冠水道路を走り切れたから無事?数日後に故障が出る車で確認したい5つの場所

突然の大雨で、道路が冠水している場面に遭遇することがあります。

前の車が進んでいるから、自分の車も通れるだろう。

水深はそれほど深く見えない。

少し速度を落とせば反対側まで抜けられそうだ。

そう考えて冠水した道路へ進入し、何とか走り切れたとします。

エンジンも止まらなかった。

警告灯も点灯していない。

その後も普通に走れている。

これなら車は無事だったと思うかもしれません。

しかし、冠水道路を走り切れたことと、車に水の影響がなかったことは同じではありません。

その場では異常がなくても、数時間後や数日後に警告灯が点灯したり、異音が出たりする可能性があります。

JAFが行った冠水路の走行テストでも、水深30cmのコースを走り切った車に、ボンネット内部への水の浸入やアンダーカバーの脱落などが確認されています。

つまり「走れたから無傷」とは限らないのです。

前の車が通れたから自分も通れるとは限らない

冠水道路で危険なのは、水深が見た目では分かりにくいことです。

雨水は濁っているため、道路の形や穴、段差を確認できません。

マンホールのふたが外れていたり、側溝との境目が分からなくなっていたりする可能性もあります。

同じ場所を前の車が通過できたとしても、自分の車が通過できるとは限りません。

車高、最低地上高、エンジンの吸気口の位置、車体形状などが違うからです。

同じ車種でも、冠水路へ入る速度によって車が押し上げる水の高さは変わります。

速度を上げれば、水しぶきがエンジンルームへ大量に入る可能性があります。

JAFは、実際の冠水路では水深を判断することが難しく、見えない側溝や開いたマンホールなどの危険もあるため、安易に進入せず迂回するよう注意を呼びかけています。

冠水路を見つけたときの最善策は、走れるか試してみることではなく、入らないことです。

それでも冠水路へ入ってしまったら

予想以上に水深が深く、途中でエンジンが止まった場合は、安易に再始動しないでください。

エンジンが水を吸い込んで停止した場合、再び始動させようとすると、エンジン内部へ重大な損傷を与える可能性があります。

水に浸かった車は、電気系統のショートや火災の危険もあります。

国土交通省も、浸水や冠水の被害を受けた車について、外観上問題がなさそうでも自分でエンジンをかけず、販売店や整備工場へ相談するよう案内しています。

特にハイブリッド車や電気自動車には高電圧のバッテリーが搭載されています。

オレンジ色の高電圧配線やバッテリー周辺へ、むやみに触れてはいけません。

水が車内へ入った。

エンジンが停止した。

複数の警告灯が点灯した。

焦げたようなにおいがする。

このような場合は走行を続けず、安全な場所からロードサービスや整備工場へ連絡してください。

冠水後に確認したい5つの場所

冠水道路を走り切り、その後も車が動いている場合でも、次の場所には影響が出ている可能性があります。

1.エンジンの吸気系統

ガソリン車やディーゼル車のエンジンは、空気を吸い込んで燃焼しています。

冠水路を走ったときに吸気口から水が入ると、エアクリーナーがぬれたり、さらに奥へ水が吸い込まれたりする可能性があります。

空気は圧縮できますが、水はほとんど圧縮できません。

エンジン内部へ多量の水が入ると、内部部品が曲がったり壊れたりするウォーターハンマーを起こすおそれがあります。

エンジンが止まらなかったから絶対に水を吸っていないとは限りません。

冠水後にエンジンの振動が増えた、加速が悪い、異音がするなどの変化があれば、すぐに点検が必要です。

2.アンダーカバーと車体下部

最近の車には、エンジンや車体の下へ樹脂製のアンダーカバーが取り付けられていることがあります。

冠水路を走ると、このカバーへ強い水圧が加わります。

固定用のクリップが外れ、カバーが垂れ下がることがあります。

その場では落下しなくても、後から走行風を受けて外れる可能性があります。

冠水後に車体の下から、

「バタバタ」

「ガサガサ」

という音が出た場合は、アンダーカバーやフェンダーライナーが外れかけているかもしれません。

自分で車体の下へ潜り込まず、整備工場で確認してもらってください。

3.ブレーキ

ブレーキが水に浸かると、一時的に効きが弱くなったり、音が出たりすることがあります。

冠水路を抜けた直後に交通量の少ない安全な場所を走れる状態であれば、低速でブレーキの感触に異常がないか慎重に確認します。

ただし、明らかにブレーキの効きが悪い場合や、ペダルの感触がおかしい場合は、そのまま走行を続けないでください。

