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日本の自動運転が一気に動き出す? 2028年から始まる「日本式自動運転」

日本の自動運転が、ここにきて一気に加速しそうな雰囲気になってきました。

日本自動車工業会、いわゆる自工会が2026年9月17日、自動運転を前提とした新しい交通システムのロードマップを発表しました。

計画では2026年に概念実証、2027年に「情報管制プラットフォーム」を構築し、2028年から複数地域への実装を始めるとしています。

今までの日本の自動運転というと、実証実験は各地で行われているものの、社会全体へ一気に普及させていくような勢いは、個人的にはあまり感じていませんでした。

しかし今回は少し違うように思います。

自工会そのものが「自動運転を前提とした交通システム」を掲げ、国や警察、道路インフラなども含めた仕組みを作ろうとしているからです。

車だけで自動運転する時代から、道路全体で支える時代へ

今回発表された構想で面白いのが、「情報管制プラットフォーム」という考え方です。

各自動車メーカーが持っている車両データだけでなく、道路側のカメラや交通情報、渋滞、事故などの情報を集め、自動運転車と連携させていく。

つまり、車が自分のセンサーだけを頼りに走るのではなく、

「道路の先で何が起きているのか」

「交差点の死角から何か接近していないか」

といった情報まで、外部から車へ与えようという仕組みです。

自工会は、このインフラ協調型システムについて2026年にPoCを行い、2027年にプラットフォームを構築、2028年から多地点への実装を目指しています。

これは個人的に、自動運転を普及させるうえでは非常に重要だと思っています。

レーダー、ソナー、カメラだけでは限界がある

これまでの先進運転支援システムは、

・ミリ波レーダー
・超音波センサー
・カメラ
・LiDAR

などを使いながら、車自身が周囲の状況を判断する方向で進化してきました。

もちろん今後もこれらのセンサーは重要です。

しかし、どれだけセンサーを増やしても「見えない場所」というものはあります。

例えば、建物で完全に隠れている交差点の向こう側。

大型トラックの陰から出てくる自転車。

数百メートル先で発生した事故。

こういった情報は、車単体では取得できません。

ところが周辺を走っている車や道路インフラが、その情報を共有していたらどうでしょう?

「あの交差点の死角から車が接近している」

「この先で急ブレーキが連続している」

「数百メートル先で事故が発生した」

こうした情報をリアルタイムで車同士が共有できれば、自動運転の安全性はかなり変わってくると思います。

AIの進化で自動運転そのものも変わってきた

そしてもう一つ大きいのがAIです。

これまでの自動運転は、人間が非常に細かいルールをプログラムして車を動かすイメージが強いものでした。

しかし現在は、認知から判断、操作までをAIが一体的に処理する「E2E(エンド・ツー・エンド)」型の開発競争が加速しています。

自工会も、AIを活用した自律型自動運転についてはメーカー各社が競争する領域と位置付けています。一方、道路インフラやデータ連携などについては、メーカーを超えた協調領域として整備する考えです。

これはなかなか面白い構図です。

車そのものの頭脳は各メーカーが競争する。

しかし、その車が走るための情報網は日本全体で共有する。

言ってみれば、

「車のAIは各社が作る。しかし道路側には共通の巨大な頭脳を作る」

という方向です。

テスラやWaymoの存在が日本を動かしたのか?

ここでどうしても考えてしまうのが、海外勢の存在です。

米国ではWaymoなどが自動運転タクシーの商用運行を進めています。

テスラもAIを使った自動運転技術を急速に進化させています。

中国でも自動運転タクシーの社会実装が進んでいます。

こうした海外勢が先に社会実装を進めている中、日本もこれ以上ゆっくりしてはいられなくなった、という側面はあるのではないかと個人的には思います。

ただし、「テスラや海外企業から圧力を受けたから日本が動いた」と確認できる事実があるわけではありません。

自工会の佐藤恒治会長自身も、日本は技術そのものでは負けていない一方、「社会実装」に課題があるという認識を示しています。

つまり問題は、技術がないことではない。

技術を道路へ出し、社会の仕組みとして動かすスピードだったということなのでしょう。

整備士から見ると「事故の種類」が大きく変わる可能性がある

僕は整備士として長く車に関わってきましたが、自動運転とコネクテッドカーが本格的につながれば、交通事故は相当減らせるのではないかと思っています。

今までの交通事故では、

「見えていなかった」

「気付くのが遅れた」

「判断を間違えた」

「速度を出し過ぎた」

といった人間側の要因が非常に大きい。

ところが車同士が通信し、道路インフラとも通信し、AIがリアルタイムで交通状況を判断するようになると、人間では察知できない危険を事前に予測できるようになります。

例えば100台のコネクテッドカーが同じ道路を走っていたとして、その100台すべてが取得した情報を共有できたらどうでしょう。

一台の車が急ブレーキを踏んだ。

その情報が瞬時に後続車へ伝わる。

交差点で歩行者を検知した。

その情報が周辺車両へ伝わる。

道路に落下物がある。

最初に見つけた車の情報が、後ろから来る車すべてに共有される。

こうなれば、「車一台が持っている目」ではなく、「道路を走っているすべての車の目」を使えることになります。

これが本当の意味でのコネクテッドカーなのではないかと思います。

整備の世界も大きく変わる

当然ですが、こうした車が増えれば整備業界も変わります。

今までは、

エンジンが正常か。

ブレーキが効くか。

足回りに異常がないか。

灯火類が正常か。

といったハードウェア中心の点検でした。

しかしこれからは、

カメラは正常か。

レーダーは正常か。

通信機能は正常か。

ADASの校正は正しいか。

AIへ渡される情報に異常がないか。

車両と外部インフラが正常に通信できるか。

こうした部分まで「安全に走るための整備」になっていくでしょう。

センサー一つのズレや通信障害が、今まで以上に重要な故障になる時代です。

整備士の仕事も「機械を直す仕事」から、「機械+電子制御+通信システムを正常に保つ仕事」へさらに変わっていくはずです。

2028年は、自動運転社会の大きな分岐点になるかもしれない

自工会は今回、「事故死ゼロ」と「移動の自由」を自動運転社会の大きな目標として掲げています。

もちろん2028年になった瞬間、街中の車がすべて自動運転になるわけではありません。

最初は限定された地域からでしょう。

しかし、今回示されたロードマップには今までとは少し違うスピード感を感じます。

AI。

自動運転。

コネクテッドカー。

道路インフラ。

行政。

自動車メーカー。

それぞれが別々に動くのではなく、それらを一つの交通システムとしてつなげようとしているからです。

整備士として車を長く見てきた立場からすると、これは単なる「自動運転車が増える」という話ではありません。

車という存在そのものが、

「単独で走る機械」

から、

「社会のネットワークにつながって走る端末」

へ変わっていく話だと思います。

2028年。

日本の自動運転にとって、一つの大きな転換点になるかもしれません。

noteと週刊MHO通信を始めました

整備士として働いてきた約25年間の体験や、チームMHOを始めてから現在に至るまでの出来事を、noteで少しずつ書き始めました。

普段の自動車記事では書ききれない、修理現場での経験、仕事への考え方、独立するまでの道のりなども残していく予定です。

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