車検後にランプ点灯で、追加修理された・・これって不正じゃないのか?

ビッグモーターの不正問題がかなりの社会問題になってきました。

その手口も徐々に明らかになってきた中で、やってはいけないことに手を染めてしまっている部分があります。

しかし、その中のコメント欄でこういうのは違うよな。と思うものがあったので、書いてみます。

それは記事コメントで、ビッグモーターで車検をしてもらったら、数日後にエンジンが不調になってイグニッションコイルを追加で交換された。とか。

エンジンチェックランプが点灯して、O2センサを追加で交換された。といったものです。

これらの件について投稿者さんは、不正をやられたんじゃないか?という疑問をもっているようです。

車検整備で予防整備についてはそこまでやらない

車検整備って考え方が2つあります。

例えば車検だけ通ればいいねという整備。そして、普段整備をしない車なので、次回点検や車検までトラブルフリーで走りたい。そのためにしっかり整備してほしいというもの。

整備のパターンはこの2つですが、基本的に車検っていうのは現車を確認して、不適合な部分だけを修理。テスターで基準を満たしていれば合格できます。

最初のエンジンが不調になり、追加でイグニッションコイルを交換された。ということについて。これは往々にして起こり得ることです。

車検時に明らかに失火していれば、その時点でコイル交換の見積もりを提示していたと思います。

しかしその時エンジンは普通に稼働していて、目視でコイルに問題がなければ再利用するのは当たり前です。

なぜならイグニッションコイルって、そこまで定期交換部品ではないからです。1本7000円前後する部品で、3気筒でも工賃を合わせれば3万円を超えてしまいます。

車検代が10万円で済んだとして、追加で3万円かかってしまった。こういうケースはビッグモーターに限らずうちの会社でもよく起こり得ます。

タイミング悪い故障といえばそれまでなんでしょうけど。不正でもなんでもありません。

O2センサもいつ壊れるかわからない

そしてO2センサも同様です。

車検の時に必ず診断機を接続して、過去の故障コードなどを読み取ります。しかし車検入庫時に故障コードが入ってなかったり、エンジンチェックランプも点いてなかった。なんなら排気ガスもちゃんと基準内に入っていた。

こんな状況だった場合、O2センサの交換を車検の見積もりに入れるかといわれると、入れません。

センサも個体差があるし使い方で大きく寿命が変わってきます。交換しなくてもずーっと乗れてしまう人もいれば、5万キロで壊れてしまう人もいます。

それを全て車検整備と一緒に含めて交換するっていう方が、僕は不正の臭いを感じます。

予防整備はその人の使い方も考える

予防整備って難しいです。補機ベルトなど亀裂が入ってきたり痩せ細ったりしていたら、寿命が近いので交換をお勧めします。

もちろんそのままでも車検は通ります。しかし遠からず切れるのは目に見えてるので、こういうものは交換を見積もりに入れます。

ブレーキパッドもそうですね。2mmを切ってれば1年もたないので、車検時に交換をお勧めします。

こういった先の寿命が読める消耗部品なら、予防整備として車検見積もりにいれます。

しかし突発的に故障するセンサなどについては、問題ないのに交換に踏み切るのはある種過剰整備につながりかねません。

今回例にあったイグニッションコイルは、僕だったらその人の使用状況を詳しく聞いて、絶対に車が不調を起こしたら困る人だったりすれば、事情を話してコイルも交換するかお伺いを立てると思います。

車に対するリテラシーが高くて、プロ意識の強い人は不安を取り除くことを躊躇わないので、コイルの交換をOKしてくれるでしょうね。

予防整備って、その人の使い方にも合わせないとダメですから。

正直ダイハツのイグニッションコイルは故障率が高いため、長距離通勤をする人などには5万キロ超えた時点で交換を推奨することがあります。

もちろん正常な状態のコイルを交換するわけなので、交換した部品はお客さんに返してスペアパーツとして持っていてもらうんです。すると、車にスペアパーツがあるとわかれば、故障したとしても10mmの工具1つでリカバリーができますからね。

何でもかんでもあれも不正だ、これも不正だっていうのは便乗しすぎじゃないかなって思います。

車屋さん的にも整備している動画をYouTubeに公開するというのは、作業フローを見せることもできるし、それぞれ証拠にもなるから逆の意味で使える時代になりましたね。

OBD故障コードも簡単に読み取れますし。

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