水と一緒に泥や砂が入り込むと、ブレーキ周辺に異物が残ることがあります。

数日後に異音や引きずりが出る可能性もあります。

4.電気配線やコネクター

車には多数の配線、センサー、制御装置が使われています。

水が入った直後は正常に動いていても、コネクターの内部に水分が残ると、時間が経ってから腐食や接触不良を起こすことがあります。

最初は時々警告灯が点灯するだけだったものが、後になって始動不良や各装置の作動不良へ進む可能性もあります。

冠水した数日後に警告灯が点灯した場合、「もう雨とは関係ない」と考えず、冠水路を走ったことを整備士へ伝えてください。

いつ、どの程度の深さの水を、どのくらいの距離走ったかも診断の手掛かりになります。

5.車内の床と荷室

車内へ目立った水が入っていなくても、床のカーペット下に水分が残っていることがあります。

フロアマットの表面が乾いているだけでは判断できません。

床を押したときに水が染み出す。

車内が妙に湿っぽい。

窓ガラスが曇りやすくなった。

数日後にカビ臭いにおいが出てきた。

このような変化があれば、カーペットの下へ水が入っている可能性があります。

車の床には配線やコネクター、車種によっては制御装置が配置されています。

水分を放置すると、カビや悪臭だけでなく、電気系統の不具合につながるおそれがあります。

乾かせば終わりとは限らない

冠水した車を乾燥させれば問題ないと思うかもしれません。

しかし、泥水や雨水が入った場所には、汚れや不純物が残ります。

表面が乾いても、コネクター内部、カーペット下、袋状になった車体部分などに水分が残ることがあります。

ブレーキやベアリングなどに水や泥が入り、後から錆や異音が出るケースも考えられます。

どこまで点検や交換が必要になるかは、水深、浸水時間、車種、走行状態によって異なります。

短い水たまりを低速で通過した車と、床面まで水に浸かった車を同じようには判断できません。

冠水したことを隠さず伝える

整備工場へ車を持ち込むときは、

「大雨の後から調子が悪い」

だけではなく、

「冠水した道路を走った」

とはっきり伝えてください。できれば法定12ヶ月点検を実施してもられば、ブレーキまで分解、清掃してもらえるのでおすすめです。

冠水した日時。

水深はタイヤのどの位置まであったか。

どのくらいの距離を走ったか。

途中でエンジンが止まったか。

車内へ水が入ったか。

警告灯や異音が出たか。

こうした情報があれば、整備士も確認すべき場所を絞り込みやすくなります。

冠水との関係を伝えずに警告灯だけを点検すると、原因の特定に時間がかかる可能性があります。

一番の対策は冠水道路へ入らないこと

車は雨の中を走れるように作られています。

しかし、水の中を走ることを前提に作られた乗り物ではありません。

国土交通省は、水深が車両の床面を超えると、エンジンや電気装置などに不具合が発生するおそれがあると注意を呼びかけています。

ただし、床面より浅ければ必ず安全という意味ではありません。

水深は道路の途中で急に深くなることがあります。

走行速度によって水が押し上げられ、想像以上の高さまで侵入することもあります。

前の車が通れた。

反対側から車が来た。

SUVだから大丈夫。

そのような理由で進入するのは危険です。

冠水道路を走り切っても、その瞬間に故障しなかっただけかもしれません。

車体下部の部品が外れかけていたり、電気系統に水が残っていたり、ブレーキ周辺へ泥が入っていたりする可能性があります。

大雨の後に冠水路を走ってしまったら、車が動いていることだけで無事と判断しないでください。

異音、警告灯、におい、ブレーキの感触、車内の湿気。

いつもと違う変化があれば、早めに点検を受けることが大切です。

そして次に冠水道路へ遭遇したときは、進むのではなく引き返す。

車を守るだけでなく、運転している人と同乗者の命を守るためにも、それが最も確実な判断です。

参考:

JAF「冠水路走行テスト」
https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/disaster/flood-driving

国土交通省「浸水・冠水被害を受けた車両のユーザーの方へ」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr09_000100.html

いまは日本のどこで冠水被害が発生するかわかりませんので、脱出用ハンマーを一つ積んでおきましょう。シートベルトも切れるタイプがおすすめです。

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