【警告】車内の「シリコンがブレーキを壊す?

~芳香剤や消臭スプレーが引き起こす意外なトラブル~

「車内をいい香りにしたい」
「除菌や消臭をしたい」
「汗のニオイ対策をしたい」

そんな理由で、車内にスプレータイプの芳香剤や消臭剤、制汗スプレーを使っている人は多いと思います。

しかし実は、その何気ない使用が、車の重要保安部品に悪影響を与えるケースがあることをご存知でしょうか。

整備業界では以前から知られている話なのですが、一部のスプレー類に含まれる“シリコン成分”が原因で、ストップランプスイッチが接触不良を起こす事例があります。

しかも厄介なのは、見た目ではほとんど分からないこと。

気付かないうちにブレーキランプが点灯しなくなり、後続車に自分の減速が伝わらないという危険な状態になる場合もあります。

今回は、「なぜそんなことが起きるのか?」を、整備士目線で分かりやすく解説します。


そもそもストップランプスイッチとは?

ブレーキペダルの付近には、「ストップランプスイッチ」という部品があります。

これは、ブレーキを踏んだ瞬間に電気信号を送り、

  • ブレーキランプを点灯させる
  • シフトロックを解除する
  • クルーズコントロールを解除する
  • ハイブリッド制御へ信号を送る

など、さまざまな役割を担っています。

つまり、単なる“ランプ用スイッチ”ではありません。

最近の車では電子制御化が進んでいるため、この小さなスイッチ一つの異常が、思わぬ不具合へ発展することもあります。


なぜ「シリコン」が悪さをするのか?

問題になるのは、スプレーに含まれる揮発性シリコン成分です。

芳香剤や艶出し剤、制汗スプレーなどには、シリコン系成分が含まれていることがあります。

スプレーされた粒子は非常に細かく、空気中に漂います。

その後、

  • エアコンの風
  • 車内の空気循環
  • 温度変化

などによって、車内全体へ拡散。

そして最終的に、スイッチ内部の接点へ付着してしまうことがあります。

接点は非常に繊細です。

そこへシリコンの薄い膜が形成されると、電気が正常に流れなくなる場合があります。

つまり、

「ブレーキを踏んでいるのに、電気的には踏んでいない判定になる」

という現象が起きるのです。


実際に起きる症状

ストップランプスイッチの接触不良が起きると、次のような症状が出ることがあります。

・ブレーキランプが点灯しない

最も危険な症状です。

後続車が減速に気付けず、追突事故につながる恐れがあります。


・シフトレバーが動かない

最近のAT車は、ブレーキを踏まないとPレンジから動かせません。

スイッチ異常が起きると、

「ブレーキ踏んでるのにシフトが動かない!」

という症状になる場合があります。


・クルーズコントロール異常

高速道路で使用するクルーズコントロールが解除されない、あるいは使えなくなるケースもあります。


・警告灯点灯

車種によっては、

  • ABS
  • 横滑り防止
  • ハイブリッド警告

などが点灯する場合もあります。

最近の車は電子制御が複雑につながっているため、一見関係なさそうな場所まで影響が出ることがあります。


実は整備現場では有名な話

この「シリコンによる接点不良」は、整備業界では昔から知られています。

特に有名なのが、

  • 接点不良
  • 電子機器誤作動
  • センサー異常

などです。

工場によっては、

「シリコン系スプレー使用禁止」

としている場所もあります。

なぜなら、塗装や電子部品へ悪影響を与えることがあるからです。

特に塗装工場ではシリコンを非常に嫌います。

ほんの微量でも塗装面にはじき(ハジキ不良)を起こすため、徹底管理しているほどです。

それくらい、空気中へ広がる性質が強い成分なのです。


車内で特に注意したいもの

以下のような製品は注意が必要です。

  • スプレー式芳香剤
  • 消臭スプレー
  • 制汗スプレー
  • 艶出しスプレー
  • シリコン系潤滑剤
  • ダッシュボード艶出し剤

もちろん、すべてが即故障につながるわけではありません。

しかし、

「狭い車内で大量使用する」
「頻繁に吹きかける」
「換気が悪い状態で使う」

などはリスクを高めます。


ではどうすればいい?

対策はシンプルです。

・必要以上に車内でスプレーしない

まずこれが基本です。

特に運転席周辺への噴射は避けた方が安心です。


・換気をする

使用後は窓を開け、空気を入れ替えましょう。


・無香料タイプを選ぶ

シリコン成分を含みにくい製品を選ぶのも一つの方法です。


・異常を感じたら早めに点検

もし、

  • ブレーキランプが点かない
  • シフトが動かない
  • 警告灯が点く

などがあれば、早めに整備工場で点検しましょう。

ストップランプスイッチ自体は比較的安価な部品ですが、放置すると危険です。


まとめ

車内で何気なく使っているスプレー類。

しかしその中の「シリコン成分」が、思わぬ電気トラブルを引き起こすことがあります。

特にストップランプスイッチの異常は、

「自分では気付きにくい」

というのが怖いところです。

ブレーキランプが点灯しないまま走行してしまえば、重大事故につながる可能性もあります。

便利なカー用品や消臭剤も、“使い方次第”。

「ちょっとくらい大丈夫」が積み重なると、車は時に予想外の不具合を起こします。

普段あまり意識しない部分だからこそ、ぜひ覚えておきたいポイントです。

シェアする

フォローする