コペンの生産が終了。それでも「次は軽FRか?」と期待せずにはいられない理由

2026年8月31日、ダイハツの軽オープンスポーツカー「コペン」の生産が終了しました。

大阪府池田市にある本社工場のコペン専用工場「コペンファクトリー」では、最終生産車を送り出すセレモニーが開催されました。

最後の1台が工場を出発すると、集まった約50人のオーナーや工場従業員から大きな拍手が送られたそうです。

自分の車が生産終了になる。

オーナーにとって、これは単に新車カタログから名前が消えるという話ではありません。

自分が選び、乗り、思い出を作ってきた車の歴史に、一度区切りがつくということです。

しかし、今回のコペンには「これで完全に終わり」という雰囲気がありません。

むしろ生産終了は、次のコペンへ向かうための助走にも見えます。

2002年に誕生した初代コペン

初代コペンが発売されたのは2002年6月19日です。

コンセプトは「誰もが気軽に楽しめる本格的オープンスポーツカー」。

当時の軽自動車としては初となる電動開閉式ルーフ「アクティブトップ」を採用しました。

ボタンを操作すれば、屋根がトランクへ格納される。

軽自動車なのに電動ハードトップ。

小さいのに本格的。

維持費を抑えながら、オープンカーを所有する楽しさを味わえる。

この絶妙な立ち位置こそ、コペンの大きな魅力でした。

スポーツカーは欲しい。

しかし、大排気量で高額な車は難しい。

車庫の広さや維持費も気になる。

そんな人にも「これなら乗れるかもしれない」と思わせてくれたのがコペンです。

初代は2012年8月に生産を終了しました。10年間で累計販売台数は5万6千台を超えています。

一度終わり、再び戻ってきたコペン

初代の生産終了から約2年後となる2014年6月19日、2代目コペンが発売されました。

2代目では新しい骨格構造「D-Frame」を採用。

さらに、外板の一部を交換してデザインを変えられる「DRESS-FORMATION」という、かなり個性的な考え方も盛り込まれました。

ローブ、エクスプレイ、セロと、同じコペンでありながら性格の違うデザインが用意されました。

丸いヘッドライトを持つセロには、初代コペンの面影を感じた人も多かったと思います。

2019年には「コペン GR SPORT」も登場しました。

TOYOTA GAZOO Racingの知見を取り入れ、ボディ剛性や足回りなどを磨いたモデルです。

軽オープンカーとして気軽に楽しめるだけでなく、運転する楽しさをさらに追求したコペンでした。

そして2022年には、初代発売から20周年を迎えました。

1,000台限定の「20th Anniversary Edition」は、発表からわずか5日で予定台数に到達しています。

コペンが単なる軽自動車ではなく、強いファンに支えられてきた車であることが分かります。

2代目も12年で生産終了

2014年に登場した2代目は、2026年8月末をもって生産終了となりました。

初代の10年間を上回る、約12年間のモデルライフです。

現在は、軽自動車にも広い室内やスライドドア、燃費、安全装備などが強く求められています。

2人しか乗れず、荷物も多く積めないオープンスポーツカーは、実用性だけで考えれば決して有利な車ではありません。

しかし、すべての車が同じ方向を向いてしまったら、少し寂しい。

効率や便利さでは説明できない楽しさを持つ車も必要です。

屋根を開けて走る。

小さな車体を自分の手で操る。

用事がなくても、少し遠回りして帰りたくなる。

コペンは、移動時間そのものを楽しみに変えてくれる車でした。

生産終了後に待っているのは「K-OPEN」か

気になるのは、次のコペンです。

ダイハツは、現行コペンの生産終了を発表した際に「再びコペンを世の中に送り出せるよう、さまざまなスタディを続けている」と明言しています。

そして、次期コペンの可能性を感じさせる車は、すでに公開されています。

2023年のジャパンモビリティショーでは「VISION COPEN」が登場しました。

初代コペンを思わせる丸みのあるデザインに、電動開閉式ルーフを組み合わせたオープンスポーツです。

注目されたのは、その中身でした。

VISION COPENは、全長3,835mm、全幅1,695mm、排気量1,300cc。

軽自動車規格を超える5ナンバーサイズで、駆動方式にはFRが想定されていました。

これまでのコペンはFFでした。

もし市販されれば、エンジンを前に置いて後輪を駆動するFRのコペンが誕生することになります。

ただし、VISION COPENはあくまでコンセプトカーです。

市販化や発売時期が正式に決定した車ではありません。

さらに2025年のジャパンモビリティショーでは、より現実的な期待を抱かせる「K-OPEN」と「K-OPENランニングプロト」が公開されました。

ダイハツはK-OPENについて、

「特別な人のものではなく、あくまで気軽に楽しく走るためのFR」

と説明しています。

しかも、単なる展示用の模型ではありません。

走る楽しさを未来へつなぐための先行スタディ車として、実際に走らせながら試行錯誤を始めているとしています。

ここが非常に重要です。

2023年のVISION COPENは、1.3リッターエンジンを搭載する小型FRスポーツという提案でした。

一方、2025年のK-OPENでは「軽ならではのワクワク」と「気軽に楽しめるFR」が前面に出されています。

つまり、次のコペンは軽自動車規格を維持しながらFRになる可能性も見えてきたわけです。

本当に軽FRコペンは発売できるのか

もちろん、軽自動車でFRスポーツを作るのは簡単ではありません。

限られた車体寸法の中に、エンジン、トランスミッション、プロペラシャフト、デファレンシャルなどを配置しなければなりません。

衝突安全性能や室内空間、重量、コストも考える必要があります。

専用部品が増えれば、車両価格も上がります。

現在の新車価格を考えると、誰もが気軽に買える値段へ抑えられるかも大きな課題です。

しかしダイハツは、K-OPENを「次のコペンのハツメイ」と表現しています。

市販化決定とは言えませんが、少なくともコペンの火を消すつもりではないことは伝わってきます。

何より、実際に走行できる先行スタディ車まで製作している点に期待したくなります。

最終生産は、終わりではなく次の始まり

最後のコペンを見送るセレモニーで、ダイハツの井上雅宏社長は、この日を「次の新しいコペンが歩みを始める日」と表現しました。

この言葉が、単なるあいさつで終わらないことを願います。

2002年に初代が登場し、2012年に一度生産を終了。

2014年に2代目として復活し、2026年に再び区切りを迎えました。

コペンは、すでに一度「生産終了からの復活」を経験している車です。

だから今回も、期待して待ちたくなります。

次に現れるのが、1.3リッターの小型FRスポーツなのか。

軽自動車規格のK-OPENなのか。

あるいは、まだ見たことのない別の形なのか。

現時点では分かりません。

ただ、一つだけ言えるのは、コペンという車が作ってきた文化は、2026年8月31日で終わったわけではないということです。

最後の1台が工場を出た日。

それはコペンが消えた日ではなく、次のコペンを待つ時間が始まった日なのかもしれません。

次のコペンが登場するまで待つのか。

今あるコペンを手に入れて楽しむのか。

それもまた、悩ましくて楽しい時間です。

中古車を探す場合は、価格や走行距離だけでなく、電動ルーフの作動状態、雨漏りの跡、下回りの錆、修復歴、整備記録なども確認したいところです。

特に初代コペンは年式が古くなっているため、購入価格の安さだけで決めず、納車後の整備費用も含めて考える必要があります。

<全国の中古車からコペンを探す>
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