日記・戯言

「オールシーズンタイヤなら冬も大丈夫?」雪国でスタッドレスをやめてもいいのか考えてみた

最近、タイヤ売り場で存在感を増してきたのが「オールシーズンタイヤ」です。

名前の通り、

春。

夏。

秋。

そして冬。

1年を通して履けることを売りにしたタイヤです。

夏タイヤとスタッドレスタイヤを毎年交換している人からすると、

「これ1セットで済むなら最高じゃん!」

と思いますよね。

タイヤ交換もしなくていい。

保管場所もいらない。

スタッドレスタイヤを別に買う必要もない。

確かに魅力的です。

そんな中、ダンロップは2026年8月21日、オールシーズンタイヤ「SYNCHRO WEATHER」の新CMに大谷翔平選手を起用すると発表しました。

しかもテーマのひとつが、

「オールシーズンタイヤは凍結に弱い?」

です。

これは雪国に住んでいる人なら、かなり気になるところではないでしょうか。

僕も長野で車の整備を長くやってきましたが、オールシーズンタイヤについて聞かれたら、

「どこで、どう車を使うのか?」

をまず聞きたいです。

オールシーズンタイヤ=スタッドレスではない

まず一番大切なのがここです。

「冬も使える」

という言葉だけを見て、

「じゃあスタッドレスタイヤと同じだ」

と考えないほうがいいです。

オールシーズンタイヤとスタッドレスタイヤは、そもそも狙っている性能のバランスが違います。

スタッドレスタイヤは冬の低温環境や雪道、凍結路などを強く意識したタイヤです。

一方のオールシーズンタイヤは、年間を通した幅広い状況への対応を狙っています。

夏タイヤと冬タイヤの中間、と単純に言い切るのも正確ではありませんが、

「どんな冬道でもスタッドレスと同じ感覚で走れる」

と思ってしまうのは危険です。

一番怖いのは雪より「凍った路面」

雪国に住んでいると分かりますが、冬道で怖いのは雪だけではありません。

むしろ、

「道路が黒く見えるのに滑る」

という状況のほうが怖かったりします。

いわゆる凍結路です。

昼間に雪が解ける。

夕方になって気温が下がる。

その水分が凍る。

見た目には普通の濡れた道路のように見える。

そこでブレーキを踏む。

ツルッ。

これが怖い。

だからタイヤを考えるときも、

「雪の上を走れるか?」

だけではなく、

「凍結した道路をどうするか?」

まで考える必要があります。

長野でオールシーズン1本だけはどうなのか?

僕が住んでいる長野を例にすると、これはかなり悩ましいところです。

長野県といっても地域差があります。

ほとんど雪が積もらない地域もあれば、毎日のように雪道を走る地域もあります。

さらに車の使い方も違います。

雪が降ったら車に乗らない人。

通勤で毎朝必ず車を使う人。

早朝に出勤する人。

夜中に帰ってくる人。

山道を走る人。

スキー場へ行く人。

同じ長野県民でも条件はまったく違います。

例えば、

「雪が降った日は基本的に運転しない」

という使い方なら、オールシーズンタイヤのメリットはかなり大きくなるかもしれません。

逆に、

「朝6時に必ず車で出勤します」

となれば話は変わります。

道路が一番凍結しやすい時間帯を走る可能性があるからです。

タイヤ交換をしなくていいメリットは大きい

とはいえ、オールシーズンタイヤには明確なメリットがあります。

まずタイヤ交換。

春になるとスタッドレスから夏タイヤへ。

冬になると夏タイヤからスタッドレスへ。

年2回です。

自分で交換する人なら作業が必要ですし、お店へ依頼するなら工賃もかかります。

そしてタイヤの保管。

これが意外と大変です。

タイヤ4本って結構場所を取ります。

アパートなどでは、

「置く場所がない!」

という人もいるでしょう。

オールシーズン1セットで運用できれば、この問題をかなり減らせます。

タイヤ2セットを買う必要がなくなる?

もうひとつは費用です。

夏タイヤ4本。

スタッドレスタイヤ4本。

さらにホイールも必要になる場合があります。

車を長く所有すると、この費用は決して小さくありません。

オールシーズンタイヤで年間を通して運用できる環境なら、タイヤを2セット所有する必要がなくなる可能性があります。

ただし、ここで単純に、

「オールシーズンのほうが絶対安い!」

とは言えません。

年間走行距離や摩耗速度、タイヤ価格、交換サイクルによって変わるからです。

結局は自分の使い方次第です。

僕なら「住んでいる場所」より「使う時間」を聞く

オールシーズンタイヤを検討している人に、

「長野だからスタッドレス」

「東京だからオールシーズン」

と地域だけで判断するのも違うと思っています。

僕なら、

「冬の朝何時に車を使います?」

と聞きたい。

朝5時や6時。

夜10時や11時。

こういう時間帯まで毎日車を使うなら、路面凍結に遭遇する可能性も考えなければなりません。

逆に、

「雪が降ったら電車にします」

「基本的に昼間しか乗りません」

「年に数回の雪に備えたいだけです」

という人なら選択肢は変わります。

タイヤ選びは、住んでいる都道府県だけでは決められないんです。

オールシーズンタイヤは「誰にでも最強」ではない

オールシーズンタイヤそのものを否定するつもりはありません。

むしろ、かなり便利な商品だと思います。

タイヤ交換の手間を減らしたい。

タイヤを保管する場所がない。

降雪は少ない。

雪の日は無理に車を使わない。

こういう人には魅力があります。

ただ、

「オールシーズンって書いてあるから、真冬の凍結路もスタッドレスと同じでしょ?」

という認識だけは避けたほうがいい。

タイヤにはそれぞれ得意分野があります。

雪国では「最悪の日」を基準に考えたい

僕がタイヤを選ぶときに大切だと思っているのは、

「普段走れるか?」

ではありません。

「一番条件が悪い日にどうするか?」

です。

冬のほとんどの日は道路に雪がありません。

でも、年に数回、

大雪。

アイスバーン。

早朝の凍結。

そんな日がやってきます。

その日に、

「今日は仕事だから絶対に車で行かなきゃいけない」

のであれば、その条件を基準にタイヤを考えたほうがいい。

逆に、

「そんな日は乗らない」

という選択ができるなら、タイヤ選びの自由度は一気に広がります。

オールシーズンタイヤが広がってきたことで、

「夏タイヤかスタッドレスか」

という二択ではなくなってきました。

選択肢が増えること自体はいいことです。

ただし重要なのは、タイヤの商品名ではなく、

「自分は冬のどんな道路を走らなければならないのか?」

を考えること。

雪国に住んでいる僕なら、オールシーズンタイヤを選ぶ前にまずそこを考えます。

大谷翔平選手を起用した新CMをきっかけに、今年の冬は「オールシーズンタイヤって実際どうなの?」と考える人がさらに増えそうです。