日中勝手にホーンが鳴りっぱなしになるMPV!その原因は何か?調べてみた結果

MPVです。ホーンが勝手になるという症状を受けて入庫しました。

お客さんに問診をすると、ピーピーピーピーという断続的な音ではなくて、ピーーーーーーーーという連続的な音だという事。

最初セキュリティのアラームが誤作動してるのかなと想像しましたが、どうやらそうではないらしいです。難解になりそうな整備でした。とりあえずまとまった時間をお客さんにもらって、症状を再現するところからスタートしました。

しかもこの症状が年に1回出るか出ないかというのです。この時、後輩が整備を担当しました。

再現するのが難しいな・・・。と。最初に預かった時は冬だったんですけど1週間預かった具合ではまったく症状が出なくて、一旦返すことにしました。

そして、この前車検整備で入庫してきたときのこと。結構暑い日だったんですが、症状がでたんです。ここからは僕が整備を担当。

確かにお客さんが言っているようにピーーーーーーという音がずっと鳴り響いていた。

このタイミングを逃すわけにはいかないので、症状が出ている間に調べることにしました。

まずは一番怪しくて、これがいけないんだろうなと思っていたのがホーンリレー。

エンジンルームの助手席側端っこにヒューズボックスとリレーボックスがあります。

ホーンが鳴り響く中、ホーンリレーと他の同じリレーを入れ替えてみました。

これで症状がなおれば、リレーがONになりっぱなし!めでたしめでたし!となるはずでした。

しかし、同じタイプのリレーと付け替えてもホーンはなりっぱなしです。

続いてはホーンスイッチの点検。

ホーンスイッチをパコパコ操作していると、音が止まりました。

どうやら犯人はこの奥に潜んでいそうです。

昔の経験で、スズキのホーンスイッチってエアバッグユニットの中に組み込まれているものがあったんです。つまりホーンスイッチを交換しようとしたら、エアバッグも変えないといけないというもの。

ただMPVはエアバッグユニットの中にボタンはなくて、違うところがスイッチングになってるので、まずは分解。

エアバッグユニットはトルクスではなく、10mmの普通のネジで止まっていました。

とりあえずエアバッグユニットを外します。もちろん外す前にバッテリーマイナスを外して数分放置させています。

このエアバッグユニットのどこにスイッチング機能が付いているのか?

黒い接点があるのが見えますか?これが接触するとONになるということです。

この接点が3箇所ありました。

どうやらこのスイッチは若干調整ができるようになっているみたいです。

ロックナットを緩めれば、接点を広げることは出来そう。

ただし、これだけ接点が離れているのに、何故つながりっぱなしになるのか?後輩はユニットを交換するしかない!と言っていましたが、僕は犯人は別のところにあると思ったので、さらに調査をすすめます。

ここで一旦整理します。

・年に数回ホーンが鳴りっぱなしになる

・症状は再現出来て、ホーンが鳴っている間にリレーを正常のものと付け替えても直らない

(その後ホーンリレーの単体検査もしましたが、当然シロでした)

・ホーンパッド(エアバッグユニット)をポンポンと押すと音がやんだ。

このことから、ホーンパッドの接点付近に問題があることは間違いありません。そして、外気温が30度近くまで上がった暑い日に症状が再現できました。

熱膨張で接点が触れたのか?それにしては接点の隙間はかなり広いし、何かが挟まっているような形跡もなかった。

となると、ホーンパッドよりもさらに奥に問題があると考えました。

そうです、この奥の配線がレアショートしているとしか考えられない。

それが熱でホーンパッドの部品が膨張して微妙なクリアランスを保っていたものが、ショートした。

と、推測しました。

配線をくまなくチェックしました。

すると、ホーンの配線に発見。

ほんの僅かながら被覆が剝けている部位がありました。おそらくここが犯人だ。

ホーンパッドがボルト止めされれば、どこに被覆が剥けた部分が触れたとしてもアースに落ちます。

配線の取り回しを考えても、おそらく金属部分に非常に接触しやすいところにあります。

その他配線をくまなくチェックしましたが、問題ありそうなところはここだけでした。

絶縁処理を施して、配線の取り回しも少し変更して金属部分より離した状態で取り付けました。

これで組み上げると当然ホーンはなりません。念のためしばらく預かりましたが、問題なさそうです。

ホーンの配線がショートしていたというちょっと珍しい故障でした。

ここのところ同僚や先輩、後輩も誤診をしたり失敗をしていました。僕は故障診断をするときはいろんな側面から物事を考えて、ありとあらゆる手段をを使って再現、テストを繰り返します。

安易にその部品が壊れていると決めつけないで、単体試験を繰り返して交換するのは最後に回します。こんなの誤診したら費用だって考えられない損失ですからね。

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