軽自動車エンジン不調の原因No.1はイグニッションコイル不良の失火である

今日、こんな相談が電話できました。

「車のエンジンが力がないので見て欲しい」

一応その時

「エンジンチェックランプなどは点灯していますか?」

と聞いてみましたが、ランプは点灯していないとのこと。とにかく工場へ気をつけて入庫してくださいと伝えて、お客さんを待ちました。

お客さんの車が到着して、症状を一緒に確認すると明らかにエンジンが失火している。この車両はダイハツのミラで点火のスパークプラグは在庫していましたが、イグニッションコイルは取り寄せないとダメでした。

結果、エンジン不調の原因はイグニッションコイル不良による失火でした。今、エンジン不調と言われてピンとくる原因のNo.1はイグニッションコイルの不調です。前置きが長くなりましたが、その仕組みと原因、対策から修理費用などを見ていきましょう。

ダイレクトイグニッションシステムとは?

まずは現在の車に採用されている点火システムについて。ダイレクトイグニッションシステムを9割以上採用しています。

従来の点火システムとの違いは、各シリンダーに1ずつ点火火花を生み出すイグニッションコイルを取り付けていることです。

従来の点火システムはイグニッションコイルは車に1つしかついておらず、ディストリビューターを介して各シリンダーへプラグコードで点火火花を送っていました。

しかし、プラグコードを使って点火火花を各シリンダーへ送っていくと、どうしてもロスが生じます。プラグコードの劣化で火花がリーク(漏れ出す)こともある。それを嫌ってダイレクトイグニッションシステムへと移行しました。

ダイレクトイグニッションになると、各シリンダーへ直接点火火花を届けることができるのでロスが少ない。さらにはECUで管理しやすい。つまり各シリンダーの状況をECUで容易にモニタリングすることができるので、整備士が診断機を使ってコントロールや診断もしやすい。

これだけ聞くと、結構便利なシステムだと思いきや、実際にエンジン不調の原因No.1にあげられるのがイグニッションコイルの不良です。

なぜ軽のダイレクトイグニッションコイルが壊れるか?

それではどうして軽自動車のダイレクトイグニションコイルは故障しやすいか?僕も長年整備士をやってますが、ダイレクトイグニッション不調の割合は

普通車2に対して軽自動車8くらい。大げさかもしれないけれど、トヨタ車でコイルを交換した経験はほとんどない代わりに、ダイハツとスズキはよく壊れる。

ではなんで軽自動車のイグニッションコイルが壊れやすいのか?

エンジン回転域が常に高い

軽自動車の排気量は660ccです。コンパクトカーに比べたって3分の2程度しかないわけです。こんなエンジンで力を振り絞ろうとすると、それだけエンジン回転数をあげるしかない。

コンパクトカーが巡行時2000回転程度だとすると、軽自動車は3000回転ほどエンジンを回さないと同じ動力に達しないイメージです。

エンジンの回転数が多いということは、それだけイグニッションコイルが働く時間が多くなる。つまり排気量が多いエンジンはエンジン回転数も低く抑えられるが、軽自動車はそうはいかない。プラグも早くに磨耗するし、コイルへの負担も多くなる。

これが第一の理由。

プラグの劣化が早く進むのに気がつかない

イグニッションコイルをダメにする原因はプラグにあるといっても過言ではありません。スパークプラグは使い込んでくると電極が丸く減ってきます。

電極が減ってくると、エアギャップが広がる。ギャップが広がると通常の電圧ではきちんと火花が飛んでいたが、それ以上の電圧が必要になってくる。つまり知らずとしてイグニッションコイルに負担がかかってくる。

しかも、スパークプラグの磨耗は走行距離だと思っている人も多いでしょう。これは正確に言うと間違いです。前述した通り、100kmの距離を時速80kmのエンジン回転数2000でたどり着けたのに対して、時速80kmでエンジン回転数3000だとするとその区間を走りきる為にプラグは1.5倍も働いている。

これが軽自動車のエンジンなんです。なので、軽自動車のように排気量が小さくてエンジンの使用回転数が高い場合、プラグは早期交換しないとダメ。

通常のプラグなら2万キロまたずに交換に踏み切ってもいいんじゃないかなと。それが嫌ならきちんとプラグのギャップを調整するなどメンテナンスをしないといけない。

この辺りが、どうしても走行距離管理で交換されがちな点。プラグがダメになるとコイルもダメになる。

軽自動車のエンジンではプラグもイグニッションコイルも負担が大きいということがわかっていただけましたか?

2コイルのエンジンはさらにプラグ磨耗が早い

続いて余談ですが、2コイル方式のエンジンというものがあります。

2コイルというのは、シリンダーに対して搭載されるイグニッションコイルが半分のもの。4気筒エンジンなら2つ。6気筒エンジンなら3つ。

この2コイルの特徴は2つのシリンダーを1つのイグニッションコイルでまかなっている同時点火方式を採用しています。

4気筒エンジンであれば、吸入・圧縮・燃焼・排気という4サイクルがあります。

点火順序は1−3−4−2だとします。専門的な話になってしまうので、ちょっと割愛しますが、1番シリンダーと4番シリンダーのピストン位置は同じ動きをしています。そして2番と3番もピストンが同じ動きをしています。

1番が圧縮行程であると4番は排気行程。簡単に言うとシリンダーの一番上までピストンがせり上がってきている。ここに圧縮行程の1番に点火火花を与えて動力を得ます。この時、2コイルシステムをの場合4番シリンダーにも同時点火させているのです。

逆に4番が圧縮の時、1番は排気行程。4番にだけ点火をすればいいんですが、2コイルシステムの場合同時点火なので1番シリンダーにも点火する。当然これって無駄な点火なんですが、制御が簡単にできるのが同時点火の特徴。

つまり、点火しなくてもいい時にも点火をするのでプラグの磨耗が2倍早くなると考えてもいいわけですね。2コイル採用エンジンはそれだけたくさんプラグが火花を飛ばすので磨耗が早くなります。

コイルを守るには早めのプラグ交換をしよう

イグニッションコイルを長持ちさせるには、やはりプラグ管理に尽きるのです。

熱や振動で経年劣化するのはやむを得ないけれど、プラグ管理だけはオーナーが唯一できるメンテナンスですから。

今軽自動車でエンジンが不調だと聞くと、8割はイグニッションコイルである。といっても過言ではないほどトラブルが発生しています。

プラグ交換はプラグレンチとエクステンション。それとラチェットレンチがあればできます。プラグレンチは薄肉タイプを選ばないと三菱の3G83などでは交換ができなかったりします。

薄肉タイプを選べば間違いありません。

DIYでもまだまだプラグ交換はやりやすい車も多いので、ぜひチャレンジしてみてください。

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