ハンドルもペダルもないテスラ「Cybercab」が日本初公開!実用化すれば車検制度も根底から変わる?

テスラが、無人タクシー専用車両「Cybercab(サイバーキャブ)」を日本で初公開しました。

Cybercabは一般的な乗用車とは大きく異なります。

乗車定員は2人。

上方へ開くバタフライドアを備え、車内には大型のセンタースクリーンが設置されています。

そして最大の特徴は、ハンドルもアクセルペダルもブレーキペダルもないことです。

最初から人が運転することを想定せず、完全自動運転で乗客を運ぶロボタクシーとして設計されています。

もしCybercabのような車が日本で正式に認可され、公道を走るようになれば、変わるのは車の使い方だけではありません。

現在の車検制度や整備工場の設備、整備士の仕事も根底から見直す必要が出てきます。

現在の車検は運転者の操作が前提

現在、日本の車検場では検査コースへ車を乗り入れ、いくつもの検査を行います。

代表的なものが次の検査です。

・サイドスリップ検査
・ブレーキ検査
・スピードメーター検査
・ヘッドライト検査
・排気ガス検査
・下回り検査
・OBD検査

これらの多くは、受検者が運転席に座って車を操作することを前提に作られています。

ブレーキテスターにタイヤを載せたら、表示器の指示に従ってブレーキペダルを踏みます。

続いて駐車ブレーキを操作します。

スピードメーター検査では、アクセルを踏んでタイヤを回し、メーターが40km/hを示したところでパッシングなどの合図を送ります。

ヘッドライト検査でも、運転者がライトを点灯させ、上向きと下向きを切り替えます。

Cybercabには、こうした操作を行うためのハンドルやペダルがありません。

現在の検査コースへ持ち込んでも、従来の車と同じ方法では検査できない可能性があります。

ブレーキペダルがなければ何を点検するのか?

整備士や検査員は、車検整備の際に運転席周辺も点検します。

例えばブレーキペダルです。

ペダルを踏んだときに極端な遊びがないか。

奥まで踏み込んだときに床との隙間が確保されているか。

踏み続けたときに、ペダルが徐々に奥へ入っていかないか。

これらはブレーキ装置の状態を判断する重要な点検です。

パーキングブレーキも、レバーやペダルの引きしろ、作動状態などを確認します。

ハンドルについても、遊びやガタ、操作したときの異音などを点検します。

しかしCybercabには、これらの操作装置そのものがありません。

これまで運転席で行っていた点検項目のうち、ハンドルやペダルに関する部分は、そのままでは成立しなくなります。

ただし、室内の点検が完全になくなるわけではありません。

シートやシートベルト、ドア、非常時の脱出手段、警報装置など、乗員の安全に関係する部分は残ります。

むしろ無人運転車では、非常停止装置や乗客が外部へ助けを求める装置など、新しい点検項目が増える可能性があります。

「ペダルを踏む検査」から「コンピューターへ指示する検査」へ

Cybercabにも、車を曲げる装置や止める装置は当然必要です。

ハンドルとブレーキペダルがないだけで、タイヤの向きを変える機構やブレーキ本体がなくなるわけではありません。

従来の車は、人がハンドルを回し、ペダルを踏むことで各装置を作動させていました。

Cybercabでは、その指示をコンピューターが出します。

そのため将来の車検では、検査員が直接ブレーキペダルを踏むのではなく、診断機などから車へ制動指示を送る方式になるかもしれません。

整備用のサービスモードを起動する。

診断機から右前輪や左後輪のブレーキを個別に作動させる。

ステアリング装置へ指示を送り、左右へ正常に動くか確認する。

各センサーや制御コンピューターが正常か、通信状態を読み取る。

そのような検査方法へ変わっていくことが考えられます。

これは現時点でCybercabに対して日本の車検で行われている方法ではなく、僕の整備士・検査員経験から考えた将来の可能性です。

整備工場までどうやって移動させる?

