ここのところ立て続けにあった故障があったので、ちょっと紹介してみます。
まずは、エンジンがかからないということで、業社がレッカーしてきたサンバー。話を聞くと、さっきまで動いていたのに、エンジンが止まったあとセルモーターが回らなくなったというものです。

搬入されてきたサンバーを確認してみました。とりあえずオイルが入っていないとマズいので、オイルの量をチェック。
量と状態は悪くなさそうなので、キーをONにしてクランキングを試みました。
すると、セルモーターが弱弱しく
「クゥンクゥン・・・」
と回るだけで、エンジンに火が入るには至りませんでした。なんだかバッテリー上がりのような症状だなと。オーナーは自分でジャンピングしたけど、セルが回らなくて始動できなかったので業社レッカーを読んだということでした。
サンバーのエンジンがかからない理由はエアコンにあった

ここで結論を先に書くと、原因はエアコンが壊れていた為にエンジンがかかりませんでした。
どういうことか?
サンバーのエアコンはオルタネーターの隣についています。ベルトは1本でオルタネーターとエアコンコンプレッサをクランクで回しています。
エンジンがかからなかったサンバーですが、実は2回目のクラキングですんなりかかってしまったのです。
その後、何が原因でセルモーターが駄目だったかを特定するために、いろいろ試してみると、エアコンコンプレッサから相当な異音が出ているのが分かりました。
つまり、エアコンコンプレッサが焼き付き寸前で、クランキング時にちょうどコンプレッサが引っかかる場所で止まっていると、抵抗になってセルが回らなかったということです。
コンプレッサはベルトを介してクランクシャフトプーリーにつながっています。エアコンコンプレッサが焼き付いてロックしているとセルモーターがクランクを回そうとしても、コンプレッサの抵抗でセルの力ではクランキングができないというオチでした。

コンプレッサがロックしかかっている場合、エアコンサイクルに鉄粉が混入しているため、コンデンサやエバポレーター、エキパンなども交換しないと駄目になります。
オーナーにそのことを相談すると、エアコンは今後使わないから乗れるようにしてほしいと言われたので、エアコンレス用の短いオルタネーターベルトを取り寄せて修理完了としました。
エアコンコンプレッサにベルトがかかっていなければ、現状のセルモーターで軽くクランキングができるようになりました。
たまにこの手のトラブルがあります。サンバーに限ったことではありません。エンジンがかからない原因が、まさかのエアコンにあるという故障です。
ブレーキが引きずっているような現象になる

続いてもサンバーです。
今度はブレーキが引きずるように重たいときがあるという相談です。こちらも結果を先に書くとエアコンの不良です。
同じようにコンプレッサが焼き付き寸前で、マグネットクラッチがONになった瞬間、相当なパワーを取られてブレーキがかかっていると勘違いしていました。
実はブレーキではなくて、エアコンコンプレッサにクランクの動力を相当持っていかれていただけということでした。
こちらも相談したらエアコンコンプレッサをキャンセルするベルトにつけかえて終了しました。
エンジンが不調だと思ったらエアコンだった。ブレーキが引きずっているかと思ったらエアコンだった。
エンジンがかからない原因がエアコンだった。
エアコンがもたらす、いろいろな現象と故障でした。