0W-40というオイル粘度を考える!日産GT-Rの純正オイルにも採用で0W-20じゃいけない理由

今の新車で主流になっているエンジンオイル粘度は、5W-30、0W-20、0W-16、0W-8です。数字が大きいほうが、オイルが硬くて熱に強いです。

5W-30と0W-8を比較した場合、砂時計の容器の中に入れてみると一目瞭然だと思いますが、0W-8のほうがあっという間に流れていく。

エンジンオイルの主な役割の中に、潤滑があります。高速で動くエンジンの金属同士を潤滑して保護しているのですが、当然硬いオイルと柔らかいオイルとでは違ってきます。

硬いオイルのほうが油膜がしっかりとしているので、エンジンの保護という観点でいうと優れています。しかし、硬すぎると低温時の流動性に問題があったりフリクションロスなども発生してくる。

高性能なエンジンを積む日産GT-Rの指定オイルは0W-40という、ちょっと一般的には見かけないオイルを採用しています。

この0W-40という粘度について考えてみたいと思います。

0W-40という粘度の狙いは?

日産GT-Rが採用しているオイルは0W-40です。日本のエコカーは最低でも0W-20、最近では0W-16がNAエンジンではスタンダードになっています。

GT-Rのオイルは0W-40という粘度です。搭載されているエンジンはVR38DETTというエンジン。日産の技術者である匠たちが、1つのエンジンを一人で組み上げていくシステムを取っています。

量産型のエンジンでは、オートメーションで組み上げられていますが、GT-Rのエンジンは人間による手組です。機械精度が上がったとはいえ、やはり最後にものをいうのは人間の感覚ということになります。

レースの世界では、GT-Rのエンジンをバラしてさらに精密に組み上げていくチューナーがいますが、手組されているGT-Rのエンジンでもバランスがイマイチの個体もあるという意見があります。

GT-Rが0W-40というオイル粘度を選んだ理由は何故か?欧州車の多くは5W-40という粘度を採用しています。それよりも低粘度のオイルを採用しています。

0W-40で、大パワーを発生するエンジンを守り切れるのか?

低燃費化とフリクションロスを狙う低粘度ワイドレンジ化

GT-Rが0W-40というオイルを採用している理由は2つあります。まずは低燃費化。GT-Rが登場した時、日本は低燃費競争真っただ中です。そんな時にスポーツカーであっても、ある程度の燃費基準を達していないといけないという理由。

そしてもう一つは低粘度化することで、エンジンの性能をフルに発揮させることができるということです。開発者の水野さんのインタビュー記事をじっくり読みましたが、最初0W-40という粘度を技術者に伝えたら、反対されたと言っています。

やはり油膜不足を懸念しての事ですが、だったらシリンダーをライナーレスにしてしまおうということで、GT-Rのシリンダーブロックにはシリンダーライナーがありません。

紆余曲折得て、0W-40を採用したということになります。

エンジンにとって性能をフルに引きだすにはどうするか?やはりレースで一発のタイムを狙うのならフリクションを減らすこと。オイルの粘度さえ、邪魔になってくるのがレースの世界です。

もちろん0W-20では、全然高温に対する耐性が足りないので、0W-40になっています。

GT-Rにはそういう事情があって、0W-40という粘度が採用されています。

0W-20の車に0W-40を入れたらどうなるか?

それではこの0W-40という粘度のオイルを0W-20の車に入れたらどうなるか?

これは、特に問題はなく使えます。

しかし、0W-20指定のコンパクトカーなどに使ったとしても、オイルの性能を使い切れるかというと、そうでもないと思います。

その車と、その車を使うシチュエーションに対して、オイルの性能が圧倒的に上回ってくるので、エンジン保護という観点ではいいですが、費用の面からは負担が大きい。

0W-20の車をサーキットで走らせたいという場合は、0W-40というオイル粘度のものを使うのは合致します。

0W-40を使うのなら、それなりの使い方をする時にしたほうがいいという事ですね。いたずらに粘度をあげたら、燃費にも影響をしてきますから。

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