もう一つ大きな問題があります。

故障したCybercabを、整備工場のリフトまでどうやって移動させるのかという問題です。

一般的な車なら、整備士が運転席に座って移動させます。

ところがハンドルもペダルもなければ、人が直接運転して移動することができません。

自動運転システムに異常が発生していたら、自力で工場内を移動できない可能性もあります。

専用のリモコンで操作するのか。

整備用の仮設コントローラーを接続するのか。

タイヤの下に台車を入れて移動するのか。

車両側に整備工場専用の低速移動モードを搭載するのか。

こうした仕組みが用意されなければ、リフトへ入れるだけでも大仕事になります。

事故でセンサーやカメラが壊れた車なら、さらに難しくなるでしょう。

車検で重要になるのは機械よりソフトウェア?

現在の車検では、タイヤやブレーキ、ライト、足回りなど、目で確認できる機械的な部分が重視されています。

近年はOBD検査も始まり、先進安全装置などに保安基準不適合となる故障コードが記録されていないかを確認するようになりました。

Cybercabのような完全自動運転車では、このOBD検査に相当する電子的な検査の比重が、さらに大きくなるはずです。

カメラやセンサーは正常か。

車両の現在位置を正しく認識しているか。

ブレーキやステアリングを制御するコンピューター間の通信は正常か。

ソフトウェアは認可されたバージョンか。

不正な改変やサイバー攻撃を受けていないか。

自動運転システムに異常履歴が残っていないか。

ブレーキパッドの厚さが十分でも、車が障害物を正しく認識できなければ安全とはいえません。

これからの車検は、「機械が正常に動くか」だけでなく、「コンピューターが正しく判断できるか」を確認する検査へ変わっていく可能性があります。

日本ですぐにCybercabが走るわけではない

注意したいのは、日本で実車が公開されたことと、日本の公道を無人で走れることは別だという点です。

今回発表されたのは、東京、大阪、名古屋を回る展示イベントです。

日本での販売やロボタクシーサービスの開始、ナンバー取得などが正式に発表されたわけではありません。

現在の日本の保安基準にも、自動運行装置に関する規定は存在します。

しかし、ハンドルもペダルもない完全無人運転専用車を、現在の一般的な乗用車とまったく同じ方法で検査できるわけではありません。

実用化するには、車両の認可だけでなく、道路交通法、事故時の責任、保険、整備、車検、サイバーセキュリティーなど、多くの制度を整える必要があります。

整備士の仕事はなくなるのではなく変わっていく

ハンドルもペダルもなくなると聞くと、整備する場所まで減ってしまうように感じます。

確かに、運転席周辺の従来型の点検項目は大きく減るでしょう。

その一方で、カメラ、センサー、コンピューター、通信装置、高電圧バッテリーなどの点検は増えます。

タイヤやブレーキ、サスペンションといった機械部分もなくなりません。

整備士の仕事が消えるというより、工具だけを使う整備から、診断機とデータを使う整備へさらに移っていくということです。

Cybercabは、単にハンドルのない珍しい車ではありません。

人が運転しない車を、誰がどのように点検して安全を証明するのか。

日本で本格的に走り始めるとき、車検制度そのものが大きな転換点を迎える可能性があります。

現在の検査員が見たら、最初に考えるのは恐らくこれです。

「これ、どうやって検査コースに通すんだ?」

Cybercabの日本初公開は、そんな未来が想像だけの話ではなくなってきたことを示しています。

この車に乗ってみた人が実際にXでポストしてましたが、衝撃的でしたね。もはやライドシェアも自動運転の議論も何もかもすっ飛ばしてロボタクシーですから。

それが実際にアメリカでは走ってる・・・。日本は相当周回遅れになってきてますね。

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整備士として働いてきた約25年間の体験や、チームMHOを始めてから現在に至るまでの出来事を、noteで少しずつ書き始めました。

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