タイミングベルト・オートテンショナの構造。オートテンショナーを分解してみた

タイミングベルトを使ってるエンジンは随分と減ってきました。タイミングベルトからタイミングチェーンへ時代がうつりかわってきたのは、チェーンの性能が向上した点が大きいです。

今までのタイミングチェーンは騒音の面などで問題がありましたが、今搭載されているチェーンはサイレントチェーンで耐久性も抜群。信頼性が大きく上がったのでタイミングベルトは使われなくなってきました。

それでもまだ一定数タイミングベルトを使っているエンジンが存在します。タイミングベルトに張りを与えているのはテンショナーというベアリングです。

このテンショナーに張力を与えるのが、スプリングだったりオートテンショナーだったりします。

今回はこのタイミングベルト・テンショナーを掘り下げてみます。

スプリングで張力を与えるタイプ

これはタイミングベルトの張りをスプリングで調節しているタイプです。

主に小排気量エンジンがこれにあたります。

タイミングベルトに張りを与える時、スプリングの張力でベルトを張ってボルトを締める。このタイプの問題点は一度張りを与えたら簡単には再調整ができないという点です。

タイミングベルトを交換したら、なんだか面白い音がするようになった。という場合、張りが若干強い可能性があります。どうしても張りが弱いとベルトがコマ飛びするんじゃないかという心配があるため、整備士は少し張り気味に調整する人が多い。

マニュアル通りに張りを調整しても、交換後に音が出る場合もありますけどね。

ベルトを調整したら、再調整が難しい。最初の一張りでずっと行かないといけないのがこのスプリングタイプの弱点です。

オートテンショナを使うタイプ

こちらはオートテンショナを使っているタイプです。

左端にある円柱タイプの部品。これがオートテンショナーです。

オートテンショナーには内部にシリコンオイルが封入されています。そのオイルとスプリングを使って、常に張りを調整しています。つまり、自動調整しているのです。

オートテンショナーの利点は、常に張りを微調整しているので、スムーズかつ調整が必要ない。組み上げた後でも張りすぎなどの異音がでません。

デメリットとしては、部品代金が高いということ。車によってはこのオートテンショナーだけでかるく数万円することもあります。

そしてもう一つのデメリット。それが油圧漏れ。今までタイミングベルトをたくさん交換してきましたが、オートテンショナーの油圧が漏れているものに遭遇したことはありません。それだけ頑丈な部品だと言えます。

だけど中にオイルが入ってるということはいずれかは漏れる可能性がある。もし油圧が抜けたらどうなるか?まず異音が発生するでしょうし、高速回転時などはサージングを起こして下手したらバルブタイミングがずれるかもしれない。

オートテンショナを分解してみた

分解と言っても、ネジなどで固定されているわけでもなく非分解式なので、破壊するのです。

プレスでケースを割ってみました。中からシリコンオイルが出てきた。

ブレーキのタンデムマスターシリンダーに構造が似ています。おそらく油圧が漏れたとしても内部のスプリングである程度の張力を保てるようになってるようです。

細かい微調整こそできなくなるけど、テンショナとしての役割自体はなんとか持続する。中身を分解するとそういうことがわかりました。

EJ20なんか全てのテンショナーとオイルシールなど一気に交換すると部品代だけで5万円ちかくします。タイミングベルトにアイドラーが数個。テンショナーにオートテンショナー。ウォーターポンプにサーモスタットも一緒に交換すれば結構な金額ですね。

10万キロをめどに交換が必要なタイミングベルトですが、できれば一緒に交換しちゃった方がいいと思います。

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コメント

  1. むきんぽ より:

    うわぁ面白い。
    この部品の内部構造を見る事など、そうそうできないから、実に興味深かったです。
    この部品を分解してみようって整備士さん、なかなか居ないですよね。
    さすがニッチのMHO先生。