ガソリン、ディーゼル、ハイブリッド、電気自動車、それぞれの基本的なメンテナンスの違い

ガソリン車、ディーゼルエンジン搭載車、ハイブリッド車、電気自動車。厳密にいうともっとたくさんのパワーユニットが存在します。日本で一番使われているのはこの4つに分類されてくるかなと。

それぞれの車には特徴があり、メリットやデメリットも存在します。今日はこれらパワーユニット別のメンテナンスの違いについて考えてみます。

ガソリン車独自のメンテナンスとは?

まず一番台数が多いガソリン車。ガソリンエンジンは昔から使われてきました。ガソリンエンジン独自のメンテナンスは何なのか?

まずディーゼルエンジンとの違いは点火プラグを持っていること。ディーゼルは自己圧縮による着火で燃料を燃やしています。ガソリンエンジンは、混合気にスパークプラグで火を飛ばして引火させることにより爆発させています。

この点火系統の整備こそガソリンエンジン独自のメンテナンスになります。

ただ、昔は2万キロ弱で交換が必要だったスパークプラグもイリジウム化され、10万キロOKとなりました。リークしやすいプラグコードもなくなり、ディストリビューターやポイントなどといった装置もダイレクトイグニッションへと変わっていきました。

かなり昔であればポイントのギャップを調節してあげないと、エンジンがかからなくなった。そんな煩わしさはもうなくなりました。ガソリンエンジンであってもそんなにメンテナンスコストはかからなくなっています。

たまにダイレクトイグニッションがパンクすることはあります。もしイグニッションコイルがだめになったら全部交換したほうがいいです。

ディーゼルエンジンのメンテナンスとは?

続いてディーゼルエンジンのメンテナンスを考えてみます。こちらも今は進化しました。昔は噴射ポンプを使って燃料をエンジンへ送っていました。当時のディーゼルは黒煙がモクモクで環境問題として取り上げられるほど。

現在のディーゼルエンジンから黒煙がでることはありません。それはコモンレールディーゼルになり、高い圧力のインジェクターを使ってきめ細かに燃料を制御しています。そして、排気後はDPFと呼ばれる独自の触媒を使って排気ガスをクリーンにしています。

臭いこそ独特ですが、排気ガスが目に見えて黒いということはありません。

ディーゼルエンジン独自のメンテナンスといわれると何か?現代のディーゼルはオイル管理が非常に厳しいです。燃料希釈を起こすということで、オイル交換をしたらリセットをしないといけないメーカーもあります。

オイルレベルをこまめにチェックして、規定量以上増えたらオイル交換をしないといけない。これは燃料がオイルに混ざって、オイルの性能を劣化させてしまうからです。

ディーゼルエンジンの肝といえば、燃料です。燃料フィルターの交換は指定されたタイミングで行う必要があります。そしてマツダ以外のディーゼルにはアドブルーを補充する必要があります。

アドブルーは排気ガスを奇麗にするために触媒内へ噴射されています。NOxを分解するためにアドブルーを噴射して化学反応を起こし、無害の窒素と水へと還元させています。

マツダのディーゼルはアドブルーを使わなくても排気ガスがクリーンになるのですごいです。

アドブルーは当然減ってくるので、ある程度減ってきたら燃料と一緒で補充しないといけません。初めてディーゼルに乗る人は、アドブルーが必要かどうかを確認しておきましょう。

ハイブリッド車独自のメンテナンスは!?

ハイブリッド車はどうか?

ハイブリッド車は今国産ではガソリンエンジンとハイブリッドモーターを組み合わせたものしかありません。ベンツにはディーゼルエンジンとハイブリッドモーターと組み合わせたモデルもあります。

いずれにしろ、搭載されているエンジンのメンテナンスは同じです。ガソリンエンジンを積んでれば、点火系統のメンテナンスも必要です。

ただハイブリッドの場合、補機類も電動化されているものが多いです。具体的にいうと、トヨタのハイブリッドシステムは、オルタネーターという発電機はハイブリッドモーターが行っています。エンジンをかけるセルモーターもハイブリッドモーターを使ってエンジンをかけています。

エアコンは電動エアコンを使っています。ウォーターポンプも電動ウォーターポンプ。これの意味するところは?そうです、ファンベルトがないのです。エンジンのクランクシャフトプーリーから各補機類へファンベルトを介して動力を得ているはずが、トヨタのハイブリッドシステムにはベルトが必要ない。

逆にこれら電動化された補機類にもちゃんとしたメンテナンスが必要です。電動のエアコンコンプレッサーにはそれなりの絶縁オイルを使わないといけないですし、電動ウォーターポンプもメンテナンスはちょっと難しい。

それとインバーターなどへの冷却も行っているため、クーラントの交換は整備書をきちんと読んで理解しないと駄目です。

ブレーキは回生ブレーキも採用してるので減りが少ないですが、ハイブリッドならではのメンテナンスが追加されてきます。補機バッテリーも室内にある車は特殊なものを使っています。

ガソリン車などより、距離が進んでくると若干気を遣うかもしれません。

電気自動車ならではのメンテナンスは?

最後に電気自動車はどうなのか?こちらもハイブリッドカーのハイブリッド部分のメンテナンスは必要になってきます。

具体的にはインバーターには冷却システムが設けられているので、クーラントの管理など。車全体で見ればブレーキやシャシなどは同様なので、足廻りはガソリン車などと変わりません。

電気自動車の何がメリットかというと、エンジンがないところです。エンジンがないということは、オイル交換の必要がありません。さらには排気ガスも当然でないのでマフラーもありません。

車検の時マフラーに穴が開いていて、修理代に5万円かかったなんていうことは電気自動車には必要ないのです。

タイヤやブレーキ、ワイパーの管理くらいで主なメンテナンスが終了してしまうわけで、メンテナンス費用としてはガソリン車やディーゼル車、ハイブリッドカーに比べると断然安く上がります。

電気自動車がいまだ爆発的に普及しない原因はやはりバッテリーの劣化と航続距離にあります。電気自動車のバッテリーが安い価格で交換ができ、且つ航続距離の問題をクリアできれば一気に電気自動車は増えるはず。

技術のブレークスルーを待っているところですね。

まとめると

最後に各メンテナンスをまとめてみます。

・ガソリン車・・・点火系統、プラグやイグニッションコイルの交換など

・ディーゼル・・・燃料フィルターの交換や厳しいオイル管理、アドブルーの補充など

・ハイブリッド・・・搭載されるエンジンに加えて、ハイブリッド系統のメンテナンス

・電気自動車・・・エンジンはないので、インバーターのクーラント管理など

こうやって見るとハイブリッドが一番気を遣うかなと思うかもしれませんが、プリウスに使われているスパークプラグは20万キロ使用OKとされています。

20万キロまではほぼオイル管理などでエンジンのほうは大丈夫なので、純粋なガソリン車よりもメンテナンスが簡素化されているといえます。