車を買ったのに、装備を使うために毎月お金を払う。

そんな時代が本格的にやってきそうです。
トヨタやスバルなど、自動車メーカーが力を入れている「SDV」という言葉を最近よく見かけるようになりました。
SDVとは、Software Defined Vehicleの略で、ソフトウェアによって機能や価値が変わる車のことです。
スマートフォンのように、購入後もソフトウェアを更新して新しい機能を追加したり、既存の機能を改善したりできるようになります。
これは非常に便利な仕組みだと思います。
ただ、僕には一つ気になることがあります。
車の機能まで、サブスクリプション契約が当たり前になってしまうのではないか?
ということです。
目次
トヨタではすでに安全装備の有料アップデートが始まっている
実は、ソフトウェアで車の機能を進化させる仕組みは、将来の話だけではありません。

トヨタでは、Toyota Safety Senseの一部機能を購入後にアップグレードできるサービスを提供しています。
例えば対象となるプリウスでは、Toyota Safety Senseのアップグレードが11,000円で販売されています。
車を買い替えたり、部品を交換したりしなくても、ソフトウェアによって安全機能を強化できるわけです。
これは素晴らしいことだと思います。
従来は、新しい安全機能が欲しかったら新型車に買い替える必要があるケースもありました。
それが今乗っている車のままで進化できる。

ただし、このトヨタの例は月額サブスクではなく、有料の機能アップグレードです。また、通常のソフトウェア更新には無料のものもあります。
有料アップグレードと月額課金は、分けて考える必要があります。
テスラでは契約によって使える機能が変わる
さらに興味深いのがテスラです。
テスラには、FSD(Full Self-Driving)という高度な運転支援機能があります。
名称には「完全自動運転」という意味が含まれていますが、FSD(Supervised)はドライバーの監視を必要とする運転支援システムであり、完全な自動運転ではありません。
この機能には、買い切りやサブスクリプションという提供形態があります。
ここで重要なのが、中古車として売却したときの扱いです。
例えば前のオーナーがFSDを月額契約で使っていたとします。
その車を中古車として購入した次のオーナーは、前のオーナーの契約をそのまま利用できるわけではありません。
FSDを使いたければ、新しいオーナー自身が契約する必要があります。
一方、FSDを買い切りで購入し、その利用権が車両に残っている場合には、中古車の購入者も利用できます。
ただし、前のオーナーが対象となる転送制度を利用して別の車にFSDを移していた場合など、例外があります。
つまり、同じ年式で同じグレードの車でも、契約状態によって使える機能が異なる可能性があるわけです。
中古車の価値も変わってしまう?
僕が整備士として気になるのは、中古車の販売や査定への影響です。

今まで中古車を選ぶときは、年式、走行距離、修復歴、装備、整備履歴などを確認してきました。
しかし、SDVが普及すると、それだけでは足りなくなるかもしれません。
例えば見た目も装備も同じ車なのに、一方は高度な運転支援機能が利用できて、もう一方は追加契約が必要になる。
こうなると、中古車の商品価値も変わってくるはずです。
整備工場や販売店としても、ソフトウェアのバージョンだけでなく、どの機能が有効になっているのか、利用権が次のオーナーへ引き継がれるのかを確認する必要が出てきます。
将来は中古車の状態確認に、ソフトウェアの契約状況が加わることも十分考えられます。
月額1,000円でも10年間なら12万円
車のサブスクが増えると、もう一つ気になるのが維持費です。

仮に便利な機能が月額1,000円だったとしても、10年間利用すれば12万円になります。
月額3,000円なら10年間で36万円です。
もちろん、必要なときだけ契約できることにはメリットがあります。
しかし、毎日使うような機能なら、長期間のサブスクより買い切りのほうがよいと感じる人も多いのではないでしょうか。
スマートフォンなら数年で買い替えることも珍しくありませんが、車は10年、15年と長く乗る人もいます。
長期間使用することを前提に、総額で考えることが大切だと思います。
整備士としては買い切りを選びたい
ソフトウェアで車が進化すること自体には、僕も大いに期待しています。
不具合を修正したり、安全機能を改善したり、新しい便利な機能を追加できるのは歓迎すべき進化です。
ただ、できれば選択肢を残してほしいですね。
月額契約で必要な期間だけ使う方法もあれば、一度お金を払ったら長く使える買い切りという方法もある。
ユーザーが自分の使い方に合わせて選べるのが理想です。
そして、特に安全に関わる重要な機能については、料金を払わなくなったからといって、基本的な安全性が損なわれるような仕組みにはしてほしくありません。
まとめ:車の所有と機能の利用権が別になる時代へ
トヨタやスバルが進めるSDV化は、自動車の大きな転換点になると思います。
購入後も車が進化していくというメリットがある一方で、ソフトウェア機能の料金や契約条件を理解する必要も出てきます。
今後、車を購入するときには、
「この装備は標準機能なのか?」
「買い切りなのか、月額課金なのか?」
「中古車として売った場合、次のオーナーも使えるのか?」
こうした点まで確認することになるかもしれません。
僕は車を購入したら、できるだけ長く乗りたいと考えています。
だからこそ、必要な機能は買い切りにしたい。
車は所有しているのに、その機能を使い続けるために毎月お金を払い続ける。
便利になるのはいいことですが、何でもサブスクという流れには、少し複雑な気持ちになります。
皆さんは車の機能が月額課金になることについて、どう思いますか?
僕はやっぱり、買い切りがいいですね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。
