今年の夏も、とにかく暑い日が続いています。
車に乗り込んだ瞬間、
「暑っ!」
と思わず声が出る。
エアコンを最大にして、ようやく車内が冷えてくる。
そんな使い方を毎日のようにしている人も多いと思います。
そして8月も後半になってくると、
「もう夏も終わりだから、車への負担も少なくなるだろう」
と思うかもしれません。
ところが整備する側からすると、少し気になる時期でもあります。
夏を乗り切ったからといって、バッテリーが元気だとは限らないからです。
むしろ怖いのは、
「夏の間にダメージを受けたバッテリーが、これから一気に弱ってくる」
というパターンです。
バッテリー上がりというと、真冬の寒い朝をイメージする人が多いと思います。
確かに低温になるとバッテリー性能が低下するため、冬はトラブルが起きやすい。
しかし、バッテリーにとって過酷なのは冬だけではありません。
夏の高温も大きな負担になります。
さらに夏の車は、
エアコン
電動ファン
ナビ
スマートフォンの充電
ドライブレコーダー
など、電気を使う装備がフル稼働します。
特に短距離走行が多い車では、
「電気をたくさん使っているのに、十分充電する時間がない」
という状態になりやすい。
最近の報道でも、猛暑の時期にJAFへの車のSOSが相次ぎ、バッテリー上がりなどのトラブルが紹介されています。
JAFも、お盆などの連休にはロードサービスの救援要請が増加すると案内しています。2025年度の四輪・二輪を合わせた救援件数は約231万件でした。
バッテリー点検をしていて厄介なのが、
「今は普通にエンジンがかかっている」
という車です。
セルモーターも回る。
ライトも点く。
エアコンも使える。
オーナーからすれば、
「何も問題ないじゃん」
となります。
ところがテスターをつないでみると、かなり弱っていることがある。
僕も整備の現場で何度も見てきました。
バッテリーというのは、
昨日まで普通だったのに、今日突然エンジンがかからない。
そんなことが普通にあります。
タイヤなら溝が減ってくる。
ブレーキパッドなら残量が減ってくる。
目で見て分かりやすい部分があります。
ところがバッテリーは外から見ただけでは、内部の劣化が分かりにくい。
ここが怖いところです。
よく、
「バッテリーって何年で交換すればいいんですか?」
と聞かれます。
これも非常に難しい質問です。
使用環境がまったく違うからです。
毎日ある程度の距離を走る車。
週末しか乗らない車。
近所への買い物だけを繰り返す車。
真夏でも屋外に駐車される車。
ドラレコの駐車監視を使っている車。
同じバッテリーでも条件が違えば劣化具合は変わります。
だから僕なら、
「○年だから絶対大丈夫」
とは考えません。
使用年数と実際の状態をセットで判断します。
特に数年使用していて、この夏ずっと酷暑にさらされてきたバッテリーなら、一度状態を確認しておく価値はあります。
そして忘れてはいけないのが、アイドリングストップ車です。
信号待ちでエンジンを停止。
発進すると再始動。
また停止。
また再始動。
普通の車よりバッテリーに要求される仕事量が多くなります。
そのため専用バッテリーが搭載されていますが、
「専用品だから絶対に長持ちする」
という意味ではありません。
むしろ使われ方によっては負担が大きい。
最近アイドリングストップしなくなった。
以前よりセルの回り方に勢いがない。
そんな変化があれば、バッテリー状態を確認してみてもいいと思います。
ただし、アイドリングストップしない原因はバッテリーだけではないので、それだけで故障と決めつけるのは禁物です。
バッテリー交換そのものは、それほど珍しい整備ではありません。
問題なのは「どこで上がるか」です。
自宅ならまだいい。
朝エンジンがかからなければ予定は狂いますが、ロードサービスなどを呼ぶことはできます。
しかし、
旅行先の駐車場。
高速道路のサービスエリア。
山の中。
夜。
こういう場所だと一気に面倒になります。
しかも最近の車は電気への依存度が非常に高い。
「昔みたいに何とかなるだろう」
とは考えない方がいいです。
夏が終わる。
気温が下がる。
人間にとっては過ごしやすい季節になります。
でも車については、
「猛暑を無事に走り切った=ノーダメージ」
とは限りません。
特にバッテリーは、この夏に受けた負担が後になって表面化することがあります。最近も「冬のバッテリー上がりの背景に夏の高温による劣化がある」という趣旨の解説が出ています。
数年間交換していない。
最近セルモーターの勢いが弱い気がする。
短距離走行ばかり。
夏場はエアコンを常時使用していた。
こういう車なら、冬になるまで放置するのではなく、一度バッテリーを点検しておく。
これだけでも突然のトラブルを減らせます。
僕が整備士として一番避けてほしいのは、
「昨日まで普通だったのに!」
というバッテリー上がりです。
実はその「昨日まで普通だった」の裏側で、バッテリーは少しずつ限界に近づいていたのかもしれません。
猛暑を乗り切った今だからこそ、車にも一度健康診断をしてあげてください。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。