タカタ製エアバッグ、改修率99.7%の裏に潜む「まだ交換されていない車」の話

こんにちは、チームMHOです。

「タカタ製エアバッグの問題って、もう終わったんじゃないの?」

そう思っている方、実はかなり多いんじゃないかと思います。ニュースで大きく取り上げられていたのはもう何年も前のことですし、リコール改修も進んでいるはずだから今さら気にする話でもない、というのが世間の感覚だと思います。

ところが国交省が発表している改修率のデータは、実はつい最近のもの、2026年3月末時点の数字です。つまりこの問題、過去の話ではなく現在進行形なんです。今日はその「終わったはずなのに終わっていない」話を、車検現場に立つ整備士の視点で書いてみようと思います。

99.7%という数字のトリック

改修率99.7%と聞くと、多くの人は「ほぼ完了しているじゃないか」と感じると思います。数字だけ見れば確かに優等生です。ですが、この「0.3%」を実数に置き換えると話が変わってきます。対象台数がもともと数千万台規模という桁違いの数だったこともあり、残りの0.3%であっても数万台という単位が今も街を走っている計算になります。

タカタ製エアバッグの不具合は、内部のインフレータ(エアバッグを瞬時に膨らませるためのガス発生装置)が経年劣化や湿気の影響で異常破裂を起こし、金属片が飛び散って乗員に重傷を負わせる恐れがあるというものでした。パーセンテージの高さに安心してしまいがちですが、残された台数の中に自分や家族の車が含まれている可能性は、決してゼロではありません。

なぜ最後の数%が進まないのか

整備士として車検の現場に立っていると、なぜ改修が最後まで進み切らないのか、その理由がなんとなく見えてきます。

まず大きいのが所有者不明や住所変更未届の問題です。リコールの通知は基本的に車検証に登録されている所有者の住所に届きます。しかし引っ越しをしても住所変更の手続きをしていなかったり、車を手放した後も名義変更がされていなかったりするケースは珍しくありません。通知そのものが届かなければ、所有者が「自分の車が対象だ」と気づく機会自体がなくなってしまいます。

次に中古車流通の問題です。中古車として何度も持ち主が変わっている車の場合、最初の所有者への通知が届いても、実際に乗っているのは全く別の人という状況が起こり得ます。特に個人間売買やオークションを経由した車は、リコール情報が確実に引き継がれるとは限りません。

さらに長期間動かされていない放置車両や、地方で登録だけが残っている車両なども、改修が進みにくい要因として挙げられます。使われていない車だからといって安全というわけではなく、いざ動かす、あるいは処分するとなった時に危険な状態のまま引き渡されてしまうリスクもあります。

こうした構造的な要因が複雑に絡み合っているからこそ、100%に近づけば近づくほど、残りを潰すのが難しくなっていくというのが実感です。

車検現場での実感

実際に車検の仕事をしていると、古い車を扱う機会は今でも少なくありません。長く大切に乗り続けているお客様の車や、譲り受けた車、久しぶりに動かすことになった車など、事情は様々です。

その中で、リコール対象になっているにもかかわらず、まだエアバッグの交換が済んでいない車に出くわすことは、正直なところ今でもあります。お客様自身が対象車であることを知らなかったというケースも多く、こちらから説明すると驚かれることがほとんどです。「そんな古い話、うちの車には関係ないと思っていた」という反応をいただくことも少なくありません。

こういう時に整備士として気をつけているのは、いたずらに不安を煽らないことです。エアバッグが今すぐ暴発するというわけではありませんが、放置していい理由にもなりません。事実を淡々と伝え、対象であるかどうかをきちんと確認する、必要であれば正規のディーラーでの無償交換につなげる、という流れを丁寧に案内するようにしています。

もう一つ現場でよく感じるのが、国交省のリコール検索サイトが決して使いやすいとは言えないという点です。車台番号を正確に入力する必要があったり、メーカーごとに検索先が分かれていたりと、車に詳しくない方が自分だけで調べ切るにはハードルがあるように感じます。だからこそ、車検や点検のタイミングで整備士側からひと声かけることの意味は大きいと考えています。

自分の車を確認する方法

もし「うちの車は大丈夫だろうか」と気になった方は、車検証に記載されている車台番号を用意した上で、国土交通省が公開しているリコール情報検索や、各自動車メーカーが用意している検索ページを利用してみてください。年式が古い車、中古で購入した車、しばらく動かしていなかった車ほど、一度確認しておく価値があります。

自分で調べるのが不安な場合は、次回の点検や車検のタイミングで整備士に車台番号を伝え、確認してもらうという方法もあります。数分あれば分かることですので、遠慮なく聞いていただければと思います。

改修率99.7%という数字は、確かに長年の取り組みの成果を示すものです。ですがその裏には、所有者不明や中古流通、放置車両といった構造的な理由で取り残された0.3%の車が、今も現実に存在しています。

「もう終わった話」と思い込まずに、一度自分の車、あるいは家族の車について確認してみてほしいと思います。特に長く乗っている古い車や、譲り受けた車をお持ちの方は、この機会にぜひチェックしてみてください。安全は、気づいた時に確認しておくのが一番です。

サイドエアバッグ付き車はシートを交換したら疑似抵抗をいれて警告灯をキャンセルしないといけない・・

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