夏休みになると、普段よりも車で遠出する機会が増えます。
帰省や旅行、レジャーなどで高速道路を長距離走行する方も多いと思います。
整備士として、この時期になると特に気を付けてほしいと思うのがタイヤの状態と空気圧です。
「タイヤは去年交換したばかりだから大丈夫」

そう思っている方もいるかもしれません。
しかし、実は新品に近いタイヤでも、条件が重なると高速道路でバーストすることがあります。
今回は、実際に高速道路でタイヤがバーストした車両を点検したときの話です。
目次
高速道路でタイヤがバーストした車
ある日、
「高速道路を走っていたらタイヤがバーストした」
という一報が入り、車両が運ばれてきました。
タイヤを確認すると、確かにものの見事にバーストしています。

高速道路でのタイヤトラブルは決して珍しいものではありません。
特に夏休みは、普段あまり長距離を走らない車が一気に高速道路を走ることもあります。
そこで車両の整備履歴を確認してみました。
すると、少し気になる点がありました。
「このタイヤ、去年新品にしたよな?」
今回の車両はリース車。
整備履歴を見ると、前年(2024年の出来事です)にリース支給のノーマルタイヤを新品に交換していました。

「去年新品に交換したタイヤなのに、なぜバーストしたんだ?」
そう思ってタイヤを詳しく確認していきます。
タイヤの製造年月日を確認すると、
2023年の第32週製造。※この記事の出来事は2024年の出来事になります。
少なくとも、製造から何年も経過して硬化したタイヤというわけではありません。
さらに、タイヤの溝も十分残っています。
一見すると、まだ問題なく使えそうなタイヤです。
それでも高速道路でバーストしてしまいました。
タイヤが新しければ絶対に大丈夫なのか?
ここが今回一番伝えたいところです。

タイヤが新しい=バーストしない
ではありません。
タイヤがバーストする原因は一つではありません。
代表的なものとして、
- 路上の異物などによる外傷
- 経年劣化
- 空気圧不足
などがあります。
もちろん、タイヤの年数が経過すればゴムが劣化していくため、古いタイヤは注意が必要です。
しかし今回のタイヤは比較的新しい。
溝も残っている。
それなのにバーストした。
そこで疑われるのが空気圧不足です。
空気圧が低い状態で高速走行すると危険
タイヤは空気圧が適正に入っていることで、設計された形状を維持しています。

ところが空気圧が不足した状態で高速走行すると、タイヤが大きく変形しながら回転することがあります。
この状態が続くとタイヤ内部が異常に発熱し、最悪の場合、タイヤが破損してバーストにつながります。
いわゆるスタンディングウェーブ現象です。
特に高速道路ではタイヤの回転速度が上がるため、空気圧不足のまま長時間走行することは非常に危険です。
なぜ空気圧が低くなったのか?
では、今回の車両はなぜ空気圧が不足したのでしょうか。
ここは推測になります。
今回バーストしたのは4本のうち1本だけ。
もし最初から4本とも空気圧が大幅に不足していたのであれば、他のタイヤも同じような状態になっていた可能性があります。
そこで考えられるのが、
走行中に何かを踏んでパンクする
↓
少しずつ空気が抜ける
↓
空気圧が低下した状態で高速道路を走行する
↓
タイヤが大きく変形する
↓
内部が発熱する
↓
最終的にバースト
という流れです。
実際に、タイヤの外側から見ただけでは「少し空気が少ないかな?」程度にしか見えない状態でも、内部では大きな負担がかかっている可能性があります。
「去年交換したから大丈夫」が一番怖い
今回のケースで怖いのは、
「去年新品にしたタイヤだから大丈夫」
と思ってしまうことです。
新品タイヤでも、
パンクすれば空気圧は下がります。
そして、その状態で高速道路を走ればタイヤに大きな負担がかかります。
つまり、
タイヤの新しさだけでは安全を判断できません。
タイヤの状態と空気圧。
この2つをセットで確認することが重要です。
夏休みの高速道路に乗る前に空気圧を確認しよう
これから夏休みに車で旅行する方は、出発前に一度タイヤを確認してください。

最低限、
- タイヤの空気圧
- タイヤの溝
- ひび割れ
- 異物が刺さっていないか
- 偏摩耗していないか
- タイヤが極端につぶれていないか
くらいは確認しておきたいところです。
特に空気圧は重要です。
空気圧は見た目だけでは正確に判断できません。
「なんとなく大丈夫そう」
ではなく、エアゲージで測定することをおすすめします。
さらに安心なのがTPMS
そこで僕が以前から「もっと普及してほしい」と思っているのがTPMS(タイヤ空気圧監視システム)です。

TPMSは、タイヤの空気圧を監視して、異常があればドライバーに知らせてくれる装置です。
例えば、
「右前のタイヤだけ空気圧が少しずつ下がっている」

といった異常を早い段階で発見できれば、パンクしたまま高速道路を走り続けてしまうリスクを減らせます。
もちろん、TPMSを付けていれば絶対にバーストしないというわけではありません。
釘を踏んだ瞬間にタイヤが破損するようなケースなど、TPMSだけでは防げないトラブルもあります。
それでも、空気圧の異常をドライバーが早期に知ることができるというメリットは大きいと思います。
特に、
- 高速道路をよく利用する
- 長距離旅行に行く
- タイヤの空気圧を確認する機会が少ない
- 家族を乗せて遠出する
という方なら、TPMSを装着しておくメリットは大きいでしょう。
夏の高速道路はタイヤにとって過酷
夏は気温も高く、長時間の高速走行ではタイヤにも大きな負担がかかります。
そこに空気圧不足が重なると、さらにタイヤへの負担は大きくなります。
「新品だから大丈夫」
「溝が残っているから大丈夫」
ではなく、
新品でも、溝が残っていても、空気圧不足などの条件が重なればバーストする可能性があります。
これは今回の車両を見て、改めて感じたことです。
出発前の5分がタイヤトラブルを防ぐ
せっかくの夏休み。
旅行先へ向かう途中の高速道路でタイヤがバーストしてしまえば、楽しい予定が一気に変わってしまいます。
最悪の場合、重大な事故につながる可能性もあります。
だからこそ、長距離ドライブの前にはタイヤを確認しておいてください。
「タイヤは新しいから大丈夫」ではなく、「空気圧まで確認したから大丈夫」。
このくらいの意識を持っておくと安心です。
そして、空気圧の異常を常に監視してくれるTPMSも、長距離ドライブの安全対策の一つとして検討してみてください。

タイヤは、車と道路の間で唯一直接接している部品です。
そこに家族の命を乗せて走っています。
夏休みに高速道路を使って遠出する予定がある方は、出発前に一度タイヤを確認してみてください。
TPMSは安心のカシムラ製がおすすめです。僕もつかっています。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。