プレオ キーシリンダー不良 エンジンがかからない

ちょっとエンジニアリングな整備をしました。
車両はスバルプレオ


何かというと、エンジンがかからないから見てくれ
ってんで、現場に行ってみました。

一応ブースターケーブルだけを持っていったんです。

診断すると、

「セルモーターが回らなくなった」

ということ

20回に1回くらいはセルがまわってなんとかエンジンがかかったとのことです。
よく調べていくとバッテリーはOK。

セルモーターも問題なし

そうですね、勘のいい人ならもう気づくと思いますが、
イグニッションスイッチ

がおかしいんじゃないの?と。

ATのインヒビタスイッチが不良をおこしていれば、
PかNのどちらかでエンジンがかかる可能性があります。
でもPだろうとNだろうと駄目でした。

いよいよイグニッションスイッチが黒っぽい。
スイッチ付近をゆさゆさしながら鍵を回すとエンジンがかかりました。
とりあえずは工場へもっていきました。

工場について、キーシリンダーとイグニッションスイッチを
切り離した状態で、イグニッションスイッチだけを回してみると

なんともなくかかるエンジン

イグニッションスイッチはキーシリンダの後方にネジ一本でついています。
イグニッションスイッチとキーシリンダーを切り離して、
イグニッションスイッチ単体でカプラーをつないでスイッチをまわすとかかるエンジン。

うーむこれはどういうことだ?

イグニッションスイッチ単体ならセルモーターは回る。
キーシリンダーに接続すると、セルモーターは回らない。

ということで、真犯人はキーシリンダーが壊れていました。


鍵を回すとキーシリンダーの後ろ側のT字の突起が連動して回ります。
鍵の動きをトレースしています。
このT字のものの動きが悪かったんです。

簡単に言うと、鍵を回しても、回しきれていないということですね。

鍵は最後まで回っている。でもキーシリンダーへ動きを伝えるT字の突起は回りきっていない。
だからイグニッションスイッチ単体でやればセルモーターは回る。
でもキーシリンダーをつけるとT字の動きが悪いためにキーシリンダーをONの位置まで回せないと。

そういうことですね。昔のキーシリンダーは鍵が半分くらいまで隠れるだけで、
鍵の先っぽがシリンダーからはみ出ました。で、そのはみ出た部分でイグニッションスイッチを回したんですが、
このプレオは鍵があって、その中間にロッドのようなものがあって、T字があると。
そういう構造なのですね。

キーシリンダーを交換するとちょっとやっかいなんです。

なぜならドアの鍵とエンジンの鍵が違ってしまうから。

ドア開けるときはこの鍵
エンジンをかけるときは別の鍵といった具合に鍵が2本必要になっちゃうんですよ。

だからキーナンバーをスバルに伝えて、
今使っている鍵でキーシリンダーを作ってもらうことにしました。
それなら鍵は据え置きです。

で、その間車を使いたいということなので
イグニッションスイッチを加工したんです


左が加工済み右が新品

まず気づくのはキーシリンダーに取り付けるネジの穴を拡大しているということ。

左の加工したスイッチのほうがネジの穴が大きいね

そして


新品のスイッチにはネジの穴の近くに位置決めの四角い突起があります。
この突起がキーシリンダーの四角い穴にはまるという仕組みなんですが、
その突起を


削ってしまいました。

これで準備OK


これでキーシリンダーに対してイグニッションスイッチが回転できるようになります。

そしてねじ山を拡大した理由は

少しでもキーシリンダーごしにイグニッションスイッチを回しきれるように
オフセットしてネジをつけるため。

ほんの少しの差なんです。
ほんの少しの動きでセルモーターが回るか回らないか
だからねじ山を拡大してキーシリンダーを少し回転させたところで
ネジを取り付けておきました。

これで暫くは大丈夫。


キーシリンダーにはイグニッションスイッチの位置決めの四角い穴があります。
本来ならイグニッションスイッチはこの場所に固定されますが

MHOが加工したスイッチはくるくるとまわります。

で、偏心してスイッチをとりつけたと。

エンジンはばっちりかかりました。

当然キーシリンダーが到着するまで問題はありませんでした。
キーシリンダーを交換して終了。

クレームで部品がスイッチとキーシリンダーの両方がでたのでめでたしめでたしでした