【事故案件】タイヤ交換後の異音、ほとんどがネジの緩みによるもの

昨日、急患が入ってきました。

事の発端は、とあるお店から。うちの会社で車検整備をしている車で、

「今日走行していたら凄い音がしてきたので、すぐに見てください」

かなりの慌てぶりだったので、来店してもらった時点ですぐに見させていただきますという旨を伝えて、待っていました。

やってきたのはサンバーのバンです。

入り口から工場内へ車両を異動させるだけで、ゴトンゴトンという異音と振動を確認できました。

実は、電話で話している最中に、直近でなにか作業をしたのかと聞いていたんです。

するとタイヤ交換をしてもらったというわけです。

ホイールナットの緩みによる異音

どうでしょう?

フロント左のタイヤ、この有様です。

どうしてこうなったのかを推測してみました。まず、4輪すべてホイールナットを点検したら、フロントの左だけこの状態で、あとの3本は規定トルクには届いていなかったものの、ここまで緩んではいませんでした。

この時点で考えられる原因は2つです。

トルクレンチを使わなかったという事。

フロント左だけ締め方が甘かったという事。

タイヤ交換をしたのはガソリンスタンドらしくて、おそらくインパクトレンチを使っていると思います。

インパクトレンチを使った後、最終的にトルクレンチで規定トルクまで締めこむのなら、こうはなりません。

全部のタイヤをインパクトレンチだけで締めこんだという事であれば、フロント左のみホイールとハブの接触面に錆が多かったなど予測ができます。

インパクトレンチって、締まっているようで締まってないことがあるんです。

なので、必ずトルクレンチで最終的には規定トルクまで締めないと駄目です。

長年整備を携わってくると、インパクトレンチの反応で、これは締まっていないなという感覚もわかります。

その感覚を培っていない人だと、締めたつもりになって終わってしまうかもしれない。

いずれにしろ、インパクトで締め付けたつもりになった場合でも、トルクレンチで規定トルクまで締め付ければ、更に締め込めたはずです。

タイヤ交換の時は必ずトルクレンチを使わないと駄目です。

ネジが緩むとナットとクリップボルトもダメージを食う

タイヤのネジが緩むと、ネジにもダメージが及びます。

左のネジの隙間をみると、鉄粉が浮いてますよね?

これはホイールが振れることで削れた鉄粉です。ホイールナットにもクリップボルトにも負担がかかるので、こうなったら全数交換するのがベストです。

ただこの日は部品の在庫がなかったので、一旦増し締め処置をして配達が終わった時点で待っていてもらい全数交換しました。

タイヤのネジって絶対トルクレンチで締めないと駄目です。あと気を付けないといけないのは、変な潤滑剤をネジ山に塗らないこと。

特にコンパウンド系やモリブデン系は駄目です。これらを塗ってしまうと、規定トルクで締めていくと、いつまでたってもトルクレンチが反応しないんです。

つまり締めすぎになってしまう。結果ホイールがえぐれっていってしまうのです。

ホイールナットに何かを塗りたいのであれば、パーツクリーナーで洗浄をするだけでいい。

ネジが渋かったら、ナットかボルトが伸びてしまっているので、交換しないと駄目です。潤滑剤でスムーズにすると、オーバートルクになる可能性があります。

パーツクリーナーで洗浄して、それでも渋かったらネジを交換してみる。

余計なものは塗らないでください。

今タイヤ交換シーズン真っただ中なので、気を付けてください。交換後100kmほど走ったら増し締めすることも必要です。

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