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欧州車のエンジンオイルはなぜあんなに多い?国産車との違いを整備士が解説

輸入車を整備していると、国産車に慣れている整備士ほど「えっ、そんなに入るの?」と思うことがあります。

エンジンオイルの量です。

例えば2,000ccクラスの国産車では、オイル交換時に4L前後という車も珍しくありません。

ところがBMWやメルセデス・ベンツなどを見ていると、

「2Lエンジンなのに5L以上入るの?」

という車が普通にあります。

実際、BMWの現行世代に近い3シリーズ320d xDriveでは、エンジンオイル量が5.5Lとされています。

さらにメルセデス・ベンツの2022年型Eクラスの取扱説明書では、E200 4MATICが6.0L、E220 dが6.3L、E300 d 4MATICが6.5L、E450 4MATICでは8.5Lと記載されています。

じゃあ、なぜこんなに違うのでしょうか?

オイル量が多い=単純にエンジンが大きい、ではない

ここが面白いところです。

例えばBMWの320dは2.0Lディーゼルエンジンですが、オイル量は5.5L。

排気量だけを考えれば、

「2Lなのに5.5L?」

となります。

これはエンジンオイルの量が、単純に排気量だけで決まっているわけではないからです。

エンジン内部の構造、オイルパンの容量、オイルクーラー、ターボ、潤滑する部品の数など、エンジン全体の設計によって必要量が変わります。

特にターボエンジンでは、エンジン本体だけではなくターボチャージャーの潤滑・冷却などもオイルが担当します。

そのため、

「2,000ccだから4L」

というような単純な話ではありません。

欧州車は「オイルを長く使う」設計も特徴

もう一つ注目したいのが、オイルそのものに対する考え方です。

欧州ではACEA(欧州自動車工業会)がエンジンオイルの性能カテゴリーを定めています。

その中には、メーカーが指定する場合に「extended drain intervals」、つまり長い交換間隔を想定したオイルカテゴリーも存在します。

ただし、ここは誤解しやすいところ。

「オイルがたくさん入るから交換しなくてもいい」

という意味ではありません。

実際の交換時期や使用するオイルの規格は、車種・エンジンごとにメーカー指定があります。

むしろ欧州車の場合、

・エンジンの設計
・オイル容量
・オイルの性能
・オイル管理システム
・交換インターバル

こういったものをまとめて設計している、と考えたほうが分かりやすいです。

オイルが多いと何が嬉しい?

単純に考えれば、5Lのオイルと4Lのオイルでは、同じ量の汚れや燃料希釈、水分などが混ざったとしても、全体量が多いほうが1Lあたりへの影響は小さくなります。

また、エンジンオイルには潤滑だけでなく、エンジン内部の熱を運ぶ役割もあります。

そのため、エンジン設計によってはオイル量を確保することで、熱や負荷に対する余裕を持たせることができます。

ただし、

「オイル量が多い=絶対に長持ちする」

というわけではありません。

オイルは使用すれば劣化します。

特に最近の直噴ターボエンジンやディーゼルエンジンでは、燃料希釈やすす、熱負荷など、オイルにとって厳しい条件もあります。

だからこそ、指定されたオイル規格と交換時期を守ることが重要になります。

ちなみに、欧州車なら全部5L以上なのか?

これも違います。

同じメーカーでもエンジンが違えばオイル量は変わります。

BMWでもエンジンによって5L前後から、それ以上まで違いますし、メルセデス・ベンツでもEクラスだけで6.0~8.5Lと幅があります。

つまり、

「BMWだから○L」

「ベンツだから○L」

ではなく、

「この車の、このエンジンなら○L」

と考える必要があります。

整備士としては、輸入車のオイル交換で一番怖いのが、

「だいたい5Lくらい入るだろ」

です。

車種だけで判断せず、エンジン型式やメーカー指定量を確認してから入れる。

そして最後は油量を確認する。

これは国産車でも輸入車でも同じです。

まとめ

欧州車のオイル量が国産車より多く感じるのには、ちゃんと理由があります。

ただ、

「欧州車は高速走行が多いからオイルを大量に入れている」

と単純に考えるのは少し違います。

エンジンの構造、ターボやオイルクーラーなどの装備、熱負荷、オイルそのものの性能、交換インターバルなど、さまざまな要素を組み合わせた結果としてオイル容量が決まっています。

そして現在の欧州車を見ても、BMW 320d xDriveで5.5L、メルセデス・ベンツEクラスでは6~8.5Lというように、確かに「そんなに入るの?」という車は存在します。

整備士からすると、国産車の感覚でオイルを入れると危険。

輸入車のオイル交換は、

「何リットル入るか」

ではなく、

「このエンジンにメーカーが何リットルを指定しているか」

を見るのが正解です。

そして、入れすぎも少なすぎもダメ。

オイル交換って、実は結構奥が深いんです。