信号待ちで停車したら、突然エンジンが止まってしまった。

走っているときは調子がいいのに、停車するとエンストする。
こうした症状は、整備工場でも原因の切り分けが難しい故障の一つです。
僕が整備士として働いていた頃、このような相談を受けた場合に最初に考えていたのは、アイドリングを制御する部分でした。
特に以前の車では、ISCと呼ばれるアイドルスピードコントロール系統です。
もちろん、停車中のエンストには燃料ポンプやカム角センサーなど、別の原因も考えられます。
今回は、実際の故障診断でどのように原因を絞り込むのかを解説します。
停車中に止まるならアイドリング制御を疑う
車のエンジンは、アクセルを踏んでいなくても一定の回転数を維持するように制御されています。

これがアイドリングです。
エアコンを使用したり、AT車でDレンジに入れたりすると、エンジンに負荷がかかります。
そのようなときでも回転数が極端に下がらないように調整しているのが、アイドリング制御です。
以前の車にはISCバルブが使用されているものがありました。
ISCの動きが悪くなると、アクセルを離したときに必要な空気量を確保できず、回転数が落ち込み、そのままエンストする場合があります。
僕も、こうした症状ならISC周辺を優先して確認していました。
ISCが汚れるとどうなる?
ISCバルブやスロットルボディには、長期間の使用によって汚れが付着します。

空気の通路が汚れたり、バルブの動きが悪くなったりすると、アイドリングが不安定になる可能性があります。
症状としては、回転数が上下する、エアコンを入れるとエンストしそうになる、減速して停止した瞬間に止まる、といったものがあります。
ただし、同じような症状でも、吸気系統の二次エア吸い込みやセンサー異常が原因の場合もあります。
また、最近の電子スロットル車では、独立したISCバルブを使用せず、スロットル開度でアイドリングを制御するものがあります。
そのため、車種に応じた構造の確認が必要です。
実際にISCが問題になったプレオ
以前スバル・プレオのアイドリング不調について紹介しています。

この車は、信号待ちなどでエンストする症状がありました。
アクセルを戻したときの吸入空気量が不足しているような状態で、ISC周辺を疑って点検しました。
ISCの清掃によって通常の信号待ちでは症状が改善しましたが、山道を走って急にアクセルを戻す条件では、再びエンストが発生しました。
最終的には、ISC付きスロットルボディのリビルト部品を使用して修理を進めた事例です。
このように、清掃して一時的に改善しても、完全に修理できたとは限らないことがあります。
関連記事:プレオのアイドリング不調でISCを交換した修理記録
カム角センサーやクランク角センサーの故障もある
アイドリング制御とは別に、エンジンの回転状態を検出するセンサーの不具合も考えられます。

カム角センサーやクランク角センサーは、エンジンの制御に重要な信号を送っています。
これらの信号が失われると、エンジンが突然停止したり、再始動できなくなったりする場合があります。
アイドリングが徐々に不安定になるというより、突然ストンと止まる。
その後、しばらくすると再始動できる。
こうした症状では、回転信号や電源系統を確認する必要があります。
ただし、止まり方だけで原因を確定することはできません。
故障コードやセンサー信号の確認が重要です。
燃料ポンプが原因の場合
燃料ポンプが正常に作動しなくなれば、エンジンへ必要な燃料を供給できません。

ポンプ内部の不良、リレー、配線などの問題によって、突然エンジンが停止する可能性があります。
特に熱によって症状が変化する故障では、エンジンが温まったときだけ停止する場合も考えられます。
ただし、燃料ポンプの音が聞こえないというだけで、ポンプ故障と決めつけるのは危険です。
ポンプを動かす制御方式は車種によって異なるためです。

燃圧測定や電源・アースの確認などが必要になります。
故障診断では止まり方を確認する
僕なら次のような点を確認します。
- 停車する瞬間に回転数が落ちて止まるのか
- アイドリング中に突然停止するのか
- エアコンを入れると症状が悪化するのか
- エンジンが冷えているときだけなのか
- 止まったあと、すぐに再始動できるのか
回転数が徐々に落ちるなら、アイドリング制御や吸気系統を疑う材料になります。
突然停止して再始動できないなら、燃料系やセンサー系も重要です。
診断機で故障コードを確認し、必要に応じて実測します。
なお、故障コードが出ていなくても故障していないとは限りません。
一般ユーザーが故障コードを確認する補助にはなりますが、対応車種・診断範囲に制限があります。コードだけで部品交換を決めてはいけません。
まとめ
停車中にエンジンが止まる原因として、まず考えたいのがアイドリング制御の不具合です。

ISCを使用している車なら、汚れや作動不良が原因になる可能性があります。
ただし、カム角センサー、クランク角センサー、燃料ポンプなどの故障でもエンストは起こります。
大切なのは、どのような状況で止まるのかを観察することです。
エンストは再発すると危険なため、症状が続く場合は早めに整備工場で診断してください。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。
