冬であっても車のエアコンを使うべき!エアコンを長持ちさせるためのコツとその理由を解説

夏が過ぎ去り、エアコン修理の依頼もぱったりと止みました。エアコンが壊れてしまうと、近年の暑さからでは耐え難い日々が年に何日もあります。

毎年平均温度が上がってきたんじゃないか?日本もそろそろ40度突破か!?40度ってどんな世界だろう・・・。

そんな真夏であっても車の中はエアコンさえ効いていれば快適です。実はこのエアコンですが、冬に使ってる人って少なくなる。ですが、エアコンを長持ちさせるためにも冬は積極的にエアコンを使うべきなのです。

エアコンの故障原因ベスト3は?

整備士をずっと続けてきて、エアコンの故障は夏になると相当数修理をします。統計というわけではないですが、僕が今まで経験した中でエアコンの故障原因ベスト3を挙げてみます。

第3位 コンプレッサ不良

第3位に挙げられるのが、エアコンコンプレッサの不良。コンプレッサはエアコンシステムの核をになっています。これが壊れてしまうとエアコンは効きません。

応急処置をすることすらできません。

コンプレッサがダメになったら、リビルトなどに交換するしかない。

しかしたちが悪いのが、コンプレッサ不良でエアコンラインに鉄粉が混入してしまうケース。これは焼き付いたコンプレッサや異音がしている場合に多いですが、エアコンラインにコンプレッサの鉄粉が入ってしまう。

すると、エアコンラインも洗浄したりしないといけないし、構成部品であるコンデンサやエキパンなどにも悪影響を及ぼすことがあります。

最悪のケースがエアコンシステム自体を総取っ替えになってしまいます。

第2位 リレーやコンデンサファンなどによる冷却不良

第2位に挙げられるのが、エアコンを構成している電子部品の故障。多いのがコンプレッサリレーが壊れること。

エアコンのコンプレッサリレーが壊れると、スイッチをいれてもコンプレッサに電源が入りません。つまり、コンプレッサが稼働していないと同じことなのでエアコンが効かない。

リレーの他にも、ヒューズが飛んでいたりコンデンサの電動ファンが焼きついていたりと電装関係にまつわる故障がちらほら多いです。

リレーなどで治る場合は修理代も安く済みます。

第1位 ガス漏れ

誰がなんと言おうが、エアコンの故障ナンバー1に挙げられるのがガス漏れです。エアコンってコンプレッサやエバポレータ、コンデンサなどで構成されています。

これら部品の中をエアコンガスが通ってます。部品を繋ぐのがエアコンのホースだったりパイプだったり。

このホースからのガス漏れ、パイプからのガス漏れ、はたまた部品自体からガスが漏れてくるというケース。

圧倒的に多いのがガス漏れの故障です。軽微なガス漏れであれば、蛍光剤を流し込んでガスを規定量まで補充すればしばらく使えます。

再びガスが漏れてエアコンの効きが悪くなったら、蛍光剤を入れてあるのでどこから漏れてきたか特定しやすくなるというわけです。エアコン修理の王道です。

今では新車の時から蛍光剤を封入してあるメーカーもあります。

エアコンを長持ちさせるコツは

エアコンを長持ちさせるにはどうすればいいか?ホースなどからのガス漏れは部品の精度や品質の問題なので、防ぎようがない側面があります。

ではガス漏れ以外の故障をある程度防ぐにはどうするか?これ、実はとても簡単です。エアコンを使う頻度を上げるということ。

エアコンのガスの中にはコンプレッサの潤滑をするためのオイルも一緒に封入されています。以前こんなことがありました。コンテナ車でコンテナの中が冷蔵になってる車、見かけたことありませんか?実はこのコンテナの冷蔵って車のエアコンシステムをそのまま使っているんです。

エンジンには室内用のコンプレッサとコンテナ用のコンプレッサの2つが取り付けられています。お客さんのコンテナ車、冬は外気温が寒いのでコンテナのエアコンをずっと使わないでいたんです。

すると、春が来て冷蔵庫を稼働させようとしたところ、エアコンが壊れてしまった。原因を調べると、コンプレッサが焼きついていた。ずっと使わないでいたコンプレッサが急に稼働させられたため、潤滑不足になってしまったということ。

この手の車って、エンジンを切っていたとしても外部コンセントからの電源供給で、常に冷蔵庫を稼働させることができます。エアコンの配管も長く、長らく使っていないとエアコンのガスト潤滑オイルがコンプレッサから遠いところで偏ったりする。

セパレータと呼ばれる仕切り板がついていますが、それでもコンプレッサーをオンにして潤滑されるまでの時間、エンジンのドライスタートと同じでコンプレッサには負担がかかる。

結果、壊れてしまう。これを防ぐにはエアコンの使用頻度を上げること。

冬にエアコンをつかって、エアコンの寿命が延びる理由

ここまでくればもうお分かりだと思います。回りくどい説明になりましたが、冬のあいだエアコンを使わないでいると、コンプレッサへオイルが供給されなくなります。

コンプレッサがカラカラに干からびた状態でいきなり夏が到来して、エアコンをオンにする。相当なドライスタート状態です。エアコンガスが循環するまでの間、コンプレッサは鉄同士をこすりつけて摩耗する。

こんなことを繰り返していると、コンプレッサがすぐにダメになってしまうのは容易に想像ができます。

なので、冬のあいだも積極的にエアコンを使うということ。特に冬は内外の気温差でガラスが曇りやすいです。曇り止めの除湿暖房ということでエアコンを積極的に使ってください。

これがエアコンを長持ちさせるコツです。

機械は使わないでいると、壊れやすくなります。エアコンも同じです。たとえ冬であっても除湿目当てで使う。これだけの気配りで持ちが随分と変わってくるのです。

お試し下さい。