直後からいきなり自分のペースで酷使することはしません。
ずっと低回転だった車を、いきなり高回転まで回さない
例えば、前のオーナーがとても大人しく運転する人だったとします。

エンジン回転数はいつも2,000rpm前後。
高速道路もほとんど使わない。
アクセルを深く踏むこともない。
そんな使われ方を何年もしてきた車を買ったとして、納車されたその日にいきなりレッドゾーン近くまで回す。
僕はあまりやりたくありません。
人間で言えば、ずっと運動していなかった人を、突然全力疾走させるようなものです。
まず少し歩く。
次に軽く走る。
そこから徐々に負荷を上げていく。
中古車も、それくらいの感覚でいいと思っています。
最初は普通に乗る。
ある程度走ったら少し高めの回転まで使ってみる。
さらに慣れてきたら、高速道路や登坂路などでしっかり負荷をかける。
少しずつその車の状態を見ながら、自分の使い方へ合わせていきます。
これが僕にとっての「中古車の慣らし」です。
車だけではなく、自分自身にも慣らしが必要
中古車の慣らしというと、車のことだけを考えがちです。

でも実は、運転する側にも慣らしが必要です。
車によって、
アクセルの付き方。
ブレーキの効き方。
ステアリングの反応。
車幅感覚。
死角。
ATやCVTの変速特性。
サスペンションの動き。
すべて違います。
初めて乗った車なのに、最初から限界付近まで使うのは危険です。
「この車は、このくらい踏むとこれだけ加速する」
「このくらいの速度からなら、これくらいで止まる」
「雨の日はこの辺りからタイヤが滑りやすい」
そういう感覚を少しずつ自分の中に作っていく必要があります。
つまり、中古車の慣らしは、
車を自分に慣らすだけではなく、
自分自身をその車に慣らす時間でもあります。
僕はこの感覚を、「車と自分をリンクさせていく」と考えています。
僕は中古車を買ったら、まず油脂類を一度リセットする
僕が中古車を買った時に、できる限りやることがあります。

それが油脂類の交換です。
エンジンオイル。
オイルフィルター。
ATFやCVTF。
MT車ならミッションオイル。
デフオイル。
トランスファオイル。
ブレーキフルード。
冷却水。
もちろん車の状態や構造、交換履歴によってすべて交換するとは限りません。
特にATFやCVTFは、走行距離や状態によって交換方法を慎重に判断する必要があります。
それでも基本的には、
「いつ交換されたのか分からないものを、そのまま信用して乗り続けない」
という考えです。
一度、自分の手元に来た時点で基準を作ってしまう。
例えば、
納車時にエンジンオイル交換。
そこから5,000km走ったら次の交換。
こうしておけば、それ以降の管理が非常に楽になります。
前のオーナーの管理から、自分の管理へ切り替える。
僕にとっては、これも中古車の慣らしの一部です。
最初の数百kmは「点検期間」でもある
中古車を買った直後というのは、その車の不具合が一番見つかりやすい時期でもあります。
しばらく走っていると、
オイルが減る。
冷却水が減る。
異音が出る。
高速道路でだけ振動が出る。
エアコンの効きが悪い。
ブレーキが左右で違う。
こういった症状が見えてくることがあります。
ですから最初の数百kmは、
「慣らし運転」
というより、
「その車を観察する期間」
と考えてもいいと思います。
僕なら、
オイル量。
冷却水量。
タイヤ空気圧。
液漏れ。
異音。
振動。
燃費。
などを普段より意識して確認します。
この期間を経て、
「どうやら問題なさそうだ」
となってから、少しずつ使用条件を広げていきます。
中古車にメーカー指定の慣らしは基本的にない
もちろん、中古車に対して

「購入後500kmまでは○○rpm以下で走ってください」
というメーカー指定があるわけではありません。
ですから、中古車の慣らし運転が絶対に必要だ、と言いたいわけでもありません。
これはあくまで、僕が長く車を扱ってきた中でやっている方法です。
いきなり全開にしない。
まず状態を見る。
油脂類をリセットする。
少しずつ負荷を上げる。
そして車の癖を覚える。
特別なことではありません。
むしろ中古車だからこそ、最初は慎重に扱った方がいいと思っています。
中古車は「買った瞬間から自分の車」ではない
名義変更が終われば、もちろん自分の車です。
でも感覚的には、僕は少し違うと思っています。
中古車は、それまで何年も誰かの使い方に合わせて走ってきた車です。
そこから自分が乗り始める。
最初はまだ、お互いによく分かっていません。
少しずつ走りながら、
音を聞いて、
振動を感じて、
ブレーキを踏んで、
エンジンを回して、
車の癖を知っていく。
そうやって初めて、
「自分の車になっていく」
のだと思います。
新車には新車の慣らしがあります。
そして中古車には中古車なりの慣らしがある。
少なくとも僕はそう考えています。
中古車を買ったら、いきなり全開。
ではなく、
まず一度リセットして、少しずつ車と自分を馴染ませていく。
それが、僕の中古車の慣らし運転です。
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20万kmまで乗るために必要なのは、高価な部品を片っ端から交換することではありません。
壊れやすくなる時期を知って、必要なところに必要なタイミングで手を入れること。
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ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。