大型トラックのタイヤ脱落事故の原因はISO規格のネジ!国交省の矛盾とは?

毎年のように、大型トラックのタイヤ脱落事故が発生しています。

これ、現場で整備をしている整備士ならISO規格のネジは駄目だねと認識しています。

どういうことかというと、今から10年前くらいから、大型トラックのネジの規格が変わったんです。

今まではトラックのネジはJIS規格のネジを使っていました。

JIS規格のネジは、右側は正ネジ。左側は逆ネジを採用しています。

そして、先がテーパー形状になっています。

外れやすい左側の後輪は、インナーとアウターのネジを使って逆ネジで締め付けていたわけです。

これがJIS方式です。

では、問題とされるISO規格はどうなのか?

ISO方式は、インナーとアウターのWタイヤを1つのナットで締め付けるだけとなっています。

右側も左側も正ネジ。すべてのタイヤを時計回りに締め付けているという事です。

左側面のタイヤのネジが緩みやすいのは何故か?

ナットにLと書いてありますね。これはJIS規格のネジです。

Lと書いてある左側のネジは反時計回りに締め付けます。

ここで考えてほしいのは、車が直進する時。車が前に進むと、右側面はタイヤの進行方向の力が、ネジを締めつける方向と同じ方へ動いています。

逆に左側面は緩める方向へタイヤが回っていることになる。さらにカーブを曲がると内輪差でなおさら車軸にはより強い振動が加わります。

これらがJIS規格のネジよりISO規格のネジの方が緩みやすい原因になっているわけです。草刈り機や扇風機などを分解したことがある人ならわかると思います。

回転している羽を固定しているナットって、逆ネジですよね?これは緩まないようにするためです。

JIS規格はWタイヤの場合、インナーナットとアウターナットが存在します。例えネジが緩んでも外側のタイヤしか脱落しません。

ISOの場合はインナーとアウターの両方を共締めしているので、外れる時は2輪一気に外れてしまう。

更に問題があるとすれば、JIS規格はネジの先端がインナー、アウター共にテーパーになって食い込むようになっています。

ネジを締めればホイールのセンターと合致するわけ。

ISO規格はテーパーになってなく、座面で抑えているので、極端な話ハブの径があっていないホイールを付けようものなら、センターがあってない状態で締めることにもなりかねない。

ちゃんと締められていない可能性が高いタイヤが、さらに振動で緩みやすい。

この二重の罠がISO規格のネジにはあるのです。

何故ISO規格のネジが採用になったのか?

それでは何故、ISO規格のネジが2010年ごろに採用になったのか?

ISO規格っていうのは国際標準化機構によって定められた規格です。JISは日本産業規格。言葉で見ると、国際的な規格に変えたんだねって捉えることもできますね。

世界的にみるとISO規格のネジが使われています。でも日本ではISO規格のネジにしてからの方が、10年で10倍も左後輪の脱落事故が増えました。

理由は日本の道路事情。左側通行です。左側通行を採用している国って、世界的に見ても非常に少ない。左側通行で左折する時って、非常に小回りをすることになります。

右側通行の国なら左に曲がる時は大回りになります。これが緩む緩まないを分けている原因でもあります。

日本の国土のように狭くて左側通行の国に、ISO規格のネジは全くあっていないという事なんです。

国土交通省と経済産業省が主体となって、2010年にISO規格を採用しました。

その後、国交省はタイヤの取り扱いに注してくださいね。という注意喚起を毎年のように出しています。

しかし、タイヤの脱落事故はなくなりません。

今ではこのようなものをナットにつけて、緩みを点検するものもあります。

自分たちで推進したネジが原因で事故が増えているのに、責任を交換した整備士や運行前点検で気づかないとドライバーに押し付けのは論外です。

使ってれば緩むネジなんですから。

毎年この手の痛ましい事故が発生していますが、根本的な原因はISO規格のネジにある。

これを全て現場の責任にするのはいかがなものかなと僕は思います。

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